海外競馬情報 2010年08月06日 - No.15 - 3
南半球と北半球の架け橋となるラレジェンダ牧場の計画(アルゼンチン)【生産】

 アルベルト&レナータ・スタイン(Alberto and Renata Stein)夫妻がアルゼンチンのラスパンパス地方に2年前に設立した種牡馬と繁殖牝馬を繋養するラレジェンダ牧場(Haras La Leyenda)は、世界的な生産センターを構築するという目標を実現しつつある。

 アルベルト・スタイン氏は、「私たちの目標は、北半球の最高の血統と世界一の馬の管理方法を、アルゼンチンの数世紀にわたるホースマン精神および世界レベルの優良馬を育成してきた伝統に結びつけることです」と述べた。

 ケンタッキー州中部のスリーチムニー牧場の前場長であるダン・ローゼンバーグ(Dan Rosenberg)氏は、まだ駆け出しのラレジェンダ牧場の運営に対する指導者であり、エクスチェンジレート(Exchange Rate)、フロイト(Freud)および2009年の北米リーディング新種牡馬であるオフリーワイルド(Offlee Wild)が南半球での種牡馬としての活動を確かなものにする支援を行っている。

 レナータ・スタイン女史は、「私たちは、最善の経営陣と施設で世界レベルの牧場運営を行いたいと思っていました。そのために、アメリカのダン・ローゼン バーグ氏と種牡馬マネージャーのリカルド・コレアス(Ricardo Correas)氏を私たちのチームに迎えました」と語った。

 ローゼンバーグ氏は、「私は喜んでこの牧場に関わり、スリルを感じています。非常に良好な仕事上の関係に加え、私はアルベルト、レナータ、リカルドと個 人的に緊密な関係も築きました。この計画は手腕が問われ、エキサイティングで面白いです。私はアルゼンチンを愛しており、ここに来て出会った馬産業の多く の人々と親しくなる機会に恵まれたことは、儲けものです」と語った。

 コレアス氏はラレジェンダ牧場に移る前、ラミシオン牧場(La Mission)の牧場マネージャーであり、その前にはカリフォルニアのハリスファームズ(Harris Farms)で働き、チャーリー・ウィッティンガム(Charlie Whittingham)調教師の助手を務めたこともある。

 同氏は、「サラブレッドを生産することは私の人生であり、役目であり、他のことをすることが想像できません」と述べた。

 ラレジェンダ牧場の事業計画には、繁殖牝馬への2つの方針がある。それは、牧場が所有するための繁殖牝馬を獲得することと、アルゼンチン競馬に興味をもつ北米人が所有する牝馬とその産駒を対象に長期的な共有の契約を結ぶことである。

 スタイン夫妻のラレジェンダ牧場の構想は、彼らがアルゼンチンに生産牧場を設立するために622エーカー(248.8 ha)の土地を購入した2007年にはじめて現実となった。彼らは、“競走のための生産”というビジネスモデルの追究を決心する以前に、ケンタッキー州レ キシントンで競走馬生産セミナーに出席し、ブルーグラス地帯のいろいろな牧場を訪問していた。

 アルベルト・スタイン氏は、「私たちが体験したことは素晴らしく、最良の牧場経営モデルと基準を持つ米国において馬の生産業がどのように機能するかを理解し、本当に視野が広がりました」と述べた。

 北米の繁殖牝馬の所有者は、南半球の繁殖シーズンに北米種牡馬と所有牝馬を交配させることで、ラレジェンダ牧場の計画に参加できる。受胎した繁殖牝馬は ラレジェンダ牧場に輸出されて5年間預けられる。その間、繁殖牝馬は同牧場の種牡馬と交配され、産まれた子馬は繁殖牝馬の所有者と同牧場の共有となる。そ して5年後、繁殖牝馬の共有は解消され、元の所有者の100%所有に戻る。

 レナータ・スタイン女史は、「私たちは種牡馬の馬主から非常に肯定的な反応を頂き、繁殖牝馬の所有者からも同様の反応をもらいました。私たちはすでにこ の計画のために、ウィンシェル・サラブレッズ(Winchell Thoroughbreds)からタピット(Tapit)の仔馬を身ごもった7頭の繁殖牝馬を預かっています。また私たちはマウントブリリアント牧場 (Mt. Brilliant Farm)から、メダグリアドーロ(Medaglia d’Oro)の仔を宿した1頭を含む6頭の繁殖牝馬を預かっています。これらの人々の大半はアルゼンチンを訪れたことがあり、この国、この国の人々、馬の 質そしてホースマン精神のレベルの高さを好んでいます」と語った。

 ラレジェンダ牧場の計画は、国際的な賞賛を受けた。

 スリーチムニー牧場のケース・クレイ(Case Clay)場長は、「私はラレジェンダ牧場に強い感銘を受け、彼らがこれだけ早く業界において地位を確立したこと、有名になったことに驚いています。つい 1年前に同牧場は存在していませんでしたが、現在では美しい施設を有し、マネージャーとしてリカルド・コレアス氏がおり、素晴らしい種牡馬がいます」と 語った。

 キーンランド協会(Keenland Association)のセリ担当理事であるトム・ソーンベリー(Tom Thornbury)氏は、「これは最先端の施設であり、スタイン夫妻は最高のケアと施設を提供するために出費を惜しみませんでした。この計画が発展すれ ば、彼らの繁殖牝馬と牧場は拡大されるでしょうから、ラレジェンダ牧場は、アルゼンチンに生産および競馬への投資をさらにもたらすパイプとなるでしょう。 4、5年経てば、ラレジェンダ牧場は一大勢力となるでしょう」と語った。

 

By Michael Burn


[Thoroughbred Times 2010年6月12日「La Leyenda program in Argentina bridges hemispheres」]