英国王室ゆかりの競馬場であるアスコット競馬場は、年末をもって英国競馬場協会(RCA)を脱退するというこれまでの警告を実行に移すという衝撃的な発表を行い、RCAの将来や、英国競馬のガバナンスのあり方に大きな疑問を投げかけている。
英国で最も権威ある競馬場であるアスコット競馬場は、3月にRCAのウィルフ・ウォルシュ会長あてに送られた書簡に名を連ねた関係者の一つであった。その書簡の中で「競馬界の改革支援」のため、同組織のガバナンスについて緊急の見直しを求め、4月末までに改革案を提示するよう要請していた。
RCAは12週間にわたるガバナンスの見直しを実施する予定であり、英ジョッキークラブは継続中の協議に参加することを約束している。しかし英ジョッキークラブもまた、提案される改革内容に満足できなければ、年末をもってRCAの会員資格を更新しないと警告した。
書簡の他の署名者であるグッドウッド競馬場、ニューベリー競馬場、ヨーク競馬場、そしてチェスター競馬場が、アスコット競馬場に続いて業界団体を脱退するかどうかは、まだ明らかではない。しかしヨーク競馬場は、「協力的かつ建設的な議論」に勇気づけられていると述べた。
RCAは、アスコット競馬場の発表に対してまだ公式のコメントを出していない。
競馬場側によるRCAへの最後通告は、3月に英国競馬統括機関(BHA)会長を務めていたアレン卿が辞任したことを受けて提出された。
月曜日の声明で、アスコット競馬場のCEOフェリシティ・バーナード氏は次のように述べた。「RCAから離脱するという決定は軽々しく下されたものではなく、これは競馬界の長期的な健全性の利益になるという私たちの見解に導かれたものです」
「3月3日以降、私たちはRCAと建設的に協議を重ねるとともに、ガバナンス改革を求める姿勢を明確かつ一貫して示してきました。私たちは、その改革が競馬とその関係者の変化し続けるニーズを反映するために必要だと考えています」
「残念ながら、十分な進展は見られていません。私たちは、アスコット競馬場が今後も競馬界全体の成功に貢献し続けられるよう、業界内で協力して取り組むことに引き続き尽力していきます」。
反旗を翻した競馬場側は、彼らの目的について、RCAの「理事会および議決権構造のバランスが取れ、信頼できるものとなること」、「主要競馬場の重要な意見が意思決定に影響を与えられること」、そして「組織が業界全体に影響する問題について断固として行動できること」を確保することにあると述べた。
また彼らは、「独立したBHA理事会の設置によって実現される、BHAによる英国競馬の強力な中央指導体制」を支持するとともに、現行のガバナンス体制が「迅速かつ効果的な意思決定を妨げている」との考えを示した。
独立したBHA理事会の設置は、アレン卿がBHAに加わる条件の一つだった。
当時、バーナード氏は次のように警告していた。「我々は(RCAから)離脱する用意があります。この発言は軽々しくしているものではありません」。
月曜日の声明で、アスコット競馬場は、3月以降の協議は「広範囲にわたり友好的なものだった」が、RCAの議決権構造や理事会における代表構成の変更については満足のいく形で実現されなかったと述べた。
アスコット競馬場は、RCAを離脱する最初の競馬場ではない。トウスター競馬場は、2018年に同競馬場での開催運営を停止した際、既に会員ではなかった。
■サヴィル氏「アスコット競馬場の見解は理解できる」
プランプトン競馬場も2024年末にRCAを離脱しており、オーナーのピーター・サヴィル氏は、RCA理事会にいる独立した小規模な競馬場の代表者たちが、賞金拠出の改善に関する彼自身の考えを共有していなかったと述べた。また、プランプトン競馬場は独立した小規模な競馬場の代表を誰にすべきかについて意見を求められなかったとも語った。
月曜日、英国競馬公社(BHB)元会長のサヴィル氏は、アスコット競馬場が今回の決定を下した理由は理解できると述べた。
サヴィル氏はこう語った。「本質的には、理事会の構造、そして一部の議席の代表性について、彼らは不満を抱いているようです。RCAが存続するためには、理事がどのように選任されるのか、また競馬場間で何が公平な代表性なのかについて、より透明性の高い制度が必要です」
「アスコット競馬場も、私たちが到達したのと同じ結論に至ったのだと思います。つまり、自分たちの意見が理事会レベルで十分に反映されていないということです。大手競馬場には彼らなりの議席があることは承知していますが、彼らは発言力が十分ではないと感じており、理事会の構造や人選を見ると、彼らの見解は理解できます」
「大手競馬場と小規模競馬場の間の適切なバランスを取ること、そしてその議席が競馬界の最善の利益のために働く人々によって占められるようにすることは極めて重要です。RCAが内部構造を見直す中で、そのような結果を実現できることを願っています」。
全英調教師連盟(National Trainers Federation)の元会長であるラルフ・ベケット調教師も、アスコット競馬場と英ジョッキークラブへの支持を表明した。
ベケット氏はこう語った。「アスコット競馬場と英ジョッキークラブは、競馬の最善の利益を本気で考えるすべての人々から称賛されるべきであり、全英調教師連盟も彼らを全面的に支持しています。現在の構造は機能していないのだから、なぜそれを続けるのでしょうか。同じことを繰り返しながら何かが変わると期待するのは、まさに狂気そのものです」
「BHAは会長不在のままでは、しばらくの間、十分に機能する状態にはなれないでしょう。では、なぜ待つ必要があるのでしょうか。私たちにはそんな時間はありません。また、BHAに会長が就任したら状況が良くなると、なぜ思い込むのでしょうか。歴史が示しているのは、それが愚かな考えだということです」。
1907年に英国の競馬場の業界団体として設立されたRCAは、馬主協会(ROA)、サラブレッド生産者協会(TBA)、およびその他の免許を交付されている関係者とともにBHAの会員、つまり株主の一つである。RCAはBHA理事会で会員が選出できる理事4名のうち2名を指名できるうえ、競馬賭事賦課公社(Levy Board)の理事会にも代理人者を送り込んでいる。
BHAの定款によれば、RCAは「英国において競馬場オーナーの利益を代表するのに最もふさわしい組織」でなくならない限り、BHAの会員であり続ける。
ただし、BHAが競馬場を代表する他の団体を推薦できない限り、RCAをメンバーから除外することはできない。
BHAは、アスコット競馬場の発表について承知していると述べた。
広報担当者は次のように付け加えた。「現時点では、これは主にRCAと競馬場側の問題ですが、もちろん、この動きについてはBHA理事会と協議し、また競馬場およびその代表団体とも連携しながら、競馬のガバナンスに関する継続的な協議の一環として話し合っていきます」。
By Bill Barber
[racingpost.com 2026年5月4日「Ascot carries out threat to leave Racecourse Association sparking major rupture in British racing」]
