海外競馬ニュース 2023年02月22日 - No.7 - 1
スティーヴ・アスムッセン調教師、史上初の北米1万勝を達成(アメリカ)[その他]

 スティーヴ・アスムッセン調教師(57歳)は2月20日(月)、オークローンパーク競馬場の第5レースで管理馬ベットヒズレディ(Bet He's Ready)が勝利を挙げたことで、北米のサラブレッド競走で史上初の1万勝を達成した。

 なお、カーリンによる2008年ドバイワールドカップ(G1)優勝など、海外でも2勝を挙げている。

 殿堂入りトレーナーのアスムッセン調教師は2021年8月7日、管理馬ステラータップ(Stellar Tap)がサラトガ競馬場の未勝利戦を制したときに9,446勝目を挙げ、それまでの故デール・ベアード調教師の記録を更新し、北米史上最多勝の調教師となっていた。以来、高い確率で勝利を重ね続け今回の金字塔に着々と近づいていた。

 テキサス州アーリントン在住のアスムッセン調教師は、1986年にニューメキシコ州のルイドソダウンズ競馬場においてヴィクトリーズヘイロー(Victory's Halo)で初勝利を挙げた。1986年は15戦したものの勝ったのはこの1戦のみであり、獲得賞金はわずか2,324ドル(約31万円)だった。

 しかし勝利数は増えていくことになる。その10年後には、チャーチルダウンズ競馬場のダービートライアルS(G3)でヴァリッドエクスペクテーションズ(Valid Expectations)が優勝し、初の重賞勝利を収めたのである。2月20日現在、通算重賞勝利数は305にまで伸びている。

 また、それぞれ年間600勝以上を達成した2008年と2009年にはエクリプス賞の最優秀調教師に選ばれている。

 アスムッセン調教師は、長年助手を務めるダレン・フレミング氏やスコット・ブラジ氏をはじめとするスタッフ、そして家族の支えのおかげで今日の成功があるとずっと以前から信じてきた。競馬ビジネスを教わったのは両親からである。父キースさん(元騎手)と母マリリンさんは馬の生産・所有・調教に携わっており、現在もテキサス州ラレドでアスムッセンホースセンターとエルプリメロトレーニングセンターを経営している。この両親の薫陶をうけ、彼は兄キャッシュさんとともに若くしてホースマンになった。

 また妻のジュリーさん、息子のキースさん、ダレンさん、エリックさんは、アスムッセン調教師を一貫して支えてきた。彼は全米各地へ遠征する多数の管理馬に同行するために家を空けがちだった。2021年8月7日にベアード調教師を抜いて通算最多勝トレーナーとなったとき、妻と息子たちはその場に駆けつけていた。長男のキースさんは現在騎手として活躍している。

 アスムッセン調教師の馬は北米で4億500万ドル(約546億7,500万円)以上の賞金を獲得しており、エクリプス賞を8回受賞している殿堂入りトレーナー、トッド・プレッチャー調教師の4億5,200万ドル(約610億2,000万円)に次ぐものである。

 また、エリスパーク・フェアグラウンズ・キーンランド・ロンスターパーク・モンマスパーク・オークローンパーク・レミントンパーク・リタマパーク・サンランドパーク・チャーチルダウンズの各競馬場で何度もリーディングトレーナーになっており、チャーチルダウンズ競馬場では通算最多勝トレーナーとなっている。

 オークローンパーク競馬場はアスムッセン調教師の功績を称え、彼の名で1万ドル(約135万円)を慈善団体に寄付することを発表した。永続的障害者騎手基金(Permanently Disabled Jockeys Fund)とアーカンソー・サラブレッド引退&リハビリ基金(Arkansas Thoroughbred Retirement and Rehabilitation Fund)がそれぞれ5,000ドル(約68万円)ずつを受け取ることになる。

 アスムッセン調教師は優秀な調教成績を達成したほかに、レースキャリアのハイライトとなる勝利も挙げている。カーリンとレイチェルアレクサンドラでそれぞれ2007年と2009年のプリークネスS(G1)、クリエイターで2016年のベルモントS(G1)を制した。またカーリンとガンランナーでそれぞれ2007年と2017年のBCクラシック(G1)を制覇するなど、ブリーダーズカップ競走を8勝している 。

 ケンタッキーダービー(G1)は数少ない"勝てないレース"の1つであり続けている。2022年もケンタッキーダービー制覇にあと一歩のところに迫っていた。管理馬のエピセンターは最後の数完歩でリッチストライクにとらえられるまで先頭に立っていたのだ。リッチストライクは直前に出走が決まった穴馬だった。

By Byron King

(1ドル=約135円)

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