海外競馬ニュース 2023年09月07日 - No.34 - 5
元リーディングジョッキーのフィリップ・ミナリク騎手、48歳で死去(ドイツ)[その他]

 フィリップ・ミナリク騎手が48歳で亡くなった。チェコ出身でドイツの元リーディングジョッキーであるミナリク騎手は2020年にマンハイム競馬場で落馬事故に遭い、生死が危ぶまれる怪我を負っていた。

 世界中の検量室において人気者だったミナリク騎手は落馬により重度の脳外傷を負い、数ヵ月間の昏睡状態に陥っていた。競馬場を頻繁に訪れるようになるまで回復していたが、レースキャリアの終了は本人にとってもなかなか受け入れられないものだった。

 ドイツの競馬情報サイト『GaloppOnline』は9月5日(火)、ドイツのリーディングに4度輝いたミナリク騎手が4日(月)に亡くなったことを確認し、カーチャ夫人の言葉を掲載した。

「懸命に戦いましたが、悪化し続けていたうつ病との戦いに、私たちは最終的に敗れました。何が起こったのかを把握して考える時間が必要です」。

 ミナリク騎手は独ダービー(G1)を制したことはない。しかし独オークス(G1)を2勝し(2012年サロミナ、2018年ウェルタイムド)、ドイツで最も重要な3歳馬・古馬の混合戦、バーデン大賞(G1)では4勝を達成した。

 また2019年には英国のシャーガーカップ(アスコット)で、ジェラルド・モッセ騎手およびアドリー・デフリース騎手とともに欧州チームを組み、ストーンオブデスティニーに騎乗して勝利を収めた。

 ジャン⁻ピエール・カルヴァロ調教師はあの落馬事故までの数年間、ミナリク騎手とコンビを組み、素晴らしい成績を収めていた。有力な競馬事業体、シュレンダーハン牧場の主力調教師&主戦騎手として、2人は絶妙な協力関係を築いていた。

 「コンビを組んでアイヴァンホウ・ジュリアーニ・イトウなどの馬で多くのG1勝利を達成しました。また、エインシャントスピリットで独2000ギニー(G2)、ウェルタイムドで独オークスを制覇しました。先週の水曜日に一緒にディナーしたばかりですが、彼はキャリアで最も優美な勝利はアイヴァンホウで達成した2014年のバーデン大賞優勝だったと言っていましたね。それには同意せざるを得ませんでした」。

 カルヴァロ調教師はこう続けた。「彼は48歳で私は52歳ですが、2人とも体重を50kgまで落とすことができたのです。騎手時代の私にとって、軽量で乗れるジョッキーの中で彼は一番のライバルでしたね。でもシュレンダーハン牧場の馬を管理するようになってからは、彼と素晴らしい協力関係を築くことができました」。

 「数ヵ月前からうつ病を患っていましたね。それは決して甘く見てはいけないものです。彼は競馬を愛し、それを披露することが大好きでした。それゆえ競馬ファンから愛されていたのです。それができなくなってとても寂しかったのだと思います」。

 ミナリク騎手は、"ビッグウィーク(Grosse Woche)"の最後の2日間(9月2日・3日)にバーデンバーデン競馬場を訪れていた。彼がルーク・モリス騎手と一緒にいるところを、英国人フォトグラファー、ジミー・クラーク氏が写真に収めている。

 モリス騎手はX(旧ツイッター)のアカウントにその写真を再投稿しこう述べた。「とても悲しい日です。フィリップよ、安らかに。優れたジョッキーで、人間としてはさらに素晴らしかった。つい日曜日にバーデンで会ったばかりなのに」。

 今年の独ダービー優勝馬ファンタスティックムーンを所有するシンジケートの代表を務める一流馬主のラース⁻ヴィルヘルム・バウムガルテン氏は「伝説は決して死なない」とツイートし、バウムガルテン氏の勝負服を着たとても若い頃のミナリク騎手の写真を投稿した。

By Scott Burton

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[Racing Post 2023年9月5日「'He loved racing and the public loved him' - German racing mourns the loss of former champion jockey Filip Minarik at 48」]