海外競馬情報 2009年09月04日 - No.17 - 1
サラブレッド安全委員会、トーグラブに関する勧告を調整(アメリカ)【開催・運営】

 1年前にジョッキークラブのサラブレッド安全委員会(Thoroughbred Safety Committee: TSC)は、2ミリ以上の前肢用トーグラブ(toe grab)の使用を禁止するよう勧告したが、今この勧告を緩和しようとしている。

 TSCは北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)に、模範ルールでトーグラブの突起の高さを上限2ミリから4ミリに変更するよう求めている。TSCは声明において、この決定は競馬関係者との話合 いおよび前肢用トーグラブの使用に関する科学的調査の見直しを受けてなされたと述べた。

 声明は、「サラブレッドの前肢用蹄鉄への滑走防止装置は2ミリ以下のトーグラブに限定すべきとするTSCの勧告が馬の健康と安全にとって有益であると、 今でも確信しています。しかしTSCはホースマンの懸念にも対応します。たとえばダート馬場の構成や天候条件といった地域の事情によっては、ダート馬場で の競走にかぎりサラブレッドの前肢用蹄鉄に4ミリ程度のトーグラブを使用することを、競馬委員会や競馬場が認めるのは正当だと思います」と述べた。

 RCIは2007年、4ミリ以上のトーグラブを禁止することを要請する模範ルールを可決し、その後RCIの模範ルール委員会(Model Rules Committee)は2008年8月にトーグラブの長さの上限を2ミリとするTSCの勧告の採用を可決した。

 いくつかの州の競馬委員会および競馬場は、2008年の模範ルールを採用した。チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.)は所有する4つの競馬場でこのルールを採用し、ニューヨーク競馬協会(New York Racing Association)もまたこのルールを採用した。

 しかし2009年7月初めに、デラウェア州サラブレッド競馬委員会(Delaware Thoroughbred Racing Commission)は、2ミリのトーグラブを装着した馬が発走直後に転倒する事故が多発したことを受けて、4ミリまでのトーグラブの使用を承認した。

 ジョッキークラブの専務理事であるダン・フィック(Dan Fick)博士は、TSCはホースマンの懸念を聴取した後、専門家のウェイン・マキルレイス(Wayne McIlwraith)獣医学博士とスー・ストーヴァー(Sue Stover)獣医学博士を交えてさらなる話合いを行ったと述べた。

 フィック博士は、4ミリ以上のトーグラブの禁止を裏付ける調査は十分行われているが、2〜4ミリのトーグラブに関してはそうではないと語った。

 RCIのエド・マーティン(Ed Martin)会長は、RCIは模範ルール委員会でこの問題を再び取り上げると述べた。

 マーティン会長は、「私たちは統轄者として、最善で最新の研究のみを基礎として決定を下したいのです。早急に事を進めるつもりはありませんが、十分な研究結果が出れば変更します。大切なことは、馬にとって適切なことを行うことです」と語った。

 マーティン会長は、模範ルール委員会が7月30日にデルマー競馬場で開催されるときに、この問題が取り上げられる予定であると述べた。なお、RCIの理事会は7月31日に開催される。

 マーティン会長は、一部の州の競馬統轄機関はこのトーグラブの模範ルールを採用したが、他方クオーターホース競馬が行われる多くの州においてはさらなる調査が待たれていると語った。

 

By Frank Angst


[thoroughbredtimes.com 2009年7月22日「Safety committee adjusts toe grab recommendation」]