海外競馬情報 2010年04月09日 - No.7 - 1
モンマスパーク競馬場、選り抜きの50日間の夏開催を予定(アメリカ)【開催・運営】

 モンマスパーク競馬場は、3月8日に発表されたニュージャージー州ス ポーツ・展示施設運営協会(New Jersey Sports and Exposition Authority: NJSEA)とニュージャージー州サラブレッド・ホースメン協会(New Jersey Thoroughbred Horsemen’s Association)との合意のもと、1日平均賞金額100万ドル(約1億円)を目玉とする選り抜きの50日間の夏開催を施行する。

 この協定は、ニュージャージー州オーシャンポートのモンマスパーク競馬場を賞金額で米国の最高レベルに引き上げる。その一方で、ニューヨーク州サラトガ 競馬場での開催日数を40日まで拡大した開催のためにNYRA(ニューヨーク競馬協会)が計画した1日平均賞金額72万3,000ドル(約7,230万 円)の輝きを失わせることになる。

 州議会議員とニュージャージー競馬委員会(New Jersey Racing Commission)の承認次第であるこの大胆な1年間の協定によると、NJSEAが運営する141日の競走日程から開催日が選び出されており、ニュー ジャージー州イーストラザフォードのメドウランズ競馬場でのサラブレッド競馬の秋開催は含まれない。

 見直しが行われた2010年のモンマスパーク競馬場の競馬シーズンは、5月22日から9月6日までの金、土、日曜日と月曜日の祝日である戦没者追悼記念日、7月5日およびレイバーデイ(9月の第1月曜日)に競走が施行される。1日12レースが予定されている。

 これに続く9月12日からの週末開催は11月21日までの21日間行われる。この開催の1日平均賞金額は25〜30万ドル(約2,500〜3,000万円)に固定されている。

 モンマスパーク競馬場の場長であるロバート・クーリナ(Robert Kulina)氏は、夏競馬における劇的な変更計画は、土砂降りだった2007年ブリーダーズカップの後、NJSEAの前会長デニス・ドラジン (Dennis Drazin)氏の協力のもと開始されたと述べた。

 クーリナ氏は、「私たちは何が上手くいくか検討しました。賭事客はフルゲートでより面白いレースを求めています。将来の事を考えれば、私たちは米国の競 馬があるべき姿はこれであると感じます。私たちは慎重でありながらもこのモデルが機能することを楽観視しています。目標はより多くの馬券を売ることです」 と語った。

 モンマスパーク競馬場の役員たちは、前例のない100万ドル(約1億円)の賞金体系への資金を用意するために、2009年の同競馬場での開催で提供され なかった賞金227万ドル(約2億2,700万円)およびニュージャージー州カジノ協会(Casino Association of New Jersey)からの最終年度の補助金2,000万ドル(約20億円)を使うだろう。

 モンマスパーク競馬場は2009年、93日の競馬開催において1日平均33万ドル(約3,300万円)の賞金を提供していた。 新しい1日平均賞金額は、最低レベルのクレーミング競走が5,000ドル(約50万円)から3万ドル(約300万円)に引き上げられることからも大胆なも のといえる。ニュージャージー産馬の未勝利レースを含む未勝利別定重量レースには7万5,000ドル(約750万円)の賞金が提供されるだろう。

 条件付きのアローワンス競走は8万ドル(約800万円)から開始され、5,000ドル(約50万円)ずつ上乗せされ、9万ドル(約900万円)となる。下級条件競走の賞金は重賞競走基金の500万ドル(約5億円)に加えて、10万ドル(約1,000万円)が援助される。

 クーリナ氏は、モンマスパーク競馬場の夏の風物詩である8月1日の3歳馬対象のハスケル招待S(G1)の賞金は、100万ドル(約1億円)のままで維持されると述べた。

 メドウランズカップ(G2)とペガサスS(G3)はメドウランズ競馬場からモンマスパーク競馬場に移される。いずれもメドウランズ競馬場の競走であったヴァイオレットS(G3)とクリフハンガーS(G3)は、2010年は施行されないだろう。

 モンマスパーク競馬場の厩舎地区には1,600頭の馬が入厩している。クーリナ氏は新たな賞金体系に誘われて、他州からの多くの馬がニュージャージーに参戦することに希望を抱いている。

 クーリナ氏は、「ホースマンは自由契約なので、お金が発生するところに行きます。開催が閉幕したときにチャーチルダウンズ競馬場から競走馬がやって来ることと中部大西洋地域からの反応が確実であることを期待しています」と語った。

 クーリナ氏は、1レースにつき平均8頭〜10頭の出走馬が集まり確実な数の賭事が行われることを期待していますと語った。

 NJTHAの理事長代理であるジョン・フォーブス(John Forbes)氏は、「私たちは地域のホースマンと小規模な事業を行うホースマンのことを心配しています。しかしこの措置を取らなければ、私たちはじわじ わと死を迎え、消滅する運命から逃れる手立てはありません」と語った。

 クーリナ氏は、モンマスパーク競馬場がカジノからの補助金が底をついた際には、2011年の賞金レベルを100万ドル(約1億円)に維持するために馬券 売上げを倍増させる必要があることを認めた。同氏は、「私たちがやろうとしていることはギャンブルです。サイマルキャスト競馬映像が勢いを増せば、より多 くの人々がそれに注意を払うでしょう。そういう前提の下で私たちはいくぶん甘い見積もりをしました」と語った。

 モンマスパーク競馬場は2009年の場内1日平均馬券売上げが40万9,000ドル(約4,090万円)以上であった一方で、すべての賭事手段における売上げは310万ドル(約3億1,000万円)であった。

 見直された開催日程により、同競馬場は72日の競馬開催を施行した2001年以来最も少ない開催を施行することになる。NJTHAは2010年だけで競馬運営に1,300万ドル(約13億円)の赤字を出すと伝えられている。

 州議会議員は、州の場外馬券発売所とインターネット賭事基盤が運営を存続できるよう、2016年までに、141日のサラブレッドの競馬開催を命じている現在の法律を修正しなければならない。

 

By Tom De Martini

(1ドル=約100円)


[thoroughbredtimes.com 2010年3月9日「Monmouth to offer elite 50-day, $50-million meet」]