海外競馬情報 2008年01月25日 - No.2 - 4
BHA、司法取引を導入するも取締の手は緩めず(イギリス)【その他】

 英国競馬統括機関(British Horseracing Authority: BHA)は1月7日、騎手、調教師、馬主などの不正行為の被疑者と取引し、不正行為の罪状を認め、捜査に協力すれば、より重大な他の不正行為を追及しないという制度(いわゆる司法取引)を導入する方向で検討中だが、それによって不正行為に対する追及の手を緩めるわけではないと述べた。コスト削減の一環として、BHAは、捜査中の個人に対する罰則に大きな改訂を加えることに意欲的である。この改訂は、彼らが初期段階で罪状を認めた場合あるいは共犯者を告発する情報を提供する場合の話である。

 この“あめとむちの手法”は、不正疑惑の事案を処理する方法として、すでにBHAによって実行されているが、最新の競馬会議(Racing Calender)において初めて文書化された。

 改正後の規則には、「司法取引は、違反者にはできるだけ早い段階で自供することを促し、共犯者の告発を促して、長期にわたる捜査と審問の時間と費用を節約し、競馬界の限られた力を他の案件に振り向けることを目的としている。」と記されている。

 この動きは、昨年のジョシュ・バーン(Josh Byrne)騎手、トニー・カルハーン(Tony Culhane)騎手に課された懲罰の調査を受けたものである。

 さらに競馬会議の通達は、さらなる罰を受けないことを条件に、刑の軽減のために自供しようとする者は、できるだけ早くBHAに知らせなければならないと伝えている。

 懲罰委員会は、その人物が調査に全面的に協力した場合や他の悪事を働いた共犯者の告発を可能にする情報を提供した場合、刑を半分ぐらいにまでに軽減できる。また、当該人物が、別に定める捜査に最も貢献する形で罪を認めれば、懲罰委員会は3分の1までの軽減を検討できる。

 BHAの広報担当ポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏は1月7日、「昨年、ジョシュ・バーン騎手、トニー・カルハーン騎手に関する審問において問題となった司法取引に関する事柄を規則の形にしています」と述べた。

 同氏はまた、「バーン騎手は自供しましたし、カルハーン騎手は八百長を幇助・教唆したことを自供しました。いずれも、情報提供の代わりに容疑を追及しないというBHAとの約束に基づくものでした。すべての関係者と競馬界全体にとって経費の面でも、自供と司法取引のメリットは明白です。そしてこれらは刑事犯罪における司法取引をめぐる状況と同様です」と語った。

 ストラサーズ氏は、次のように付言した。「これまでより規則違反の取締を緩和するというわけではありません。昨年春以降、どう見ても罰則は増えていますし、他にも現在見直し中の罰則があります。誰かが初期段階で捕らえられ降参した場合は、時間と費用の節約のため、刑事事件の場合と同様、課せられるペナルティーの軽減を認めるものです」。

By Graham Green

[Racing Post 2008年1月8日「Plea bargaining not indicative of going soft says BHA」]