海外競馬情報 2011年05月13日 - No.9 - 4
エンパイアメーカー、フロリダ2歳セールの中心となる(アメリカ)【生産】

 カリド・アブドゥラ殿下(Khalid Abdullah)の所有で主要な種牡馬であるエンパイアメーカー(Empire Maker)が日本軽種馬協会(JBBA)に売却されるという2010年秋の決定には驚いたが、そのエンパイアメーカー(11歳父アンブライドルド)産駒が3月3日のフロリダのファシグ・ティプトン社(Fasig-Tipton)2歳トレーニングセール(特別)において他を圧倒した。2003年ベルモントS(G1)を制し、レキシントン近郊のアブドゥラ殿下所有のジャドモントファーム(Juddmonte Farms)に繋養されていたエンパイアメーカー産駒の1頭は135万ドル(約1億3,500万円)の最高値となり、上場された同馬の産駒の平均価格はトップとなった。同馬が送り出した4頭の2歳産駒は平均価格が68万8,750ドル(約6,887万5,000円)であった。

 エンパイアメーカーのフロリダセールにおける上々の成績から起きる宣伝効果は、同馬とJBBAにとってだけではなく、ジャドモントファームにとってもあることが分かった。ジャドモントファームのマネージャーであるガレット・オルーク(Garrett O’Rourke)氏は、「私たちはそこから利益を得るわけではありませんが、エンパイアメーカーをまだ私たちの家族の一員のように感じています。そして、彼が健闘するようにサポートしている人々を目の当たりにすることは素晴らしいことです。この成績はエンパイアメーカー産駒を他のセールでも高値で売る後押しとなるでしょう」と語った。

 これらのエンパイアメーカー2歳産駒は2008年に受胎し、そのときの同馬の種付料は10万ドル(約1,000万円)であった。2009年には種付料7万5000ドル(約750万円)で、2010年には種付料5万ドル(約500万円)で供用されていた。

 ファシグ・ティプトン社のフロリダセールで最高値が付いたのは、ハーフエーピー(Half A.P. 父パルピット)を母に持つ牝馬で、2003年エクリプス賞最優秀2歳牝馬でBCジュヴェナイルフィリーズ(G1)の勝馬ハーフブライドルド(Halfbridled 父アンブライドルド)の半妹である。ハーフエーピーは、G1勝馬スプルスニードルズ(Spruce Needles)とG2を何度か制しているルーラヴィ(Lu Ravi)からなる牝系血統を誇る。この牝馬を3代遡った牝馬アットザハーフ(At the Half)と4代遡った牝馬ニティットグローヴス(Knitted Gloves)は重賞勝馬である。この牝馬の売り手はモハメド殿下(Sheikh Mohammed)の馬購買エージェントであるジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏であった。

 最高値の牡馬も送り出し、その牡馬はエージェントのロバート&ラワナ・ロウ(Robert and Lawana Low)夫妻により75万ドル(約7,500万円)で購入された。その牡馬はヘンダーソンバンド(Henderson Band 父チャイムズバンド)を母とし、G1馬キャッシュインクルーディッド(Cash Included)の半弟である。同馬の上場を仲介したのは、エージェントを務めたスカンロン・トレーニングセンター(Scanlon Training Center)である。

 他の2頭の産駒もまた、数十万ドル(数千万円)の値で購買された。エージェントのホビー&レイナ・カイト(Hoby and Layna Kight)夫妻により上場が仲介された産駒はウエストポイントサラブレッド社(West Point Thoroughbreds)のエージェントであるブーズ・チェイス(Buzz Chace)氏により32万5,000ドル(約3,250万円)で購買された。この牡馬はスマートストライク(Smart Strike)の牝馬エンジェルアーチ(Angel Arch)を母としている。エンジェルアーチはG2勝馬テンピンズ(Tenpins)の全妹であり3頭のステークス勝馬の半妹である。

 もう1頭の産駒は、25万ドル(約2,500万円)で購買された。エージェントのエディー・ウッズ(Eddie Woods)氏により上場を仲介された同馬は、重賞を数回制したデルタプリンセス(Delta Princess)の3頭目の産駒である。デルタプリンセスはエーピーインディ(A.P. Indy)牝馬であり、重賞を数回制しており、G1馬インディファイブハンドレッド(Indy Five Hundred)の半姉であり、イタリアのG1馬ビオンデッティ(Biondetti 父バーナーディニ)の半姉でもある。この産駒は、エージェントのマイケル・C・ハリントン(Mikel C. Harrington)が購買した。

 G1馬エルグランセニョール(El Gran Senor)の牝馬トゥソード(Toussaud)を母とするエンパイアメーカーは19頭のステークス勝馬を送り出している。同馬は現在日本の静内スタリオンステーションに繋養されている。

(1ドル=約100円)

[The Blood-Horse 2011年3月12日「Empire Maker Dominantes Fasig-Tipton Florida 2YO Sale」]