海外競馬情報 2019年11月21日 - No.11 - 3
2020年クールモアの種付料(アイルランド)【生産】

 クールモアはその最強種牡馬群(23頭)の2020年種付料を発表した。その中には、楽しみな新種牡馬、カリックス(Calyx)、マグナグレシア(Magna Grecia)、テンソブリンズ(Ten Sovereigns)の初年度種付料も含まれる。

 コヴェントリーS(G2)を制した優秀なカリックス(父キングマン)と2歳&3歳シーズンにG1を制したマグナグレシアの初年度種付料はいずれも2万2,500ユーロ(約270万円)である。一方、トップスプリンターのテンソブリンズは父ノーネイネヴァー(No Nay Never)の傍らで、種付料2万5,000ユーロ(約300万円)で供用される。

 クールモアのセリ担当部長であるデヴィッド・オローリン(David O'Loughlin)氏はこう語った。「種付シーズンに向けて、とても楽しみな新種牡馬3頭を迎えることを嬉しく思っています。いずれも一流の競走馬で、優秀な種牡馬を父とします。手頃な種付料を設定しています」。

 「カリックスは最速のスピードを誇るキングマン産駒です。一方、マグナグレシアはインヴィンシブルスピリット(Invincible Spiritキングマンの父)が送り出した唯一の英国クラシック勝馬です。そして、テンソブリンズは驚異的な若い種牡馬ノーネイネヴァーの最も優秀な産駒です」。

 「カリックスはコヴェントリーSで優勝しました。マグナグレシアは2歳のときにフューチュリティトロフィーS(G1)、3歳のときに英2000ギニー(G1)で勝利を収めました。テンソブリンズは2歳のときにはミドルパークS(G1)、3歳のときにはジュライカップ(G1)をいずれも速いタイムで制しました。これら3頭はとても見栄えが良く、種牡馬として大変な人気を博すと思います」。

 テンソブリンズのジュライカップ優勝は、種牡馬として順調なシーズンを送っていたノーネイネヴァーにとっても最高の瞬間となった。同馬の種付料は、2019年に前年の4倍の10万ユーロ(約1,200万円)に高騰していたが、2020年にはさらに引き上げられて15万ユーロ(約1,800万円)になる。

 ノーネイネヴァーの父は、その若い死が非常に惜しまれているスキャットダディである。ノーネイネヴァーはステークス勝馬20頭を送り出しており、テンソブリンズの他に、コヴェントリーS優勝馬アリゾナ(Arizona)、スーパーレイティヴS(G2)優勝馬ミステリーパワー(Mystery Power)、クリテリウムドメゾンラフィット(G2)優勝牝馬シャドン(Shadn)などを送り出している。

 ノーネイネヴァー産駒は欧州と米国のいずれにおいても、最近の1歳セリで高い需要がある。タタソールズ社10月1歳セール・ブック2ではM・V・マグニア(MV Magnier)氏が牡駒(母Winning Sequence)を90万ギニー(約1億3,230万円)で、キーンランド9月1歳セールではビッグレッドファームが牝駒(母Arctic Freedom)を45万ドル(約4,950万円)で購買した。

 2020年には、この他に4頭の種付料が引き上げられる。初年度産駒が11月のセリに上場されるカラヴァッジオ(Caravaggio)の供用3年目の種付料は4万ユーロ(約480万円)とされる。また、フットステップスインザサンド(Footstepsinthesand)はスレット(Threat)やマムズティップル(Mums Tipple)などの産駒を送り出して実り多い年を過ごしたことで、その種付料は5,000ユーロ(約60万円)引き上げられて1万5,000ユーロ(約180万円)となる。

 グレンイーグルス(Gleneagles)は、今年2歳でデビューした初年度産駒からG2勝馬のロイヤルドーノッホ(Royal Dornoch)とロイヤルリザム(Royal Lytham)、ウィンザーキャッスルS(L)優勝馬サザンヒルズ(Southern Hills)など23頭の勝馬が輩出したことでリーディングファーストクロップサイアーとなり、種付料は3万5,000ユーロ(約420万円)に引き上げられる。スタースパングルドバナー(Starspangledbanner)も優秀な2歳馬であるチェヴァリーパークS優勝馬ミリスル(Millisle)を送り出し、その種付料は2万2,500ユーロ(約270万円)に引き上げられる。

 英国・アイルランドのリーディングサイアーに君臨して11年目となるガリレオ(Galileo)は、2020年もプライベート価格で供用される(2008年以降プライベート価格)。

 血統に大きな影響をもたらしているガリレオ(父サドラーズウェルズ)は、デインヒルが打ち立てた世界記録"G1優勝産駒84頭"にあと1頭で到達する。2019年競馬シーズンには、才能溢れるアンソニーヴァンダイク(Anthony Van Dyck)、サーカスマキシマス(Circus Maximus)、ジャパン(Japan)、ラブ(Love)、ソブリン(Sovereign)、そして凱旋門賞優勝馬ヴァルトガイスト(Waldgeist)などの産駒が活躍した。

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By James Thomas

(1ユーロ=約120円、1ポンド=約140円、1ドル=約110円)

[Racing Post 2019年11月4日「Coolmore release fees for newcomers Calyx, Magna Grecia and Ten Sovereigns」]