海外競馬ニュース 2022年12月22日 - No.48 - 2
デットーリ騎手への惜しみない称賛の声(イギリス)[その他]

 フランキー・デットーリ騎手の"2023年が現役最後の年となる"という12月17日(土)の衝撃的な発表を受けて、仲間たちは彼のことを"歴代最高のジョッキー"と称賛した。

 英ダービー(G1)を6勝しているサー・マイケル・スタウト調教師は、デットーリ騎手をジョッキーの中でも比類なき存在だと考えている。一方リーディングジョッキーに5度輝いた元騎手のウィリー・カーソン氏は、このイタリア人騎手はレスター・ピゴットに匹敵すると述べた。

 スタウト調教師はこう語った。「人々は彼を愛していますし、彼は競馬というスポーツに多大なる貢献をしてきました。だから、いなくなるのはすごく寂しいです。彼ほど素晴らしい人を見たことがありません。そんなキャラクターなのです」。

 「うちの厩舎は英セントレジャーS(G1)で6回も2着になっていました。そんなとき彼がコンデュイットに乗ってくれました。パドックではうちの管理馬に乗って勝ちきれなかった騎手の名前をスラスラと言って、コースに出て行って、そして勝ったのです」。

 「ランフランコとはビッグレースをたくさん勝ちましたね。ブリーダーズカップで2勝し、ジャパンカップ(G1)やセントレジャーで勝利を収めました。すごい才能を持ちながら、希代のエンターテイナーなのです。たいへん寂しくなるでしょう」。

 スタウト調教師は2008年セントレジャー優勝馬コンデュイットのほかに、1996年のデットーリ騎手によるマグニフィセントセブン(1日7レース全勝)の最後の勝馬フジヤマクレストをもたらした。当時25歳の彼がコースに向かうときにどれだけ強気だったかを、スタウト調教師は振り返る。

 「彼はパドックにやって来てこう言ったのです。『これで勝てなかったら調教師のせいですよ。なぜって僕は燃えているんですから!』」

 ウィリー・カーソン氏は、ジャンフランコ&ランフランコ・デットーリ親子のいずれとも騎乗した経験のある稀有な人物であり、デットーリJr.をどの世代でも最も優れた騎手の1人として評価している。

 「フランキーの父親とは仲良くしていて、彼が子どもだった頃にイタリアの父親から届いた小包をよく持って行ってあげていました。彼には常に才能があって、いつも自然体でいましたね。私はピゴットの信奉者なのですが、デットーリは天才だったピゴットに匹敵すると思いますよ」。

 「彼は競馬界にものすごく大きな功績を残しました。あのパフォーマンスをありがたく思わなければなりません。アスコットの英国チャンピオンズデーを楽しみにすることにしましょう。最後に喝采を浴びてほしいものです。でも、1日に7勝するとは思いませんけどね!」

 サイモン・クリスフォード調教師は、デットーリ騎手が長年ゴドルフィンの主戦騎手として成功を収めていた期間に、このモハメド殿下の競馬事業体のレーシングマネージャーを務めていた。そしてこの友人を"偉大な男"だと称賛した。

 「彼が競馬界のためにしたことは本当に特別なことなのです。競馬場だけでなくそれ以外でも最高のジョッキーでした。数十年にわたり英国競馬界の顔として活躍してきましたが、引退するのにふさわしい時期を知っているのは彼だけであり、来年末がそのときだと判断したのです。これで熱意が大いにかき立てられ、彼がデビュー当時と同じような騎乗をするのを来年見られるのではないかと思っています」。

 「ともにゴドルフィンにいた頃に素晴らしい瞬間を一緒に過ごしました。その1つであるマグニフィセントセブンでは、マークオブエスティームなどゴドルフィンの馬で4勝を挙げてくれました。なんて素敵な男なのでしょう。それにありえないぐらい素晴らしいジョッキーです!私たちは皆、生きているあいだに彼のようなジョッキーを幸運にも目撃することができたのです」。

 ブックメーカーのパディパワー社は、デットーリ騎手が今後3年間のうちに『ストリクトリー・カム・ダンシング(Strictly Come Dancing 英国の人気ダンス番組)』で優勝することにオッズ13倍をつけており、騎手仲間のマーティン・ドワイヤー氏は、もうすぐダンスシューズを履いた52歳の彼を見られることを楽しみにしているようだ。

 「彼は純粋な人間だけれど感傷的だから、騎乗をやめたときの喪失感をどうやって埋めるのか心配になります。なぜなら騎乗することを生きがいにして、観客からの応援を糧にして、何よりもそれを愛していますから」。

 「どうやってその心の穴を埋めるつもりでしょうかね。でも個人的には、騎手をやめたら芸能界向きだと思うのです。2023年末にはスパンコールを身につけた彼を見られることを今お約束します。馬の上でならリズムを刻めるかもしれないけれどダンスフロアではそうはいかないでしょうから、からかってやるのが待ち遠しいですね」。

 「彼は楽しんでそういうことをやっていくと思うのです。なぜなら、そういうことは刺激になるでしょうし、おそらく騎乗をやめても違う方法で競馬を宣伝していくことができるでしょうから。いずれにせよ彼は史上最高の騎手の1人であり、それは疑う余地もありませんね」。

 ベテランジョッキーのジェイミー・スペンサー騎手は、デットーリ騎手が引退を目前に控えているため自らも検量室の出口近くに席を移すことにすると冗談を言いながらも、良き友に心のこもった賛辞を贈った。

 「なにごとも永遠には続きませんが、彼にはいつもピーターパンみたいなところがあって、こんな日が来るなんて思ってもみなかったのです。彼は競馬界に多くのものをもたらしてくれました。彼とは四半世紀に及ぶ付き合いで、いつも仲良くしてきました。彼のあらゆる面を見てきましたし、心から幸運を祈っています」。

By Lewis Porteous

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