海外競馬情報 2014年09月20日 - No.9 - 2
2015年競馬再開のチェルムスフォードシティ競馬場、新基軸を発表(イギリス)【開催・運営】

 チェルムスフォードシティとして親しまれるだろう競馬場で、来年の競馬復活を担当するチームは、芝馬場のナイター競馬と新たなスーパー馬券の発売を目玉とする抜本的な計画を立てている。

 以前グレートリーズとして知られていた競馬場は、BHA(英国競馬統轄機構)から12開催日を割り当てられたことで、来年1月に6年ぶりに競馬を施行する。ベットフレッド社(Betfred)の創設者フレッド・ダン(Fred Done)氏率いる共同事業体が昨年後半に同場を購買したことを受け、2015年に開催日数が80日まで増加することが期待されている。

 グレートリーズ競馬場が最初に競馬を施行した2008年4月から、オーナー会社が破産して閉場した2009年1月までの短期間ではあったが、そのオールウェザー馬場(ポリトラック)は大好評を得た。

 また、その期間は施行されなかったが、オールウェザー馬場の内側に楕円形の芝コース(1マイル)を敷設することにより、芝レースがここで運営されることが計画されている。ただし、現在整備中のその馬場では2016年までレースが施行されることはない。

 この計画を推進するグレートリーズエステーツ社(Great Leighs Estates Ltd.)のフィル・シアーズ(Phil Siers)社長は、次のように語った。「あまり多くの人に知られていませんが、ここに芝馬場を敷設し、やがてレースが行われる予定です」。

 「全くユニークな芝馬場でのナイター競馬が施行されるでしょう。これは私たちがやろうと望んできたことです」。

 シアーズ社長とダン氏はそれ以前に、チェルムスフォードシティ競馬場をどこよりも高額賞金を提供する英国最高のオールウェザー競馬場として確立することを望んでいる。

 シアーズ社長は次のように続けた。「私たちは、競馬場の財源から1開催日あたり4万〜5万ポンド(約700万〜875万円)を拠出することができる事業計画を立てています。通常の開催日は6万〜7万ポンド(約1,050万〜1,225万円)、特別な開催日には8万〜9万ポンド(約1,400万〜1,575万円)の賞金を提供することを見込んでいます」。

 また、2015年に80開催日を獲得するために、BHAの賃借開催日程配分プロセスでチェルムスフォード競馬場の最初の12開催日に薄暮開催の割り当てを追加するだろうと語った。このうちいくつかの開催日は、賭事産業に有利な時間帯になるだろう。

 シアーズ社長は次のように語った。「試したい領域が沢山あります。日曜日の正午から午後3時、開催日程表に多くの空白がある場合は木曜日の夜の時間帯、そしておそらく土曜日午前にも試験的に競馬を施行してみたいです」。

 木曜日の夜の時間帯は、シアーズ社長が計画する“スーパー馬券”というもう1つの新基軸に結びつく。

 同氏は次のように語った。「できれば毎週100万ポンド(約1億7,500万円)を保証する新たなスーパー馬券の発売を来年から開始することを望んでおり、主にチェルムスフォードシティ競馬場で実施されることを期待しています。そしてその発売は、私たちの調査結果からして一番適している木曜日の夜を検討することになりそうです」。

 以前仮設スタンドのあった競馬場の中央で新しいグランドスタンドの建設が開始されている。しかしシアーズ社長は、これがゆくゆくは来賓接待エリアとなり、総工費1,500万ポンド(約26億2,500万円)の新しいグランドスタンドは、馬場の外側にずっと伝統的な姿で建設されることが計画されていると語った。

 そして次のように続けた。「まずはこのスタンドを建設し運営することを計画しています。接待用来賓室の完成までには3〜4年を要する見込みです」。

 「その時に十分な開催日数を獲得でき、事業計画が策定されることになれば、チェルムスフォード地域の人々の余暇においても利用されるだろうグランドスタンド建設の二期工事の実施を検討することになります」。

 同社長は次のように付け足した。「私たちは世界クラスの競馬場を作ることが可能なことを証明しようと固く決意しており、その実現を確信しています。まだやらなければならないことはありますが、これは英国競馬全体の貴重な資産となるので、私たちがこれまで成し遂げたことに満足しています」。

 ダン氏は先週チェルムスフォードシティ競馬場を訪れ、2,000万ポンド(約35億円)以上の費用が見込まれるこの計画の進捗状況に満足し、次のように語った。

 「私は、この競馬場が疑いなく英国一となり、それどころか欧州一のオールウェザー競馬場になると考えており、それを確信しています」。

 「このような計画に着手するとき、いい加減なことをすれば成功しないでしょう。物事を適切に進め、機能するかどうかを検討してこそ、その実現を確信できるでしょう」。

 デヴィッド・シムコック(David Simcock)調教師は、チェルムスフォード競馬場のオールウェザー馬場で管理馬の調教を行っていたが、内側に設置される芝馬場はこじんまりしたものになることを認めた。

 そして次のように語った。「とても窮屈になるでしょうが、比較的狭いチェスター競馬場も十分に支持されています」。

 「管理馬を海外遠征させるとき、海外の競馬場では馬群がひしめき合う傾向があり、英国に窮屈な競馬場があることには何の問題もないと考えます」。

 「全体的にオールウェザー馬場の形状は素晴らしく、騎乗しやすいと考えています。芝馬場がどのように受け入れられるは分かりません」。

By Bill Barber
(1ポンド=約175円)

[Racing Post 2014年8月7日「New plan revealed to stage racing on turf at City venue」]