海外競馬ニュース 2020年02月20日 - No.7 - 2
エリザベス女王、襲撃されたリビアの牧場にお見舞いのメッセージ(リビア)[その他]

 エリザベス女王は、リビアのアルシャーブスタッド(Al Shaab Stud)にお見舞いのメッセージを送った。同スタッドは1月、武装集団に襲撃されて種牡馬・受胎牝馬を含む40頭以上の馬が誘拐されていた。

 第一波の襲撃で盗まれた種牡馬には、1998年ソラリオS優勝馬レイズアグランド(Raise A Grand 24歳)、エーピーインディ(A.P. Indy)の半弟イーヴスドロッパー(Eavesdropper)がいた。また、出産シーズンを迎えつつあった繁殖牝馬も連れ去られた。

 リビアの内戦当事者間の協議を受けて、馬が戻って来るかもしれないという一縷の望みがあった。しかし、2月8日にジュネーブで行われたリビア内戦の停戦協議は合意にいたらず終了した。

 この協議は、国連が支援する暫定政府(GNA 首都トリポリ)とハリファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍(LNA リビア東部)との間で停戦を実現させることが狙いである。この2週間、首都トリポリを巡る攻防戦は鎮静化している。

 国連は声明において、「両者とも、包括的な停戦合意に向けて交渉を続ける必要性を認めています。国連は2月18日に改めて協議するよう提案しています」と述べている。

 アルシャーブスタッドの場長であるアマド・エシャーブ(Amad Eshaab)博士の事務所(トリポリ近郊)は本紙(レーシングポスト紙)にこう伝えている。「ハフタル将軍を支援するフランス・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・エジプトが、ハフタル将軍に政治的圧力を掛けるかもしれません。これにより、馬の解放が早まるかもしれません」。

 「ハフタル将軍を支持するアルカニ(Al-Kani)の武装集団は、馬14頭を誘拐したことを認めています。理由ははっきりしませんが、フェイスブックではこれらの馬はベンガジ(リビア北東部の港湾都市)に輸送され、そこからまた別の場所に移されると言われています」。

 「現在まで、どの動物保護団体も、馬を取り戻すために介入してほしいという私たちの要求に応じてくれません」。

 「国連と接触しましたが、何の成果もありません。一方、エリザベス女王からは返事があり、その中で武装集団の行動が非難されていました」。

 「不幸にも、飢えと水分不足のために5頭が死にました。牛用の濃厚飼料を与えた後のことでした。スタッフは悲しみと怒りが入り混じった感情を抱いています」。

 エリザベス女王の秘書室からアルシャーブスタッドに届いたメッセージにはこう記されている。「このような悲しい出来事を女王陛下にお知らせくださったことに感謝しています。つらい時期かと存じますが、このメッセージには女王陛下のお見舞いの気持ちが込められています」。

 獣医師であるエシャーブ博士はリビアで競馬産業および馬生産業を築くために、欧州と豪州から種牡馬や繁殖牝馬などを輸入して、アルシャーブスタッドを創設していた。

By Andrew Scutts

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[Racing Post 2020年2月11日「Queen sends best wishes to Libyan stud as ceasefire talks offer glimmer of hope」]