海外競馬ニュース 2013年07月11日 - No.28 - 1
アニマルキングダム、無念のクイーンアンS敗退後引退(イギリス)[その他]

 前回ケンタッキーダービー馬がロイヤルアスコット開催を盛り上げて以来77年が経っていた。今回クイーンアンS(G1)でアニマルキングダム(Animal Kingdom)が惨敗したことで、次にケンタッキーダービー馬が出走するにはまた77年かかるかもしれない。

 今年一番知名度の高い遠征馬として、昨年脚光を浴びたブラックキャビア(Black Caviar)の役割を演ずることとなったドバイワールドカップ勝馬アニマルキングダムは、13頭立ての13枠だったが、レース序盤から行きたがってかかり気味になり、ジョン・ベラスケス(John Velazquez)騎手に困難な騎乗を強いた。一旦導火線に火がつくと大抵は止められないもので、レース前半で力を使い果たしていた。

 競馬場の実況アナウンサーが、「アニマルキングダムが苦戦しています」と伝えた時、アスコット競馬場のグランドスタンドから観衆が大きく息をのむ音が聞こえたようである。グラハム・モーション(Graham Motion)調教師は、「そのほとんどは私が息をのんだ音でした」と述べた。

 メリーランドを拠点とする英国人のモーション調教師は、見せ場のなかったことに意気消沈したと述べたが、彼の若い娘ジェーンは失望の程度を伝えるのに言葉を必要とせず、涙ぐんでいた。

 モーション調教師は次のように語った。「誰もがアニマルキングダムが優勝すると予想していましたが、他の馬も全力でレースを走ったはずであり、その結果がこれです。私はいつも自分が取り組んでいることに完全に自信を持っている訳ではありませんが、今回は、英国競馬が米国競馬とは大きな違いがあり、厄介な状況に繋がりました。ジョニーはアニマルキングダムを早く英国の馬場に慣らすのに非常に苦労していました。ジョニーは考えていたよりも少し柔らかい馬場だったと言っていましたが、そのことはまったく言い訳にならないと思います」。

 結局、米国とドバイで勝利を収めただけのアニマルキングダムにとって、環境の異なるレースでの挑戦が自滅のもととなった。

 モーション調教師は次のように続けた。「調教では良く動いていたのですが、これこそが私が警告していたことです。始めから行きたがって折り合いがつきませんでした。米国であれば、コーナーを回るときに容易に馬群に入れることができますが、アスコットは直線なので、全く違う競技をしているようでとても厄介でした」。

 アニマルキングダムは今回引退し、豪州のアローフィールド牧場(Arrowfield)で種牡馬入りする。モーション調教師は、「クイーンアンSに向けての調教は抜群に良かったです。全く率直に言うと、全てがうまく行き本当に満足していたのですが、このような結果になり残念です。アニマルキングダムは歓迎されたので、実力を見せられたらどんなに良かったでしょう」と語った。

 そして次のように付言した。「どの馬にもついていない日はありますが、おそらく今日はアニマルキングダムにとっての初めての不運な日です。この結果もやむを得ないことと考えています。自分自身のためよりも皆さんのことを思いがっかりしています。特別な馬はロイヤルアスコットに参戦させねばならず、アニマルキングダムはまさにそういう馬だと考えていましたが、いい結果は出ませんでした」。

 ベラスケス騎手は午後5時の便でヒースローからニューヨークに向かうため、レース後急いで競馬場を後にした。そして、「アニマルキングダムの走る意欲を確かめるために手綱をとった時、全くその気配がありませんでした。素晴らしい馬ですが、今日は力を発揮できませんでした。彼はただ走らなかっただけです。彼の本来の姿ではなく、不運な日でした」と語った。

By Nicholas Godfrey

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No.16「アニマルキングダム、ロイヤルアスコット開催に参戦予定(イギリス)」、
No.20「アニマルキングダム、クイーンアンS(G1)へ(イギリス)

[Racing Post 2013年6月19日「Kingdom bows out on a low as British adventure is undone by failure to settle」]