海外競馬情報 2010年09月10日 - No.17 - 1
競馬場、コンサートが新規顧客を呼び込むことを確信(イギリス)【開催・運営】

 競馬場の幹部たちは、ヒップホップとヘビメタの区別がつかないかも知れないが、夏のポップコンサートを競馬場で開催することが貴重な収入源になるばかりでなく、新たな観客を競馬に引き付ける役割を果たすことを確信した。

 競馬場が音楽業界と協力するという選択肢が正しかったことを証明する更なる事実が、7月24日、ヨーク競馬場において確認された。“Xファクター”(X Factor:スター発掘番組)の出場者たちが歌を披露するのを目の当たりにする機会が提供されたおかげで、2009年の観客数を6,000人上回る、4 万2,586人という近年における記録が打ち立てられたのである。

 7月23日の夕方にヨーク競馬場で行なわれたコンサートも、大勢の人々を引き付けた。約2万6,000人の競馬ファンがその場に留まり、生の“マッドネ ス”(Madness:イギリスの音楽バンド)を楽しんだ。その結果、同競馬場で2日にわたって開催された競馬の観客数は2009年に比べて2万 1,000人増加した。

 サンダウン競馬場でも7月21日に同じことが起こり、“レーザーライト”(Razorlight:ロックバンド)が1万2,000人以上の観客を呼び寄 せた。このバンドは、7月23日にニューマーケット競馬場で行ったコンサートでも1万9,000人の観客を集めた。一方、男性アイドルグループの “JLS”は、7日22日にエプソム競馬場で行なわれたコンサートにおいて多くの観客を集め、料金を支払った1万5,000人に加えて、5,000人が丘 の上で見物した。

 その週に発表された数字は、イギリスの競馬場における1日あたりの平均観客数が今年の前半に3.5パーセント増加したこと、また、有名な音楽スターとの出演契約がその増加に間違いなく寄与したことを示している。

 コンサートは夕方のレースの観客数を2倍、ときには3倍にすると見積もっているサンダウン競馬場の代表取締役のデヴィッド・マッキノン(David Mackinnon)氏は、「コンサートは、私たちのビジネスにとって有効です。コンサートは、屋外で過ごす楽しい1日の1つの要素として競馬ファンに対 して付加価値を与えるとともに、新たな競馬ファンを呼び込んでくれます。私たちは、こうして新しい観客に触れ合い、そして、競馬の利益のためその観客たち を競馬場に再訪させることができることを願っています」と述べた。

 また、エプソム競馬場の代表取締役のルーパート・トレベリアン(Rupert Trevelyan)氏は、「7月22日に“JLS”を目にした子供たちの大半は、それまで競馬場に行ったことがなかったでしょう。私は、コンサートの開 催は新たな人々に競馬場に来てもらうための素晴らしい方法になる、と確信しています」と語った。

 7月24日にカウンティ・スタンド席が初めて競馬開催日の前に売り切れたヨーク競馬場の販売担当理事のジェームズ・ブレナン(James Brennan)氏は、「私たちは、最高級の競馬に“Xファクター”のスターたちによるエンターテインメントが加わって素晴らしい組み合わせになったこと を喜んでいます」と語った。

 競馬の後にポップコンサートを開催する試みを初めて行なったニューマーケット競馬場の代表取締役であるスティーヴン・ウォリス(Stephen Wallis)氏は、「私たちの調査の結果はすべて、競馬と音楽との組み合わせがあったからこそ、大勢の人々が素晴らしい夜を求めて競馬場に足を運んだこ とを示しています。それは馬券売上げの数字にも表れています」と述べた。

 ウォリス氏は続けて、「7月23日の夜の観客が、ブックメーカーよりもトート社(Tote)を通じて馬券を購入することに安心感を持ったのは明らかで す。この日の夜に競馬場に来てくれた人々が、別の日の競馬にも足を運んでくれるようになったとの報告が相次いでいます」と語った。

 

By Graham Green


[Racing Post 2010年7月25日「Racecourses convinced concerts attract newcomers to the sport」]