海外競馬情報 2009年11月27日 - No.23 - 2
メイダン競馬場、タペタ馬場を選定(ドバイ)【その他】

 マイケル・ディキンソン(Michael Dickinson)氏のタペタフッティングス社(Tapeta Footings Inc.: TFI)の人工馬場が、ドバイのメイダン競馬場の2010年開場に合わせて導入される。これに伴い、世界で最も豪華なドバイワールドカップ(G1)は、賞 金を1000万ドル(約10億円)に引き上げ、これまでのナドアルシバ競馬場のダート馬場から人工馬場に転換してレースが施行される。

 この転換により、チャーチルダウンズ競馬場で施行される2010年のBCクラシック(G1)が、ダート馬場で施行される世界で最も豪華なレースとなる。

 これまでタペタ馬場は、2006年にゴドルフィン・レーシング社(Godolphin Racing)のドバイのアルクオーツ調教センター(Al Quoz training center)に導入され、また2009年3月にはメイダン競馬場の脇に新設された調教馬場に敷設されている。ゴドルフィン・レーシング社は、ニューマー ケットの調教馬場にもタペタ馬場を導入している。

 現時点では、ゴールデンゲートフィールズ競馬場とプレスクアイルダウン競馬場がタペタ馬場を敷設してパリミューチュエル賭事を提供している世界にたった2つの競馬場である。

 ドバイ・レーシングクラブ(Dubai Racing Club)のCEOフランク・ガブリエル氏(Frank Gabriel Jr.)は、「タペタ馬場はメイダンの調教馬場にすでに採用されていることで、安全性と信頼性が確認されていますし、寒暖の差が大きい当地の気候において も素晴らしい耐久性を見せています」と述べた。

 ディキンソン氏はメリーランド州を本拠とするTFIを、ジョアン・ウェイクフィールド(Joan Wakefield)氏と共に所有している。ディキンソン氏は1998年にタペタ馬場を開発し、メリーランド州北西部の自身のタペタ牧場に敷設した。

 TFI は2005年にタペタ馬場を販売するための製造を開始し、ディキンソン氏自身の調教事業は2008年初めに閉鎖された。TFIはドバイに出張所を置いている。

 ディキンソン氏は電子メールで次のように述べた。「TFIはドバイにおいて、3年前に最初のタペタ馬場を、2年前に2つ目の馬場を、そして2009年3 月に最新の馬場を敷設しましたが、その度にタペタ馬場は改善され、性能が向上しています。私たちがメイダン競馬場の調教馬場を敷設した後、欧州、豪州、日 本および南アフリカの調教師たちはタペタ馬場を気に入ったと言いました。タペタ馬場には非常に優れた耐熱性があります。現在材料はすべてメイダンの本馬場 に搬入済みであり、間もなくタペタ馬場がお披露目されるでしょう」。

 この1750 mの人工馬場は、2010年1月28日に開場される予定となっている巨大なメイダン競馬場の2400 mの芝馬場の内側に敷設される。ドバイワールドカップは2010年3月27日に施行される。

 ナドアルシバ競馬場で14回施行されたドバイワールドカップ[2009年には賞金総額が600万ドル(約6億円)]のうち9回は米国調教馬が優勝してい る。メイダン競馬場は、ドバイの首長でアラブ首長国連邦の副大統領でもある、ゴドルフィン社(Godolphin)代表のモハメド殿下(Sheikh Mohammed bin Rashid al Maktoum)の構想の結実である。

 モハメド殿下とその夫人ハヤ王女(Princess Haya of Jordan)は2008年、初めて人工馬場で競われたサンタアニタ競馬場でのブリーダーズカップにおいて、レイヴンズパス(Raven’s Pass)でBCクラシック(G1)を、ミッドシップマン(Midshipman)でBCジュヴナイル(G1)を優勝している。

 メイダン競馬場の開発者であるメイダングループ(Meydan Group)は最近、2010年世界馬術大会(Alltech FEI World Equestrian Games)のスポンサーとなることに合意した。

 ハヤ王女はFEI(Federation Equestre Internationale 国際馬術連合)の会長である。

 

By Jeff Lowe
(1ドル=約100円)


[Thoroughbred Times 2009年10月10日「Dickinson's Tapeta surface selected for Meydan」]