海外競馬情報 2009年07月17日 - No.14 - 4
バードストーンの初年度産駒が大活躍(アメリカ)【生産】

 バードストーン(Birdstone)の産駒マインザットバード (Mine That Bird)がオッズ51倍でクラシック3冠第1戦のケンタッキーダービー(G1)を制したときには、競馬ファンは少なからず驚いた。しかし、もう1頭の産 駒サマーバード(Summer Bird)が6月6日にオッズ12倍で3冠競走第3戦のベルモントS(G1)を制したことで、ファンの驚きはさらに大きくなった。サマーバードは、カラ リッカルK博士(Dr. Kalarikkal K.)とヴィラシニ・デヴィ・ジャヤラマン(Dr. Vilasini Devi Jayaraman)博士の生産馬で、ベルモントS(G1 2400 m)を2着馬ダンカーク(Dunkirk)に2馬身3/4差をつけて制した。なお、同競走でオッズ2.2倍の1番人気マインザットバードは3着に終わっ た。

 同様に驚かされるのは、(1) サマーバードとマインザットバードがいずれもバードストーンの初年度産駒であること、(2) グラインドストーン(Grindstone)産駒であるバードストーンの種付料が1万ドル(約100万円)と安価であったことである。同じ種牡馬の産駒か ら米国のクラシック競走の勝馬2頭を輩出することすら困難である。初年度産駒からとなれば、これはまさに至難の業である。サマーバードはケンタッキーダー ビーにも出走したが、結果は6着であった。

 同じ種牡馬から同シーズンに北米のクラシック競走勝馬を2頭輩出した最新例は、1951年にカウントターフ(Count Turf)がケンタッキーダービーを制し、カウンターポイント(Counter Point)がベルモントSを制したカウントフリート(Count Fleet)である。

 バードストーンは、レキシントンにあるベック一族(Beck family)のゲインズウェイファーム(Gainesway Farm)に繋養されている。同牧場でセリ部長を務めているマイケル・ハーノン(Michael Hernon)氏は、「バードストーンに対する見方は変わり続けており、今シーズンの活躍は有能な若い種牡馬であることを物語っています。バードストーン は初年度産駒からチャンピオン馬1頭(マインザットバードは2008年カナダでチャンピオン馬となった)を含め4頭の重賞勝馬を輩出しました。産駒は成長 とともに良くなっていきます。最も水準の高いレベルの競走でも、1マイル以上の競走距離でも問題はないでしょう」と述べた。

 サマーバードとマインザットバードの父馬の系統は、3代前からクラシック競走で優勝を勝ち取っている。バードストーンは2004年のベルモントSに優勝 しており、祖父であるグラインドストーンは1996年ケンタッキーダービーを優勝している。そして、曽祖父のアンブライドルド(Unbridled)は 1990年のケンタッキーダービーを制した。その数世代を遡れば、プリークネスS(G1)とベルモントSを制したネイティブダンサー(Native Dancer)がいる。

 2004年のバードストーンのベルモントSでの優勝は、ケンタッキーダービーとプリークネスSを制したスマーティージョーンズ(Smarty Jones)の3冠競走達成を阻止したことで競馬ファンの記憶に残っている。                         By David Schmitz

 

(1ドル=約100円)


[The Blood-Horse 2009年6月13日「Summer Time Fun」]