海外競馬情報 2026年07月30日 - No.27 - 2
有力シンジケート馬主に不正疑惑が浮上し、出走停止処分を受ける(イギリス)【開催・運営】

 G1競走を制したシンジケート馬主が、その会員や委託する調教師たちを「悲惨な状況」に陥らせ、金銭的な損害を被らせた疑いにより、英国競馬統括機関(BHA)から所有馬を英国で出走させることを禁止された。

 ライアン・タン氏が代表を務めるデヴァレーシングは、シンジケート会員への賞金の支払いを怠ったほか、かつての代表馬であるインペリアルエンペラーを含む競走馬について、出資口数を水増しして過剰に販売し、さらに預託料の支払いも怠ったとされている。

 ジェームズ・オーウェン調教師は、デヴァレーシングに対するこれらの疑惑の影響を受けた人物の1人であり、英国の複数の調教師も同シンジケートから支払いを受けていないとされている。

 ニューマーケットを拠点にする同調教師は、本紙の取材に対し次のように語った。「この一連の事態には非常に失望していますし、会員の皆さんには心から同情しています。私たちはデヴァレーシングのために多くの成果を上げてきたからです。ひどい状況ですが、うまく解決されることを願っています。今後数週間のうちに、私たちがどのような立場になるのかがわかるはずです」

 「英国の多くの調教師にとって混乱した事態になってしまい、本当に残念です。自厩舎では多くのシンジケート馬主からの預託を受け入れていますが、それらは大きな成功を収めているため、このような事態になったことは残念です。決してよい印象を与えませんし、このようなことが繰り返されることなく、調教師から厩舎スタッフ、シンジケート会員に至るまで、誰もが本来受け取るべき支払いを受けられることを願っています」

 「とはいえ、誠実な人々によってうまく運営され、成長を続けている他のシンジケートの評価まで、この件によって傷つけられることがあってはなりません」。

 BHAは声明で次のように語った。「BHAが、英国で調教されているデヴァレーシングのシンジケート馬について、出走登録および出馬投票の受け付けを停止したことは間違いありません。関係のあるシンジケート会員の方は、intel@britishhorseracing.com でBHAまでご連絡ください」

 「現時点では、この件に関してこれ以上のコメントは差し控えます」。

 本紙の取材に対し、タン氏からの返答はなかったが、デヴァレーシングの公式アカウントから送られてきた自動返信メールには、「深刻な健康上の問題」によりかかりつけ医から休養を指示されており、メールへの返信ができないと記されていた。メールの末尾には「この受信箱は現在確認されておりません」とあった。

 デヴァレーシングは今月のタタソールズ7月セールに所有馬の一部を上場し、そのうち3頭が落札された。最高額で落札されたのはダッパーヴァレーで、マイケルキーディレーシングに25,000ギニー(26,250ポンド=約564万円)で落札された。

 疑惑の中心となっている馬の1頭がインペリアルエンペラーである。本馬はドバイでブパット・シーマー調教師が管理し、キャリアを通じて150万ポンド(約3億2,250万円)近くの賞金を獲得している。

 同馬の勝鞍には、1月にメイダン競馬場で行われたアルマクトゥームチャレンジ(G1)が含まれ、6歳にして3月のドバイワールドカップ(G1)では4着に入り、その際40万ポンド(約8,600万円)を超える賞金を獲得した。

 同馬のシンジケート会員の1人であるトム・ウォルトン氏は、ポッドキャスト「ニック・ラック・デイリー」で、ドバイワールドカップで得た賞金がまだ支払われていないと主張した。これは支払われていれば、1人当たり5%の持分につき、約3万ポンド(約645万円)を受け取るはずだったものである。

 同氏によると、タン氏から7月8日までに会員への支払いを済ませると期限が設けられていたが、まだ入金されていないという。

 またウォルトン氏は、デヴァレーシングがインペリアルエンペラーの出資口数を、本来の100%を超えて130%分まで販売していたこと、さらにはタン氏がシンジケート会員の同意を得ずに、同馬をタタソールズ社とエミレーツレーシングオーソリティ(ERA)が主催するオンラインセリに上場させていたと主張した。

 同氏によると、彼と他の会員はインペリアルエンペラーを個人的に買い取り、同馬は引き続きシーマー厩舎で管理される予定だという。

 デヴァレーシングのウェブサイトによると、オーウェン調教師に加え、同馬主の調教師にはヒューゴ・パーマー調教師、イアン・ウィリアムズ調教師、オリー・マーフィー調教師らが名を連ねていた。また、米国ではウェスリー・ウォード調教師にネヴァーオンフライデーという馬を預けていたことも記載されている。

 BHAによると、英国には馬主として3,019のシンジケートが存在する。2024年、同機関は「共同所有の規制をさらに強化する」ことを目的として、シンジケートおよびレーシングクラブの責任者向けのライセンス制度を導入した。

 すべてのシンジケートおよびレーシングクラブの責任者は、2026年1月1日までに有効なライセンスを取得することが義務付けられた。BHAは、これにより「申請をより徹底的に審査」し、経営能力などの重要な分野を評価できるようになると述べている。

By Matt Rennie

(1ポンド=約215円)

[Racing Post 2026年7月23日「Trainers left in 'messy situation' as Group 1-winning syndicate barred from running horses amid allegations of unpaid prize-money and training fees」]