海外競馬情報 2015年01月20日 - No.1 - 2
英国初の“タペタ競馬場”が好評(イギリス)【開催・運営】

 ウォルヴァーハンプトン競馬場が英国で初めてタペタ馬場を採用した“タペタ競馬場”に変身して約4ヵ月が経った。競馬産業全般の反応は暫定的なものであるが、ホースマン・ブックメーカー・賭事客の反応は間違いなく好意的である。

 以前のポリトラック馬場の管理を怠ったゆえにタペタへの転換が余儀なくされ、罵りと冷笑を買ったにもかかわらず、ウォルヴァーハンプトン競馬場が21年間で4つ目のオールウェザーとして採用したこの馬場への初期評価は、(1) 跳ね返りが少ない、(2) 同じパターンのレース展開になることがほとんどない、(3) 出走頭数が比較的多い、(4) 勝馬のオッズが高い、というものである。

 リーディングジョッキーのリチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手は、この新しい馬場で騎乗した経験は限られているものの、現在までの感想としてタペタは芝の次に良い馬場であると見ている。そしてどの脚質の馬にも不利となるようなことがなく、偏った傾向があるという証拠は見当たらないと述べる。より頻繁にこの馬場で騎乗するルーク・モリス(Luke Morris)騎手とジョージ・ベイカー(George Baker)騎手もこれに同意している。

 人生と同様、あらゆる肯定的な事柄には“しかし”が付き物である。この馬場については気温が−8℃以下に下がっても乗りこなせるか、一面雪に覆われればどのようになるか、まだ解明されていない。今後数週間でこの疑問への答えを見つけられるかもしれないし、見つけられないかもしれない。

 心強いことに、リーディングトレーナーに3回輝いた元障害調教師でタペタの開発者であるマイケル・ディキンソン(Michael Dickinson)氏は、昨冬米国のフェアーヒル調教場に敷設されたこの馬場が気温−18℃に持ちこたえたと報告した。英国ウェスト・ミッドランズ州の冬は寒いがこれほどの厳寒ではない。

 今週実施された競馬関係者への聞き取り調査は、過剰なまでに行われてきたオールウェザー競馬が人々の記憶に錯覚を起こさせていることを浮き彫りにした。聞き取り調査に応じた大多数の人々は、ウォルヴァーハンプトン競馬場がサウスウェル競馬場と同様に、最初は1993年に総工費1,570万ポンド(約28億2,600万円)でオールウェザー馬場敷設工事と競馬場改装が行われ、その後にファイバーサンド馬場が敷設されたということを忘れている。

 このファイバーサンド馬場は11年間使用され、その後ポリトラックに転換された。このポリトラック馬場には寿命を延ばすためにさまざまな素材が加えられ、製造者がたまりかねて公にポリトラックと名乗らないでほしいと要求するほど劣化した。そのため、この馬場はウォルヴァーハンプトン競馬場の“名を隠したオールウェザー”となり、多くの非難を受けた。


撤去してまた始めよう

 その後タペタが敷設された。メイダン競馬場ではタペタを撤去しダートに転換したが、アリーナレーシング社(Arena Racing Company)はウォルヴァーハンプトン競馬場に相応しいのはタペタであると考えた。今回は“タペタ10(Tapeta 10)”と堂々と名乗り、当初の配合に10の変更が加えられている。2014年8月11日〜11月30日の平均出走頭数は前年の9.03頭から9.88頭に増加しているので(ただし2年前の水準には達していない)、現在タペタ馬場を気に入っているのはヒューズ騎手一人ではないと言える。
 

ポリトラック/タペタ馬場の比較(P…ポリトラック、T…タペタ)
  2010年(P) 2011年(P) 2012年(P) 2013年(P) 2014年(T)
平均出走頭数 10.35頭 10.19頭 10.27頭 9.03頭 9.88頭
勝馬の平均オッズ 6.83 6.48 5.88 5.69 7.16


 ヒューズ騎手は次のように語った。「英国が採用したオールウェザーの中でウォルヴァーハンプトンのタペタは最高で、敷設できるものの中で最も芝に近い馬場です。偏った傾向が全くなく、跳ね返りもごくわずかです。タペタの素晴らしい所は、どのような乗り方をしても不利がないということです。飛ばし過ぎると止まってしまうでしょうが、適切なペースで走れば良いパフォーマンスができ勝つことができますし、後方から差すことも可能です。実際のところ、以前の馬場では、私は決して騎乗しませんでした。馬はこの馬場を好んでいないと言っていたのです」。

 ジェームズ・ユネット(James Unett)調教師は、この馬場を評価するのに適任である。以前ウォルヴァーハンプトン競馬場を拠点としファイバーサンドの時代に2年間調教活動を行っていたが、つい2ヵ月前に同場に戻ってきた。

 ユネット調教師は次のように語った。「タペタはファイバーサンドよりもずっと走り心地が優れています。ファイバーサンド馬場で調教を始めた頃は、いつも馬に強い負荷が掛かり容易ではありませんでした」。

 「タペタ馬場を体験するのは初めてですが、あらゆるオールウェザーの中で最も走り心地が良く馬の肢に優しいと考えています。この馬場は外枠からの発走が有利に働くことはないものの、前に出てペースを控えることはできます。騎手たちは内埒沿いを走るのではなく扇形に広がってレースを展開しているようですが、昔から写真の見栄えが良いのはスタンド側です。跳ね返りも減ったようです。この馬場が冬の厳しい寒さにどう持ちこたえるかが見ものです」。


すべての脚質の馬に公平

 本紙で20年以上ウォルヴァーハンプトン競馬場の競走論評を行っている元騎手のコリン・ロバーツ(Colin Roberts)氏は、現時点においてレースの勝敗は馬の脚質に関係ないと語った。

 「ラブ・ハヴリン(Rab Havlin)騎手は2週間前の開催で、いろいろな乗り方をしてジョン・ゴスデン(John Gosden)厩舎の2歳馬2〜3頭を勝利に導きましたが、同開催ではそのほかにも様々な脚質の勝馬が出ました」。

 「この馬場はすべてのタイプの馬に公平であるようで、偏った傾向がなく、馬はコーナーを回って扇形に広がることができ内埒を離れて走ることができます。この馬場は引き締まり少し速くなっています。ここ数週間である程度の水分を含みましたが、馬場自体は変わっていないようです」。

 ベイカー騎手は重い馬場であると当初述べていたが、8月の敷設時から引き締まり平均走破タイムが速くなったことでこの点は是正された。

 同騎手は「ポリトラックにそっくりの素晴らしい馬場で、良いパフォーマンスをした馬に公平な結果をもたらします。ドバイに敷設されていたタペタとは全く別物のようです」と語った。

 モリス騎手も同じ意見で、次のように語った。「メイダンのタペタは重く遅い馬場でした。ウォルヴァーハンプトンの以前の馬場は使い古されて跳ね返りが酷く、そのためにスピードを落とす必要がありました。しかし、もうその必要はありません。ここのタペタはリングフィールド競馬場の新しいポリトラック馬場とそっくりで、甲乙付け難いです」。
 

タペタ敷設時(8月)からの平均走破タイムの変化
距離 8月 9月 10月 11月
1m 141y      (1736m) 1分50秒41 1分50秒85 1分50秒13 1分49秒73
1m 1f 103y (1903m) 2分01秒63 2分01秒03 2分00秒54 1分59秒67
1m 4f           (2414m) 2分40秒32 2分41秒10 2分39秒76 2分39秒32
5f 20y   (1024m) 1分03秒83 1分02秒10 1分02秒13 1分01秒60
5f 216y (1200m) 1分15秒64 1分14秒71 1分14秒32 1分14秒04
7f 32y   (1437m) 1分29秒91 1分29秒05 1分28秒80 1分28秒46


By Rodney Masters
(1ポンド=約180円)

(関連記事)海外競馬情報 2014年No.5「ウォルヴァーハンプトン競馬場、英国で初めてタペタを採用(イギリス)

[Racing Post 2014年12月3日「Tale of the Tapeta」]