海外競馬情報 2011年09月09日 - No.17 - 2
英国チャンピオンズデー、10月中旬の開催についての論争(イギリス)【開催・運営】

 アスコット競馬場と競馬変革プロジェクト(Racing For Change)は10月中旬に開催されるチャンピオンズデーの成功に向けて専念しているが、将来この開催日を9月中旬に移行させる可能性もある。

 遅い時期に競馬を開催する不都合には、馬場状態、そして英国で賞金が一番高い競馬開催がフランス凱旋門賞開催と米国ブリーダーズカップに挟まれることについての懸念が含まれている。

 今年はさらに、アンフィールド競技場で12時45分キックオフのリヴァプール対マンチェスターユナイテッド戦を目玉とするサッカープレミアリーグのテレビ中継により、BBCで放映されるアスコット競馬場の雰囲気と初めの2レースの中継を観る視聴者数に影響を与える可能性がある。

 アーセナル、チェルシー、クイーンズパークレンジャーズおよびウエストハムはすべて、ロンドンにあるホームグラウンドで試合をし、13万人の観客を惹きつけると見込まれるが、これらの人々の一定割合はサッカーの試合がなければアスコット競馬場に行く予定にするかもしれない。

 QIPCO(カタールを拠点とする民間投資持株会社)がスポンサーであるチャンピオンズデーは、その開催が9月中旬であれ10月中旬であれ、英国で多くの視聴者を集めるサッカーと衝突する。

 英国チャンピオンズシリーズ(British Champions Series)の新しいCEOであるロッド・ストリート(Rod Street)氏は、今年初めて開催されるチャンピオンズデーを成功に導くことに没頭している。

 同氏は、「10月15日を大々的に成功させることに重点が置かれています。この開催を具体的にいつにするべきか、どの日程がベストなのかについてかなり多くの意見が出されました。これらの意見はすべて検討の対象になります」と語った。

 ストリート氏は、9月中旬の方が良いとする多くの意見に共感していると思われる。

 それらの意見の中には、チェヴァリーパークスタッド(Cheveley Park Stud)のクリス・リチャードソン(Chris Richardson)社長の次のような意見がある。「私たちは、チャンピオンズデーはもっと早い時期に開催する方がふさわしいと感じています。10月には馬場状態に関する懸念がありますが、番組企画やパターン競走の都合を考慮しなければなりませんでした。私たちはこのイベントがどのように展開するかを見ていきますが、現在のところ私たちは見直しの必要があると感じています」と語った。

 ゴドルフィンのレーシングマネージャーであるサイモン・クリスフォード(Simon Crisford)氏もまた、展開を見守っており、次のように語った。「多くの人々が10月中旬の馬場状態に懸念を持っていますが、馬場は9月でも同じような状態であることもあり、この開催にとって最も適した時期はいつなのかを確信を持って言えるようになるまで今後2〜3年間は、とにかくどうなるかやってみる必要があると思います」。

 10月中旬は見通せる将来において唯一の日程であると譲らないのはアスコット競馬場のPR担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏である。同氏は、「10月15日に開催することは、ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee)の同意を得ており、現在のところ開催を9月に移行させることは議論に上がる可能性はありません。もしそんな選択肢があったならば、すでに採用していたでしょう」と語った。

 そして次のように続けた。「私たちは9月と10月における日程の選択肢を検討しましたが、さまざまな理由から9月は、現在施行されているパターン競走においてスケジュールが込み入りすぎています。したがって、10月の開催に満足でした」。

「9月の開催は明らかに最大限に馬場状態を生かすことはできますが、一方で私たちは、平地競走が常に必要であったシーズン最後の10月が最高に盛り上がるような設定で競馬を大きく前進させる可能性を無くしたくはありません。良い出走馬が揃うということが重要です」。

 スミス氏は次のように付け足した。「もし私たちが他の開催日の方が適切であるかどうかを分析しないのであれば、私たちはこの仕事にきちんと取り組んでいないことになるでしょう。私たちは第1回目のチャンピオンズデーがどのように展開するかを見た上で、そのことに取り組みます」。

 サッカーなどの他のスポーツと日程競合することについて、スミス氏は強気であり、次のように付言した。「私たちは競馬への注目度を高めることに努めています。私たちがサッカーの日程、ゴルフのライダーカップ、F1グランプリ、クリケットのテストマッチとの競合をいつも嘆いていては、全く間違ったメッセージを送ってしまいます。私たちはどんどん前進し、乗り越えていかなければなりません。そして私たちは、まさにその取組みを行っているところです」。

By Graham Green

[Racing Post 2011年7月21日「RFC keeps options open but focus is on October finale」]