香港の2024/25シーズンで圧倒的な戦績を残し、レコード記録を更新した4歳馬の快足馬カーインライジング(父シャムエクスプレス)が年度代表馬に選出され、7月11日に開催された授賞式で表彰された。同馬は最優秀短距離馬および最優秀4歳馬のタイトルも手にした。
カーインシンジケートが所有しデヴィッド・ヘイズ厩舎に所属する同馬は、前シーズン、最優秀グリフィン(未出走のまま輸入され香港で2~3歳時にデビューを迎えた馬から選出)を獲得しており、2年目は目覚ましい成長を遂げた。今シーズンのなかでも特に重要な勝ち鞍となった香港スプリント(G1)を制したのち、4月のチェアマンズスプリントプライズ(G1)での圧勝を含め年間最多勝利記録に並んでシーズンを終え、最優秀短距離馬の称号を確実なものにした。
カーインライジングはチェアマンズスプリントプライズ勝利によって、今シーズンの戦績を8戦全勝としただけではなく、連勝記録も12まで伸ばした。同馬は香港スピードシリーズ3冠を達成して、500万香港ドル(約9,500万円)のボーナスを獲得し、ミスターバイタリティ(1995/96)、グランドデライト(2002/03)、サイレントウィットネス(2003/04および2004/05)、ラッキースワイネス(2022/23)が成し遂げた功績に名を連ねることとなった。
また、香港ジョッキークラブスプリント(G2)を1分7秒43で走破し、セイクリッドキングダムが2007年に記録したシャティン競馬場1,200mのレコードタイムを破った。その2ヵ月後のセンテナリースプリントカップ(G1)では自身が持つレコードタイムを1分7秒20まで縮めた。国際レーティングが126と短距離馬としては現時点で世界一の評価を受けており、ロンジン・ワールドベストレースホース・ランキングでは、レーティング127で1位タイのフィールドオブゴールド、フォーエバーヤング、オンブズマンの3頭に次いで、ロマンチックウォリアーとタイの4位につけている。シーズンを通して素晴らしい成績を収めたことから、最優秀4歳馬にも選出された。
ヴォイッジバブルが最優秀マイラーおよび最優秀長距離馬に選出
キンワン・イウ厩舎所属の6歳馬ヴォイッジバブル(父ディープフィールド)にとっても輝かしいシーズンとなった。特に5月には総賞金1,300万香港ドル(約2億4,700万円)のチャンピオンズ&チャターカップ(G1)を印象的な勝ち方で制した。これよって同馬は、香港スチュワーズカップ(G1)、香港ゴールドカップ(G1)、チャンピオンズ&チャターカップの3戦(いずれも総賞金1,300万香港ドル)全てを優勝して1993/94のリヴァーヴァードン以来、2頭目となる香港古馬三冠を達成し、1,000万香港ドル(約1億9,000万円)のボーナスを獲得した。
ヴォイッジバブルは、今シーズンのマイル戦線および長距離戦線で圧倒的な強さを見せつけ、香港マイル(G1)に続き香港スチュワーズカップにも勝利しており素晴らしい戦績で最優秀マイラーにも選出された。特に香港マイルは出走馬のうち(同馬自身も含めた)7頭がのちにG1競走で優勝したことから、価値の高い勝利となった。
ロマンチックウォリアーは最優秀中距離馬に選出
7歳馬のロマンチックウォリアー(父アクラメーション)は、香港カップ(G1)、ジェベルハッタ(G1)、ジョッキークラブカップ(G2)に勝利し、4シーズン連続で最優秀中距離馬の座を獲得した。チャップシン・シャム調教師が手がけ、世界中で活躍している同馬はサウジカップ(G1)で唯一ダート戦に挑戦し、ダートではレーティング世界一位のフォーエバーヤングから首差の2着となった。粘り強い走りを見せたあと、ドバイターフ(G1)でソウルラッシュから僅差の鼻差2着に入り、生涯獲得賞金が2億1,470香港ドル(約40億7,930万円)となって、自身が持つ獲得賞金の世界最高記録を更新した。
ロマンチックウォリアーは、ジェベルハッタで世界中から集まった中距離路線のトップホースたちを相手に4馬身差以上をつけて、1分45秒10という驚異的な時計をたたき出し、レコードを樹立した。同馬は香港調教馬としては初めて、香港、日本、オーストラリアおよびドバイの4地域をまたいで、G1を制した馬となった。
その他の表彰
マーク・ニューナム厩舎のマイウィッシュは、今シーズンで最もレーティングを上昇させた馬として表彰された。シーズン開始時のレーティングは54だった。しかし、キャリアを通して、ベストパフォーマンスとされる1月の香港クラシックマイル(L)での勝利を含め、2シーズン目に9戦中、4勝、2着2回、3着2回、4着1回という成績を収めて、レーティングは51ポイント上昇して105となった。
マイウィッシュは4歳馬クラシックシリーズの残る2戦でも好走し、香港クラシックカップ(L)と香港ダービー(L)のいずれも2着に入った。
ザカリー・パートン騎手は8度目の最優秀騎手を受賞した。オーストラリア出身の同騎手は、香港で通算1,800勝を達成し、ダグラス・ホワイト騎手が記録した香港での通算勝利数を破り、またもや圧巻の成績を残すシーズンを送った。今シーズン中にハッピーバレー競馬場での700勝目、シャティン競馬場での開催で1,000勝目をそれぞれ達成している。
最も人気のある騎手と競走馬については、今シーズンのシャティン競馬場最終開催となる7月13日(日)に発表される。最優秀調教師の授賞式は、7月16日(水)の最終開催日を待たず、絶対的なリードを築く調教師がいれば、7月13日のレース後に行われる。今シーズンの最優秀グリフィンおよびトニー・クルーズ賞(最優秀ローカル騎手)はシーズン88開催目となる最終日にハッピーバレー競馬場にて発表される。
By Hong Kong Jockey Club
(1香港ドル=約19円)
[bloodhorse.com 2025年7月11日「Ka Ying Rising Crowned Hong Kong Horse of the Year」]