海外競馬情報 2020年08月24日 - No.8 - 3
クールモア、前途有望な種牡馬ウートンバセットを購買(フランス)【生産】

 クールモアは、初年度産駒から2016年欧州最優秀3歳牡馬アルマンゾル(Almanzor)を送り出したウートンバセット(Wootton Bassett)をエトレアム牧場(Haras d'Etreham)から購買した。

 これはさまざまな意味で大きな取引である。たしかに、ちょうど全盛期に達したフランスの最高級の種牡馬を購買するのは安くはない。

 クールモアのデヴィッド・オローリン(David O'Loughlin)氏はこう語った。

 「ウートンバセットはフランスで供用され、少頭数の初年度産駒から素晴らしい結果を出しました。たった23頭の初年度産駒の中にはクラシック勝馬で欧州最優秀3歳牡馬のアルマンゾルがいます。他にも仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)2着馬2頭[2018年のパタスコイ(Patascoy)と2020年のザサミット(The Summit)]、今年の仏1000ギニー(G1)の鼻差の2着馬と3着馬を送り出しました[スピークオブザデビル(Speak Of The Devil)とマジェヴァ(Mageva)]。これらの産駒は種付料6,000ユーロ(約75万円)以下のときの交配の結果、生まれてきました」。

 「私たちは彼に対して"真のクラシック馬の父"という印象を持っています。大変優秀な産駒を送り出し、欧州で強い影響力をもつ種牡馬(サドラーズウェルズ・ガリレオ・モンジュー・デインヒル・グリーンデザート・インヴィンシブルスピリット・デインヒルダンサー・ドバウィなど)の血が入っていない全くのアウトクロス馬(異系交配種)です。

 「彼がクールモアに来ることにワクワクしています。また、ガリレオの牝馬と交配すればどのような優良産駒を送り出すのか想像が膨らみます」。

 リチャード・フェイヒー(Richard Fahey)調教師に管理され、2歳シーズンに5戦5勝したウートンバセットは現在12歳である。2つの高額賞金レースを制した後、ジャンリュックラガルデール賞(G1)で決定的な勝利を収めた。そしてフランスで2歳牡馬として最高のレーティングを獲得した。

 ウートンバセットの種付料は2017年に6,000ユーロ(約75万円)から2万ユーロ(約250万円)に引き上げられた。現在2歳の産駒は引上げ以降初めて生まれた産駒である。

 その中には、無敗のリステッド勝馬チンディット(Chindit リチャード・ハノン厩舎)、ドーヴィルでのデビュー戦で5馬身差の勝利を決めたミッドライフクライシス(Midlife Crisis清水裕夫厩舎)、8月11日に圧勝したアーリーライト(Early Lightファブリス・シャペ厩舎)がいる。

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 エトレアム牧場のニコラ・ド・シャンビュール(Nicolas de Chambure)氏はこう語った。「ウートンバセットは欧州で最もワクワクする前途有望な種牡馬としての地位を確立しました。エトレアム牧場で彼に関わった者は皆、彼と素晴らしい日々を過ごし、大いに楽しみ、とても誇りに思っています」。

 「良血の産駒はまだデビューしていませんので、彼の前に素晴らしい未来が開けることはまちがいないと考えます。クールモアの繁殖牝馬群は、彼が出世コースを歩むのに絶好のチャンスをもたらすでしょう」。

 「もちろんエトレアムのチームは彼が旅立つことに寂しさを感じています。それでも彼の最優良産駒アルマンゾルの今年1歳となった初年度産駒に大きな期待を持っていますし、G1馬ハローユームザイン(Hello Youmzain)が引退後に2021年からここで供用されることも楽しみにしています」。

 「ウートンバセットがエトレアムで過ごした8年間、彼を支援してくださった全ての出資者と生産者に感謝したいと思います」。

 ウートンバセットは、ランドリーコテージスタッド(Laundry Cottage Stud ハーフォードシャー)により生産された。父はイフラージで、母はバラドニア(Balladonia 父プリモドミニー)。2009年に1歳でセントレジャーセールに上場され、ボビー・オーライアン(Bobby O'Ryan)氏により4万6,000ポンド(約644万円)で購買された。

By Andrew Scutts

(1ユーロ=約125円、1ポンド=約140円)

[Racing Post 2020年8月14日Coolmore pull off big coup as they buy rising stallion sensation」]