海外競馬情報 2015年10月20日 - No.10 - 4
ロンシャン競馬場改築計画の正式発表(フランス)【開催・運営】

 4年近くに及ぶ市当局やあらゆる利害関係団体との議論を経て、フランスギャロ(France Galop)は9月29日、“ロンシャン競馬場改築計画”を発表した。解体工事は、10月4日の凱旋門賞(G1)の翌週に開始される。

 建築家のドミニク・ペロー(Dominique Perrault)氏は、新しいグランドスタンドを“優雅でダイレクト”と表現した。そして、ロンシャン競馬場の歴史とブーローニュの森の環境に、これまで通り相応しいものになると確信していると語った。

 総工費1億3,100万ユーロ(約176億8,500万円)のうち7,350万ユーロ(約99億2,250万円)は、フランスギャロの戦略準備金から拠出される。

 残りの5,750万ユーロ(約77億6,250万円)については、フランンスギャロの自己資金あるいは銀行貸付金のどちらで支弁するか、フランスギャロ取締役会は10月末に決定する予定である。

 フランスギャロのベルトラン・ベランギエ(Bertrand Belinguier)会長は、ロンシャン競馬場を改築する理由を3つの側面から概説した。

 「第一に、フランス競馬界が看板となる競馬場を持つことは必要不可欠だと考えます。その上で、改築は全面的な建て替えとほぼ同様の高額費用が掛かります。第二に、新しい競馬場には、先端技術を100%活用した現代的側面を持たせたいと考えており、それは単純な改築では達成できません」。

 「第三に、これが非常に重要ですが、私たちはシュヴァルフランセ(Cheval Français:フランス速歩競走協会)とPMU(フランス場外馬券発売公社)とともに、競馬のイメージの刷新に取り組んでいます。新しいロンシャン競馬場は、次世代の競馬ファンを引き付ける重要なファクターとなるでしょう」。

 ベランギエ会長は、他国の大規模な競馬場改築を見て、香港や日本の競馬ファンに提供されている技術に感銘を受けたと語った。

 ペロー氏の事務所は、パリのフランソワ・ミッテラン国立図書館をデザインしたことで有名である。スポーツの分野では、ベルリンの競輪場とプールの複合施設や、マドリッドが2012年のオリンピック開催地に立候補した際に建てられたテニス競技場がある。

 ペロー氏は次のように語った。「ホースマンが使ってきた歴史ある建造物を尊重したいと思います。装鞍所や立派な木々が生えたパドックは、そのまま維持する予定です」。

 「グランドスタンドに関しては、パドックのようなレース前に使われるエリアの動きと実際レースが行われる馬場に繋がりを持たせたいので、透き通るような建物になるでしょう」。

 「指摘すべきもう1つの点は、グランドスタンドはゴール板の方に向かって傾くような、ダイナミックな動きを持った建物になることです」。

 2017年凱旋門賞までの完成に向け、ブイグ社(Bouygues 本社:パリ)が建設を請け負う。

 ブイグ社のベルナール・ムニエ(Bernard Mounier)地域担当部長は、建設期間を約24ヵ月とすることに問題はないと語った。

(改築後のロンシャン競馬場のイメージ映像)https://www.youtube.com/watch?v=uVPLccnaX3w

By Scott Burton
(1ユーロ=約135円)

(関連記事)海外競馬ニュース2015年No.19「ロンシャン競馬場の改築工事にゴーサイン(フランス)

[Racing Post 2015年9月30日「Longchamp set to be ‘elegant and direct’」]