海外競馬ニュース 2023年11月09日 - No.43 - 1
オーギュストロダン、強豪ライバルを撃退しBCターフ優勝(アメリカ)[その他]

 卓越した手腕のエイダン・オブライエン調教師は11月4日(土)、BCターフ(G1)で史上最多の7勝を果たした。英ダービー(G1)優勝馬オーギュストロダン(牡3歳 父ディープインパクト)が強豪揃いとなったこのレースでライアン・ムーア騎手を背に一気に押し切り勝利を収めたのだ。

 対戦相手にはモスターダフ・キングオブスティール・オネストなど欧州屈指のミドルディスタンス馬がいた。しかしクールモアのオーギュストロダンは内ラチ沿いで強烈な末脚を発揮し、追い込んできたアップトゥザマークを退け、なぜ自らが長きにわたり極めて高い評価を受けてきたのかを見せつけた。日本のシャフリヤールは3着となった。

 オーギュストロダンはスターになるべく生産された馬で、父は日本のレジェンドであるディープインパクト、母はG1馬ロードデンドロン(父ガリレオ)だ。昨年のフューチュリティトロフィーを制してG1馬となり、2023年が始まると関係者のあいだでは神がかったパフォーマンスを再現するのではないかと言われていた。しかし英2000ギニー(G1)で大敗を喫したときにその期待は見当違いだったように思われた。

 それでもオブライエン調教師はオーギュストロダンに魔法をかけて英ダービーを制覇させ、愛ダービーでも勝利に導いた。キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)でまたもや残念なパフォーマンスを見せたものの、愛チャンピオンS(G1)ではふたたび復活力を見せつけ勝利を収めた。

 次の大きな目標としてBCターフに向かうことにしたのは、実に見事な決定だった。彼はそこでムーア騎手に導かれ力強く走り、最後の直線ではライバルが歩いているように見えるほどの末脚を見せつけた。

 歴代のBCターフの中でもとりわけ強豪揃いだったこのレースでそれができたことにオブライエン調教師は感慨深げであり、馬と騎手を褒めたたえた。ムーア騎手は後方で冷静を保ち続け、接着剤のようにしっかりと内ラチに張り付き、そこで夢のように行く手が開いたのだ。

 オブライエン調教師はこう語った。「信じられませんでしたね。ライアンはものすごく彼のことを信頼していたのです」。

 「ライアンが馬を信頼しきっていたのは、あのペースを見ればわかりますね。先頭に立つと行きっぷりがあまり良くないのでちょっと心配でしたが、今回は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれましたね」。

 「今週の調教ではダートでのキャンターが信じられないほど良かったので、正しい選択だったのだろうか、BCクラシックに出すべきだったのだろうかと自問していました」。

 クールモアのM・V・マグニア氏は、オーギュストロダンに来年も現役を続行させる可能性を示唆した。オブライエン調教師のほうはこの馬の将来について尋ねられたときに、「血統的にとても重要な存在です。彼は2つの大陸から最高級のものを引き出しており、手掛けられたのはとても幸せなことなのです」と語った。

 そして、「馬主の皆さんが手を尽くしてくださったので、とても嬉しく思っています。ジョン・マグニア氏はこの馬を生産するために母馬を日本に送り込みました。母馬のロードデンドロンはこれまでに管理した中で最高のガリレオ牝馬の1頭です」と付け加えた。

 オブライエン調教師は2002年にハイシャパラルでBCターフ初勝利を達成し、その翌年も同着で優勝を果たした。2011年にはセントニコラスアビーが息子のジョセフ氏を背に記憶にのこる勝利を収めた。続いて、バリードイル(クールモアの調教拠点)の名伯楽の管理馬として、マジシャン・ファウンド・ハイランドリールがこのレースを優勝し、現在オブライエン調教師はブリーダーズカップ開催全体で通算18勝を挙げている。

 一方、ブリーダーズカップ開催全体で通算14勝を挙げているムーア騎手はこう語った。「うまく発走したのですが、少し押し込まれてしまい、目の前を横切る馬もいて大変でした。囲まれてしまい、序盤はうまくリズムを取ることができませんでした。とにかくリズム良く走らせたかったのです」。

 「それができなくて理想よりも後方の位置で追走しなければならず、作戦を少し変えなければならないと思いました。外を回って行くと大変なことになるからです。しかし、最後の手段に出ると素晴らしい走りを見せてくれたのです」。

 「すぐに先頭に立つと、その後はいつものように悠々と走りました。信じられないような馬ですね。私たちはつねに彼のことを大切に思っているのです。特別な血統ですし、今回は完璧なレースをしたと思いましたね」。

 「2歳でG1勝利を挙げ、3歳で英ダービーと愛ダービーだけでなく愛チャンピオンSを制した勇敢な馬です。強豪馬が揃っていましたが、エイダンは彼を信じられないほど素晴らしい状態に仕上げてくれました。彼に騎乗するときはいつも喜びを感じていますし、一瞬一瞬を楽しんでいます」。

 英ダービーでオーギュストロダンの2着となり最近英チャンピオンS(G1 アスコット)で優勝していたキングオブスティールは5着に終わった。凱旋門賞(G1)3着のオネストは4着となったが、モスターダフは8着までだった。

 プリンスオブウェールズS(G1)と英インターナショナルS(G1)を制したモスターダフは、日本の強豪馬イクイノックスに次いで世界2位のレーティングを獲得しているが、用意周到にこのレースの臨んだものの実力を発揮し損ねた。

By James Burn

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