海外競馬情報 2011年08月26日 - No.16 - 4
産駒数の急減が競馬開催日数に打撃を与える可能性(イギリス)【生産】

 ウェザビーズ社(Weatherbys)の新しい統計では、英国とアイルランドの競馬の将来資源である2011年の産駒数が23年間で最も少なくなることが示されており、競馬開催日程の作成者たちに開催日数の削減というプレッシャーをさらに与えるだろう。

 サラブレッド生産の急激な落ち込みにより、2011年の登録産駒数はピークであった2007年の1万8,472頭の約60%となり、1988年以来最も少なくなった。

 結果として、2012年には英国において、英国とアイルランドで生産された2歳馬は約20%減少し、3歳現役馬は10%以上減少するだろう。

 この景気悪化による厳しい現実は、6月28日にニューマーケットで開催されたサラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders’ Association)の年次会合において、ウェザビーズ社の理事ポール・グリーヴス(Paul Greeves)氏により明らかにされた。

 サラブレッド生産に関する見識により国際血統書委員会(International Stud Book Committee)の英国およびアイルランド代表に就くに至っているグリーヴス氏は、1万2,253頭であった2010年の英国およびアイルランドの登録産駒数が1994年と同じ数字であることを指摘し、過去4年間の減少は過去に例のない出来事であると表現した。

 しかし前BHB(英国競馬公社)競馬担当理事でもあるグリーヴス氏は、産駒数の大幅な減少を競馬開催日数の削減の必要性に結び付けることはしなかった。

 2011年の産駒数予測の1万1,300頭は1988年の産駒数に相当することに言及した上で、グリーヴス氏は次のように語った。「現代においてこの産駒数減少の速度と幅の大きさは過去に前例のないものであり、このため生産者と彼らが英国競馬産業のために生産しているサラブレッドが注目の的となっています」。 

 同氏は、英国およびアイルランドで生産された産駒が2010年の英国の平地競走の現役馬の87.5%を占めたことを指摘し、その重要性を英国競馬産業にとって種トウモロコシのような重要な将来資源であると説明した。

 同氏は、残りの12.5%のうちの10.3%は、これもまた産駒数が急速かつ大幅に減少している米国の生産馬であると述べた。

 そして次のように語った。「非常に現実味のあった過剰生産への懸念は既にすぐに消滅しています。この急減への健全な修正がされたのか、あるいは競馬産業への産駒の供給プロセスを心配すべきなのか、ということが今や問題である」。

「いずれにせよ、サラブレッドの生産は当然行われるものと認識することが今や間違いであり、それが新しい現象であることは明らかです」。

 グリーヴス氏は新しい情報として、英国とアイルランドの合計の登録産駒数は、2010年に前年比22.2%減であったのに続き、2011年は前年比7.8%減となると推測している。

 2002年以降英国の平地競走に使われる英国とアイルランド産の産駒数から割り出した場合、同氏は、2011年から2012年にかけて英国の2歳現役馬の数は約20%減少し3歳現役馬は10.6%減少するだろうと予測する。

 そして、「 “サラブレッドの生産を当然行われるものとは捉えず、かつてない支援を”というメッセージを英国競馬界に送りたいです。競馬産業は馬産業に依存しているわけで、生産者への支援を優先事項とすべきです」と語った。

 同氏はこの最新の統計をBHA(英国競馬統轄機構)の競走部門に提出するだろう。BHAのいくつかの部門は、競馬開催日程減の必要性となる事実としてきっとこれを取り上げるだろうが、同氏はその見解を支持することは控え、次のように語った。

「この数字を開催日数と結びつけるにはあまりにも不確定要素が多すぎると思います。両者の関連は一次方程式ではありません。この統計から開催日数についての非常に単純な結論を引き出すことは正しくないでしょう」。


英国の平地競走における英国およびアイルランド産の現役馬数の見込みjoho_2011_16_4_1.jpg

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By Howard Wright

[Racing Post 2011年6月29日「Dramatic drop in foals could hit fixture lists」]