海外競馬ニュース 2020年10月15日 - No.40 - 3
ピナトゥボ、父シャマルダルの後継種牡馬になるべく引退(イギリス)[生産]

 ダーレーの種牡馬担当主任であるサム・ブラード(Sam Bullard)氏は、10月9日にピナトゥボ(Pinatubo)が引退するというニュースを聞き、同馬をダーレーの種牡馬群に迎えることを楽しみにしている。

 ピナトゥボは2019年に、欧州2歳部門で25年来の最高レーティング128を獲得した。また3歳となった今年も、G1競走をさらに1勝した。

 同馬は2021年にニューマーケットのダーラムホールスタッドで供用され、父シャマルダルの後継種牡馬と目されるだろう。卓越した種牡馬だったシャマルダルは今年4月に死んだ。

 ブラード氏はこう語った。「私たちはピナトゥボのようなひときわ優れた馬をダーラムホールスタッドの種牡馬群に迎えることにとてもワクワクしています」。

 「ピナトゥボは昨年、特にナショナルS(G1)で、向かうところ敵なしでした。ご存じのとおり、過去四半世紀においてどの2歳馬も到達できなかったパフォーマンスでした」。

 「また今年はジャンプラ賞(G1)でその優れた記録にG1・3勝目を加えた彼を目にして、私たちは嬉しく思いました。今では、彼が新しいキャリアを始めるのを楽しみにしており、そのキャリアで父シャマルダルの偉大なレガシーを引き継ぐことを確信しています」。

 ピナトゥボは、チャーリー・アップルビー調教師に管理され、ゴドルフィンに所有された。6戦6勝の優秀な2歳シーズンを過ごし、合計で10戦した競走生活において着順が3位を下回ったことがない。

 同馬は2019年5月のデビュー戦で2着馬に3馬身以上の差をつけて優勝した後、エプソム競馬場でウッドコートSを制した。チェシャムS(L ロイヤルアスコット開催)では疾走してレコードタイムを出し、印象に残る優勝馬となった。ヴィンテージS(G2 グッドウッド)では他馬を6馬身引き離して撃退した。

 そしてナショナルS(カラ)で9馬身もの差をつけてライバルたちを撃沈させた。

 ピナトゥボはデューハーストS(G1 ニューマーケット)を制してG1勝利を追加して2019年を締め括り、欧州最優秀2歳牡馬の栄誉を手にして、冬のあいだは2020年英2000ギニー(G1)の1番人気馬になっていた。

 ピナトゥボの3歳シーズンの成績は2歳の時ほどめまいがするような高みには到達しなかった。しかし、英2000ギニー(ニューマーケット)で3着、セントジェームズパレスS(G1 ロイヤルアスコット開催)とムーランドロンシャン賞(G1 ロンシャン)で2着と健闘した。そしてジャンプラ賞で貴重なG1優勝を挙げたのは言うまでもない。2020年もまた成功したシーズンだった。

 ピナトゥボはその輝かしいファミリー(牝系)に属する馬の中で、おそらく最も優秀な競走馬である。そのファミリーには、一流種牡馬のインヴィンシブルスピリット(Invincible Spirit)やコディアック(Kodiac)、将来有望な若い種牡馬プライドオブドバイ(Pride Of Dubai)などがいる。

 ピナトゥボの種付料は後日発表される。

By Andrew Scutts

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[Racing Post 2020年10月9日「Pinatubo expected to continue Shamardal's great legacy as stallion career looms」]