海外競馬情報 2011年12月02日 - No.23 - 4
民営化後のトート社、馬券の種類・内容を弾力的に改善(イギリス)【開催・運営】

 ベットフレッド社(Betfred)のフレッド・ダン(Fred Done)会長は買収したトート社(Tote)の賭事プール運営を自分流に改めつつあり、今後数週間のうちに、国営宝くじ(National Lottery)のように人生を変えるほどの魅力を持つエキサイティングで人目を引く馬券を発表したいと考えている。

 ジャックポット馬券(Jackpot)で10万ポンド(約1,300万円)の払戻し財源を保証するという同会長の“型破り”の決定は、トート社に活力を吹き込んだ。というのも、7月に国有ブックメーカーを2億6,500万ポンド(約344億5,000万円)で買収した自称“ボーナスキング”のダン会長は、11日前のアスコット競馬場で、大見出しになるこの新構想を独自に打ち上げて、同業者のみならずあらゆる人々をあっと言わせたからだ。

 しかしダン会長の最優先事項は、高額の賭金が次回へ繰り越され大衆の想像を駆り立てる馬券を提供することである。

 トートスクープ6馬券(Scoop 6)は8月に、土曜日の賭事史上初めて単勝とボーナス基金における最低保証が導入されたことを受けて、同じように活性化された。しかしダン会長は10月初め、評判の悪いトートスーパー7馬券(Tote Super 7)を廃止するという冷徹な面も見せ、売上げの悪いトートスウィンガー(Tote Swinger ワイド馬券)は同じ道を辿るだろう。

 ダン会長はトート社についての自身の哲学を説明した上で、「なぜ誰も望んでいない賭事を提供し続けなければならないのか分かりません。スウィンガーはそのうちにお払い箱にされると思います。またスーパー7は商売にならないので、提供し続ける意味がありませんでした」と述べた。

 そしてつぎのように続けた。「スクープ6は非常に人気があることが証明され、払戻し財源の最低保証はジャックポット馬券に寄与しましたが、私たちはさらに新しい馬券を見つけなければなりませんし、実際に模索しているのは、馬券購入者に対する人生を変えるような大当たりの馬券です」。

「私はトート社の人々とベットフレッド社市場開拓チームとでブレインストーミング・セッションを行い、最善の馬券を検討し、答えを見つけるために他の国では何が成功しているかを検討しました。私たちは依然としてアイデアを巡って奮闘していますが、11月末までには何かが分かることを望んでいます。」

 過去においては、英国政府に釈明義務を負っていたトート社の理事たちは、弾みをつける目的でジャックポット馬券の的中が出た翌日に1万ポンド(約130万円)以上を保証することはできないと感じていた。また通常平均すると、10万ポンド(約1,300万円)に達するためには5日かかる。しかし、今やトート社は民営化されたことで、以前と同じ制約は受けず、販売促進のスキルがあれば売上げの増加という観点から即座に利益が得られることになった。

 ジャックポット馬券の払戻し財源を増加させるというこの決定は、その8日前のニューマーケット競馬場でジャックポット馬券の賭金積立総額が記録的な290万ポンド(約3億7,700万円)を超えたこと、およびこの賭事がもたらした勢いを失いたくないという欲求を背景にして行われた。税引後の10万ポンド(約1,300万円)の払戻しが永続的に約束されるのかどうかは不明であるが、このことが人々に興味を抱かせ、賭事プールは的中馬券が出た2日以内に10万ポンドを超えるレベルに到達し、ダン会長は方針が正しかったと確信した。

 同会長は、「先週の木曜日に、カテリック競馬場のジャックポットで10万ポンド(約1,300万円)を保証することによりほぼ6万5,000ポンド(約845万円)の利益を生じました。トート社の人々は、もし最低保証をしなければそれは10万ポンド(約1,300万円)以下だっただろうと述べました。もし誘惑する“エサ”がそこにあれば、人々はそこに群がるということを示しています」と語った。

 そして、「私は少々型破りな人間で、その最低保証は偶発的なアイデアです。私は、これを継続することができるかどうか見極める話合いはしていませんし、その裏にある金銭面の数字を把握していません。私はこれを実現できることを望んでおり、いずれにしても古いトート社よりはずっと大胆なものになるでしょう」と付け足した。

 以前のトート社の経営陣がとっていた注意深い姿勢とは対照的なより大胆なアプローチの1つは、ウォルヴァーハンプトン競馬場が10月5日の夜間開催でジャックポット馬券を発売したときに示された。

 ジャックポット馬券はこれまで夜間照明の下ではほんのたまにしか発売されなかった一方、その日の開催の中で出走頭数の多いレースを選定する基準が厳格に実施されている。しかし今回の実例により夜間開催で賭事客たちにより長い時間賭事を行わせるという考えをダン氏が見逃すはずはないだろう。

 賭事産業で生きてきた後、ダン会長は現在トート社買収により得られた機会と新しい挑戦を楽しんでいる。

 ダン会長は次のように語った。「契約のうちのトートプール部門は私にとって最もエキサイティングな分野です。私はベッティングショップの運営方法を心得ており、もう誰からも学ぶことはありません。私は我が社の人々に、賭事プールは想像力と同じくらい大きな可能性があるといつも言っており、私自身は想像力を欠いてはいないと思いたいです」。


ベットフレッド社の賭金積立状況(10月1日〜11日)
  開 催 当日賭金額 賭金積立総額
10月1日 アスコット £39,415  (512万円) £100,000 (1,300万円)*
10月2日 ケルソー 77,136  (1,003万円) 116,552 (1,515万円)  
10月3日 ウィンザー 312,390  (4,061万円) 428,942 (5,576万円)  
10月4日 カターリック 64,343  (836万円) 100,000 (1,300万円)  
10月5日 ノッティンガム 76,364  (992万円) 140,707 (1,829万円)  
10月6日 ウォルヴァーハンプトン 197,397 (2,566万円) 338,105 (4,395万円)  
10月7日 ヨーク 25,899  (337万円) 100,000 (1,300万円)*
10月8日 ヨーク 41,427  (539万円) 100,000 (1,300万円)*
10月9日 グッドウッド 12,701  (165万円) 100,000 (1,300万円)*
10月10日 ヤーマス 74,948  (974万円) 129,076 (1,678万円)  
10月11日 ニューキャッスル 64,773  (842万円) 193,849 (2,520万円)  

 *最低保証額

By Graham Green
(1ポンド=約130円)

[Racing Post 2011年10月12日「Tote chief Done sets his sights on Lottery punters」]