海外競馬情報 2019年11月21日 - No.11 - 5
初年度産駒が大活躍のキングマンの種付料が大幅引上げ(イギリス)【生産】

 ジャドモントファームのバンステッドマナー牧場(ニューマーケット)で供用されているセンセーショナルな種牡馬キングマン(Kingman)の種付料は、7万5,000ポンド(約1,050万円)から15万ポンド(約2,100万円)に引き上げられる。

 キングマン(8歳)は今年、仏2000ギニー(G1)優勝馬ペルシアンキング(Persian King)を含むステークス勝馬28頭(うち6頭は重賞勝馬)を送り出した。他の代表的な産駒には、カリックス(Calyx)やヘッドマン(Headman)がいる。また、サードクロップ(供用3年目の産駒)は1歳セリで高い人気を博した。

 同牧場で最高の種付料を誇るフランケルも、素晴らしい一年を過ごした。英オークス(G1)優勝馬アナプルナ(Anapurna)や英セントレジャーS(G1)をコースレコードで制したロジシャン(Logician)などを送り出したことで、その種付料は2020年も17万5,000ポンド(約2,450万円)で維持される。

 バンステッドマナー牧場のサイモン・モクリッジ(Simon Mockridge)場長はこう語った。「世界で最もエキサイティングな種牡馬の2頭、フランケルとキングマンをここで供用していることをとても光栄に思います」。

 「キングマンは驚異的なスタートを切りました。初年度産駒からクラシック勝馬のペルシアンキング、G2勝馬のカリックスとヘッドマン、ムジドラS(G3)優勝馬ノーシャ(Nausha)、ハンプトンコートS(G3)優勝馬サンガリアス(Sangarius)などを送り出しました」。

 「今年、欧州でキングマンよりも多くの3歳ステークス勝馬を送り出したのはガリレオだけです。また、キングマンのセカンドクロップ(供用2年目の産駒)からはプレステージS(G3)優勝馬ブーマー(Boomer)を含むステークス勝馬4頭が出ています。さらに、サードクロップは1歳セリで信じられないほど人気を博しました」。

 「キングマンの1歳産駒59頭が平均価格31万7,933ポンド(約4,451万円)で購買されました。タタソールズ社1歳セール・ブック1では、2頭の牡駒がそれぞれ230万ギニー(約3億3,810万円)と180万ギニー(約2億6,460万円)で落札されました」。

 モクリッジ場長はフランケルについてこう語った。「フランケルは北半球のどの種牡馬よりも多くの重賞勝馬を送り出すチャンスを生産者に提供します。出走産駒の28%がブラックタイプ勝馬、14%が重賞勝馬になるという驚異的な活躍を見せました」。

 「2014年~2017年に生まれた産駒の重賞勝馬率において、フランケルに勝る種牡馬はその父のガリレオだけです。これまで4世代の産駒しかデビューしていませんが、ガリレオ産駒の中で最も成功している種牡馬です。2019年には、アナプルナやロジシャンなどG1馬5頭を送り出しました」。

 「クワドリラテラル(Quadrilateral)がフィリーズマイル(G1 ニューマーケット)を制したことで、フランケルのG1優勝産駒は10頭となりました。クワドリラテラルは現在、来年のクラシック戦線の最有力馬となっています。セリでは、フランケルの1歳産駒37頭が平均価格43万6,160ポンド(約6,106万円)で購買されました。ゴドルフィンに310万ギニー(約4億5,570万円)で落札された牡駒は、フランケル産駒の中でこれまでの最高価格となりました」。

 バンステッドマナー牧場を拠点とする他の3頭の種牡馬、オアシスドリーム(Oasis Dream)、エキスパートアイ(Expert Eye)、ベイティッドブレス(Bated Breath)の2020年種付料も下表のように発表された。

 モクリッジ場長はこう続けた。「オアシスドリームは多くの優秀な短距離馬を送り出す欧州の一流種牡馬であり、ステークス勝馬・重賞勝馬・G1勝馬の頭数で欧州トップ5に入ります。また、出走産駒の10%がブラックタイプ勝馬となっています」。

 「2019年にブラックタイプ勝馬16頭を送り出しており、その中には愛1000ギニー(G1)2着馬プリティポリーアンナ(Pretty Pollyanna 2018年に2歳でG1優勝)や、重賞勝馬のシャインソーブライト(Shine So Bright)、ポリードリーム(Polydream)、イメージング(Imaging)、アザノ(Azano)、ミスターリッツ(Mr Ritz)が含まれます。オアシスドリームの種付料がわずかに引き下げられたのは、種牡馬生活が後半に差し掛かっていることを考慮してのことであり、実績のある種牡馬を探している生産者に手頃な価格となっています」。

 同場長は今年から供用されているBCマイル(G1)優勝馬エキスパートアイ(父アクラメーション)についてこう語った。「エキスパートアイの初年度産駒が生まれるのを楽しみにしています。2019年の種付予約はいっぱいとなり、種付けした繁殖牝馬の97%がステークス勝馬、もしくはステークス勝馬の母・姉妹・牝駒でした」。

 「エキスパートアイは2歳でG2優勝、3歳でG1優勝を果たしました。サー・マイケル・スタウト調教師は、『彼は早熟なタイプでバランスがとても良く、素晴らしく進化し成熟していきました。これまで手掛けた中で最高の2歳馬でした』と言っていました。彼は見栄えが良く堂々と歩くので、生産者を引き付けています。4代目の自家生産馬である彼が、ジャドモントファームに新たなサクセスストーリーをもたらしてくれることを期待しています」。

 ベイティッドブレスについて、モクリッジ場長はこう語った。「今年は飛躍の年になりました。G2優勝馬のスペーストラベラー(Space Traveller)、ワースウェイティング(Worth Waiting)、ダーヤー(Daahyeh)などステークス勝馬12頭を送り出しています」。

 「ロイヤルアスコット開催において3頭のベイティッドブレス産駒が優勝し、ガリレオやシーザスターズに並びましたが、同開催で最多の優勝産駒を送り出したシャマルダルに1頭だけ及びませんでした。ベイティッドブレスは種付料3万5,000ユーロ(約420万円)以下で供用される種牡馬の中で、欧州で最も多くのステークス勝馬を送り出しています」。

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By Andrew Scutts

(1ポンド=約140円、1ユーロ=約120円)

[Racing Post 2019年11月12日「Kingman fee rockets to £150,000 after brilliant year headlined by Classic win」]