海外競馬情報 2013年10月20日 - No.10 - 4
米国でステロイド投与をレース30日前までとする勧告が出される(アメリカ)【獣医・診療】

 米国でスタノゾロール(stanozolol)使用を禁止する新ルール制定を押し進めている薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium:RMTC)は、この措置は競馬におけるアナボリック・ステロイド使用ルールの国際統一への第一歩になると言い表した。

 RMTCは、調教停止処分を受けたマームード・アル・ザルーニ(Mahmood Al Zarooni)調教師が使用したステロイドの一種スタノゾロールを事実上容認する結果となっている閾値を撤廃し、米国においてレース30日前までにこの薬物を投与することとするよう勧告した。

 RMTCのCEOディオンヌ・ベンソン(Dionne Benson)博士は、本紙に次のように語った。「スタノゾロール閾値撤廃の重要性は、競走後のアナボリック・ステロイド検査を国際的な検査水準と同等にすることにあり、RMTCによるこの勧告は国際統一への有効な第一歩です」。

 RMTCは、米国の競馬統轄州に対してルール適用の勧告を行う権限を持つ北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)に、この勧告を提出する予定である。

 ベンソン博士は次のように付言した。「現時点で少なくとも米国の競馬統轄州の1つであるケンタッキー州は、スタノゾロールの閾値を設けていません。私たちはRCIが私たちの勧告を採択し、より多くの米国の競馬統轄州が後に続くことを望んでいます」。

 RMTCのこの発表は、アル・ザルーニ調教師に対しステロイド投与で科された8年間の調教停止処分をきっかけとして、アナボリック・ステロイド使用の禁止あるいは少なくとも使用制限の強化を進めようとする最新の動きである。

 南アフリカのナショナル・ホースレーシング・オーソリティー(National Horseracing Authority)は、今年中にステロイド使用に関するルールを変更する予定であるとすでに発表している。現在南アフリカでは、アナボリック・ステロイドは公式には禁止されているが競走時に馬体内に残留物がない限り調教中の使用は可能である。

 そして、オーストラリア競馬評議会(Australia Racing Board)は先週、生後6ヵ月以上のすべてのサラブレッドに適用される、ゼロ・トレランス主義(zero tolerance: ゼロ以外は陽性)に基づくアナボリック・ステロイド使用の禁止令を発表した。これは2014年5月1日から実施される。

By Tom Kerr

[Racing Post 2013年9月27日「US steroids move ‘a step towards harmonisation’」]