海外競馬情報 2014年01月20日 - No.1 - 1
閉場中のグレートリーズ競馬場、2015年以降に競馬再開の見込み(イギリス)【開催・運営】

 ベットフレッド社(Betfred)のオーナーであるフレッド・ダン(Fred Done)氏は、エセックス州にあるオールウェザーのグレートリーズ競馬場を復活させる会社を設立したことを12月9日に発表し、同場で競馬を再開する計画は競馬界にとって朗報となるだろうと語った。

 ダン一族経営の新しいトート・メディア社(Tote Media Limited)は、この競馬場を獲得するためにグレートリーズ・エステーツ社(Great Leighs Estates)という名の共同事業体を設立した。許可が下りれば、グレートリーズ競馬場をチェルムスフォードシティ競馬場(Chelmsford City Racecourse)と改名する予定である。

 他のパートナー企業は、SIS社(Satellite Information Services: 衛星情報サービス)および同場の資産を保有していたメディア投資会社ベット・ソリューションズ・インターナショナル社(Bet Solutions International)である。

 これら新しいオーナーは、2014年にBHA(英国競馬統轄機構)の2015年競馬開催日程配分交渉に参加することを期待している。グランドスタンドはまだないが、建築許可は下りている。また、とりわけニューマーケットの調教師の間で評判の良いポリトラック馬場は良好な状態にあると報告されている。

 ダン氏は、グレートリーズ競馬場は賦課金ではなくメディア権料からの財源で独り立ちしていけるだろうと述べた。開催日程が配分されれば、開催日当たり4万2,000ポンド(約714万円)以上の賞金が提供される予定であり、そのうちいくつかの開催日の賞金は11万5,000ポンド(約1,955万円)になるはずである。

 ダン氏は本紙だけに次のように語った。「これはお金儲けではなく、大切な遺産である競馬場の復活なのです。グレートリーズ競馬場を巡る現状には感心できず、もっと良い結果を出せると考えています。3〜4年後に再び質問していただければ、私の言い分が正しかったかどうかが分かるでしょう」。

 「私は競馬産業のためにやりたいのです。英国最高のオールウェザー競馬場を手に入れることができると信じています。これは私が遺したいと思っている財産なのです」。

 ダン氏は、会社新設とグレートリーズ競馬場購入を実現するためにこの半年間奔走したトート・メディア社のフィル・シアーズ(Phil Siers)社長の功績を認めた。

 シアーズ氏は、できれば他場が好まない開催日程を手に入れ、賭事産業のためになる競馬場を築く計画であると語った。

 そして次のように語った。「私たちが取り組もうとしているのは、実質的に賭事産業のための競馬場をつくることです。まだ埋まっていない開催日程がいくつかあることは分かっていますので、我々の競馬場がその日程を埋めることができると提案します」。

 「BHAは各場が開催日程を巡って張り合う状況を生み出そうとしており、関係者にはまさにその激しい競争がもたらされるでしょう。私たちの資金調達方法と魅力的な賞金額が優良出走馬を必ず集めることになります」。

 このニュースは、グレートリーズ競馬場の驚くべき物語の新たな予想外の展開である。同場は2008年4月に英国で81年ぶりの新設競馬場としてオープンし、その年に77開催日が配分されたものの、オーナー会社が破産申請したために2009年1月に閉場された。

 グレートリーズ競馬場は、前オーナー会社のMCレーストラック社(MC Racetracks)の努力の甲斐なく、2回の開催日程申請がBHAにより却下され、閉場したままである。MCレーストラック社は今後同場の運営計画に関わることはなく、また240万ポンド(約4億800万円)の脱税に関与しパートナーのジル・ターナー(Jill Turner)氏ほか1名とともに先週逮捕された、同場創始者で元オーナーのジョン・ホームズ(John Holmes)氏も関わることはない、とダン氏は述べた。

 ホームズ氏は、グレートリーズ競馬場の賭事提携会社でベット・ソリューションズ社の子会社であるベットシ社(Betsi Ltd.)のコンサルタントであったが、同氏の関わりはもう終わったとダン氏は語った。

 そして次のように続けた。「ホームズ氏はこのことについて主導権はありません。これまでは取引をまとめる手伝いをするコンサルタントでしたが、今では何の関わりもありません」。

 ベットフレッド社の競走担当部長ジョー・スカンロン(Joe Scanlon)氏がこの競馬場の新会長となり、SIS社のCEOゲイリー・スミス(Gary Smith)氏が取締役となる。

 スミス氏は次のように語った。「SIS社は新しい団体の少数株しか有していません。それはワクワクする競馬場であり、その再開プロセスに参画し重要なメディア権契約に同意して競馬場再開を支援することを光栄に思っています」。

 「私たちは競馬場に適切な所得の流れを与え、同時に顧客のためにメディア権を確保することができます」。

 BHAはオールウェザー開催の拡大の可能性について、独立した報告を依頼している。

 BHAメディアマネージャーであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は次のように語った。「BHAは、グレートリーズ競馬場の所有権変更の通知を受け、関係チームと予備打ち合わせを行いました」。

 「グレートリーズ競馬場は現在のところ運営免許を持っていません。BHA理事会に対し新設競馬場が2015年開催日程配分協議への参加申請を行うに当たっては、2014年1月末までに申請を提出しなければなりません」。

By Bill Barber
(1ポンド=約170円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2013年No.29「BHA、グレートリーズ競馬場からの2014年開催日程の申請を却下(イギリス)

[Racing Post 2013年12月20日「Done swoops for Great Leighs」]