海外競馬情報 2020年09月18日 - No.9 - 2
レーシングヴィクトリア、鞭改革を推進(オーストラリア)【開催・運営】

 レーシングヴィクトリア(Racing Victoria: RV)のCEOは9月7日、ヴィクトリア州は安全確保以外の理由での鞭使用を最終的に禁止することを目指して前進しなければならないと述べた。RVは、豪州競馬を他国で施行されている競馬と調和させるための改革を推進している。

 これは、メルボルンカップ(G1)6勝の馬主ロイド・ウィリアムズ(Lloyd Williams)氏など、競馬界の重鎮からの鞭使用禁止の要求に応える動きだ。

 RVのCEOジャイルズ・トンプソン(Giles Thompson)氏は、現行の鞭使用ルールは昨今期待されているものとは不釣り合いになってきており、競馬の利益を長期的に守るためには変更が必要だと考えている。

 同氏はこう語った。「RVは競馬産業のリーダーとして、現在の競馬を運営するだけでなく、次世代のために競馬を生き生きとして繁栄したものにし続ける責任を負っています」。

 「既存のファンを引きとめ、将来のファンや従事者にとって競馬が魅力的なものであることを私たちが望むのであれば、鞭改革を進めることは不可欠です」。

 「今こそ鞭改革を進めることが必要であり、競馬産業は長期的に最善の利益となるように鞭使用禁止に向けて全国的に取り組み続けるべきであるという見解をRVは持っています」。

 現在レーシングオーストラリア(Racing Australia)が採用する鞭使用ルールにおいて、騎手はゴールまで残り100 mの地点までに鞭を最多で5回使用でき、その後は無制限で使用できる。

 RVは、数ヵ月以内に全国的規模での鞭使用ルールの変更を行うことを望んでいる。レーシングオーストラリアの理事会(11月開催)では、1レース当たりの鞭の使用回数を5回~8回とするルールを2021年1月から導入することを提案するだろう。

 これにより、鞭使用回数を平地競走で7回まで、障害競走で8回までとする英国のルールと同様のルールが豪州にもたらされる。

 トンプソン氏はこう語った。「英国・アイルランド・フランス・ドイツ・米国の主要競馬州は、鞭使用回数を大幅に減らすことを実施もしくは発表しています。それでも、激しい名レースが繰り広げられ続けています。豪州競馬は現時点で、鞭使用ルールの改革で後れを取っています」。

 「競馬産業としては、いずれにせよ国全体の取組みとして鞭改革が進められるのが一番望ましいでしょう。それこそが私たちが切望することですが、まだ成し遂げられていません」。

 「鞭改革をすぐに進展させることは、豪州競馬にとって一番の利益になると信じています。年内に大きな一歩を踏み出すために、レーシングオーストラリアの理事会と他州に私たちの取組みに加わってもらうよう促しています」。

 トンプソン氏は、鞭使用ルールの変更が豪州競馬の将来にとって重要な要素であることを断固として信じている。その一方で、騎手に安全を確保させるうえで鞭が果たす大きな役割についても強調した。

 「騎手たちが安全を確保するために鞭を使用できることは大切です。RVは常に、騎手の安全を提唱しています。しかし、ヴィクトリア州、ひいては豪州全体において、2021年からレースで使用できる鞭の回数を減らしたいと思っています。 これは競馬産業にとって正しい方向への重要な一歩となるでしょう。パッド付き鞭が初めて導入されてから10年でコミュニティーの意識が向上しており、それに応えるものです」。


By Paul Tatnell/Racing.com

[Racing Post 2020年9月7日「Racing Victoria pushes for whip reform as chief says sport should target a ban」]