海外競馬ニュース 2021年09月02日 - No.32 - 2
凱旋門賞2着馬インスウープ、クールモアの障害用種牡馬に(アイルランド)[生産]

 2020年独ダービー(G1)優勝馬であり凱旋門賞(G1)でソットサスの2着となったインスウープが、2022年にクールモアで障害競走用の種牡馬として供用される。

 ストール・ウルマン社(Stall Ullmann)により生産されたインスウープ(父アドラーフルーク)は昨年、3歳でデビュー戦を勝利で飾り、2戦目となったグレフュール賞(G2 サンクルー)で3着となった。そして、第151回独ダービー(ハンブルク)でアドラーフルーク産駒のワンツーフィニッシュを決めてクラシック優勝を達成した[訳注:2着となったのはトルカータータッソ(Torquator Tasso)]。

 フランスのフランシス・グラファール調教師が手掛けたこの牡馬はパリ大賞(G1 ロンシャン)でモーグルの2着に入り、そのあと欧州最高賞金の凱旋門賞(ロンシャン)でソットサスに惜敗を喫したものの自己最高のパフォーマンスを見せた。

 今年4歳となって活動を再開した立派な鹿毛馬インスウープは、今季初戦のロードシーモア賞(L)で2着に入り、エドゥーヴィル賞(G3)とシャンティイ大賞(G2)を制覇した。

 7月のサンクルー大賞(G1)では粘ったもののブルームの4着に敗れ、これがラストランとなった。8月に入って、キャリアを終わらせる故障を発症したことにより引退が発表されたのだ。

 インスウープは、シュレンダーハン牧場(Gestut Schlenderhan)の独オークス(G1)優勝馬イオタの第8仔であり、現在エルフトムーレ牧場(Gestut Erftmühle)で供用されているドイツのG1馬イトウ(2015年ジャパンカップで18着)の全弟である。さらにいずれもガリレオを父とする半兄イニシアル(Iniciar)と半姉イグレイン(Igraine)はステークス勝馬である。

 インスウープの購買を交渉したクールモアのジョー・ハーノン氏はこう語った。「インスウープはオーナーブリーダーのフォン・ウルマン家にとって19頭目の独ダービー馬です。父で独ダービー馬のアドラーフルークも母で独オークス馬のイオタも、フォン・ウルマン家が生産して出走させていました」。

 「インスウープは欧州の一流牧場が生産したとても優秀な馬であり、1½マイル(約2400m)の距離では同世代の3歳馬の中で最強であると評価されました」。

 「フォン・ウルマン家はゲッタウェイも提供してくださり、この馬はアイルランドの生産者たちのあいだで大成功を収めています。彼らにはとても感謝しています」。

 4月に17歳でこの世を去ったアドラーフルークは、シュレンダーハン牧場(ドイツ・ベルグハイム)で自己最高の種付料1万6,000ユーロ(約208万円)で供用されていた。

 アドラーフルーク(父インザウイングス)はG1馬5頭を送り出しており、その名簿にはインスウープとイトウのほかに独オークス(G1)優勝馬ラカザー(Lacazar)、イキートス(2017年ジャパンカップで15着)、トルカータータッソがいる。

 アドラーフルーク産駒は2021年も素晴らしい活躍を見せている。キングエドワード7世S(G2)優勝馬であり英インターナショナルS(G1)2着馬であるアレンカーや、独2000ギニー(G2)優勝馬ミティコ(Mythico)などがその代表格である。

 インスウープの種付料は後日発表される。

By Kitty Trice

(1ユーロ=約130円)

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