海外競馬ニュース 2022年11月24日 - No.44 - 4
ルイジアナ州で誕生した双子の仔馬、順調に成長中(アメリカ)[生産]

 コトーグローヴファーム(ルイジアナ州サンセット)は4月に思いがけない驚きを経験した。繁殖牝馬ヴィラデステが元気な双子の牡駒を出産したのだ。

 ヴィラデステの体が出産前になぜそんなに大きくなっているのか、牧場は不思議に思っていた。お腹にもう1頭いると知らずにいたのだ。驚いたことに2頭のギフトボックス産駒にはどこも悪いところはなく、生後7ヵ月以上が経った今、すくすくと成長している。

 この牧場で繁殖牝馬を管理するジェイコブ・シプリアンさんはこの双子の誕生に立ち会い、成長のすべての段階を見守ってきた。この双子はこの牧場に住むセレブだと言う。

 「彼らの健康状態は良好です。生まれたときは2頭とも平均を下回っていましたが、すくすく成長して挽回していっていますね。牧場を訪れる人たちは皆、"双子はどこですか?"と言ってきます。それほど人気者なのです。成長具合もいいですし、扱いやすいですし、何よりとても愛らしいのです」。

 生まれたときから2頭の体調は良かったが、つねに片方が小柄だった。しかし、シプリアンさんによれば小柄なほうの仔馬にはそのサイズを埋め合わせるほどの個性があるという。

 「2頭は正反対なのです。大きいほうはとてものんびりしていて、小さいほうはやんちゃで大きいほうをいじめるのです。でも小さい仔は個性があふれていて、それは良い兆候ですね」。

 「特別な馬になるような気配がします。こういう個性たっぷりの馬を見るのは好きですね。目立つ馬ですよ」。

 ほとんどの牝馬は双子を身ごもってもこのようにうまく出産できない。ロッド&リドル馬診療所の獣医師であり支援者であるクリス・ニュートン博士によると、馬の妊娠の約14%が双子であり、ほとんどの場合は受胎後16日以内に人為的に一方を堕胎させるという。

 ニュートン博士は、双子の妊娠は監視していなければ母馬が流産してしまうか、出産が予定日よりも遅れたり難産となったりして、母馬と片方の仔、もしくは両方の仔の命を奪う可能性がある。

 幸いにも、シプリアンさんにとってこれからの最大の課題は2頭を1歳セールに送り込む前に、それぞれ個性を持たせるようにすることである。

 「今は2頭がどんな名前になるのか楽しみなのです。グループメッセージでみんな一緒に話し合っていますね。2頭は放牧地で別々に過ごしています。彼らが自分たちに合った道を見つけてくれることが必要なのです」。

 「現在のところ2頭とも1歳セールに向かう予定です。1頭はルイジアナ、1頭はケンタッキーで上場されるでしょう」。

 母馬のヴィラデステは産後順調に回復し、コトーグローヴファームで供用されているノーパロールの仔を受胎している。2020年ウッディスティーヴンスS(G1)を制したノーパロールはこの牧場にとって初めての自家生産のG1馬である。

 シプリアンさんはヴィラデステと双子の世話をするかたわら、牧場内のほかの馬の管理も手伝っている。およそ150頭のうち49頭が当歳馬だという。

 「長らく牧場を営んできました。いつかダービー馬を出そうと思っているのです。もし神様をそういうふうに言ってくださるのであれば、そのような馬が手に入れることができるでしょう。すごく忙しくしているので、双子を見に来る人がいても一般公開していないのです。でも、"見に来たい"という声はあがっていますね」。

 「双子が生まれてきてくれたことをありがたく思っています。一緒にいると喜びが湧いてきます。すべてが順調です」。

By Corrie McCroskey

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