海外競馬情報 2007年01月26日 - No.2 - 3
関節疾患に効能が認められるヒアルロン酸の経口投与(アメリカ)【獣医・診療】

 ヒアルロン酸(hyaluronan: HA)の関節内注射と静脈内注射は、離断性骨軟骨症(osteochondritis dissecans: OCD)といった関節疾患の治療に効果的であることが過去数年にわたり証明されてきた。これに対してHAの経口投与は関節疾病に効果がある比較的新しい治療法である。チャド・メンデル(Chad Menell)氏がザ・ホース誌の10月号に寄稿した記事によると、HAの経口投与は有望であると伝えられているが、現在までその効果の科学的証拠はなかった。

 オレゴン州立大学(Oregon State University)の助教授ブレディー・バージン(Brady Bergin)博士は、レキシントン近郊にあるルード・アンド・リドル馬病院(Rood and Riddle Equine Hospital)の臨床医の協力を得て、飛節にOCD損傷のある1歳馬に対して関節鏡による壊死組織除去手術後、HAの経口投与の効果を調査した。

 この調査では、OCD損傷の関節鏡手術を受けた48頭のサラブレッド1歳馬に対し、偽薬またはHAのどちらかの経口投与を30日間行った。

 研究者は合計で57の関節を検査した(両方の飛節に損傷を受けていた馬を含む)。30日後、バージン博士(施されたのが偽薬かHAかを知らされていなかった)は、治癒の評価を行って各飛節の腫脹を記録した。HAを施されたグループと偽薬を施されたグループは、統計的に比較された。

 同博士は、「HAの経口投与を受けた馬は手術後における腫脹がはるかに少なく、偽薬で治療された馬よりも早く臨床的に普通の状態に戻れることが、我々の調査結果によってはっきりしました」と報告している。

 同博士はさらに、「とりわけHAを日常的に使用する場合、経口投与はHA投与のいっそう便利な手段となります。経口投与により、馬にとって静脈経由または関節経由でHAを投与されるよりも日常の治療がはるかに容易になります」と述べている。

 同博士は、「HAの経口投与は、軟腫がある馬に対する関節の健康管理の効果的な選択肢となります。関節炎と跛行の場合、HAの経口投与は主たる治療法の優れた補助手段ともなります」と付け加えている。

 今回の調査結果は、馬獣医ジャーナル誌(Equine Veterinary Journal)の7月号に掲載されている。

By Deirdre B. Biles

〔The Blood-Horse 2006年10月7日「ORAL HA」〕