海外競馬ニュース 2022年06月23日 - No.22 - 2
ダービー2着馬フーヤマルが120万ポンドで落札され豪州へ(イギリス)[生産]

 ゴフス社ロンドンセール(6月13日 ケンジントンパレスガーデンズで開催)の前には、英ダービー(G1)2着馬フーヤマル(牡3歳)の落札価格が7桁に達するかどうかが話題となっていた。満員の観衆が正解を知るのにそれほど時間は掛からなかった。鑑定人ヘンリー・ビービー氏がこの3歳馬の上場を"一生に一度の機会"と宣言した直後に、セリ参加者の中から100万ポンド(約1億6,500万円)という大胆な値が飛び出したからだ。

 ガイ・ウォーターハウス調教師、エイドリアン・ボット調教師、ジョニー・マッキーヴァー氏は長い沈黙があったので自分たちの強硬策が功を奏したと思ったに違いない。だが、しばらくすると束の間の抵抗があった。ロサンゼルスにいたアジアン・ブラッドストック・サービスの吉田マリー氏から電話入札が行われたのだ。

 しかしウォーターハウス・ボット・マッキーヴァーのチームは花で飾られた演壇の反対側のテラスから、さらに10万ポンド上回る値を提示して反撃した。そして120万ポンド(約1億9,800万円)で小槌が叩かれたとき、この反撃は決定的なものとなった。

 ゴフス社ロンドンセールのセリ名簿が発行された時点で、フーヤマル(父テリトリーズ)は魅力的な馬と見られていた。だが、この入札のわずか9日前に英ダービーで奮闘しデザートクラウンの2着に入ったことにより、自らの価値が6桁ではなく7桁がふさわしいことを確信させたのだ。

 フーヤマルの将来は豪州にある。それでも関係者たちは、彼の拠点を南半球に移す前に、6月17日(金)のキングエドワード7世S(G2 ロイヤルアスコット開催)に挑戦してみるかどうかをアンドリュー・ボールディング調教師と相談すると述べた。

 ボット調教師はこう語った。「いかにも彼のプロフィールはすごく魅力的で、このように優れた馬を購買する機会はめったにありません。豪州の競馬にぴったりのプロフィールだと考えられます。メルボルンカップ(G1)のようなレースを真っ先に目標とすべきであることは明らかです」。

 「ご存じのとおり、豪州の競馬産業は活気に満ちており健全です。素晴らしい賞金が提供されているのです。私たちはそれをフルに活用することを望んでいて、フーヤマルはエリートレベルで活躍できると思います。この馬を落札するために強気で行かなければならず、妥当だと思われる額を支払わなければなりませんでしたが、彼を豪州に連れて帰って何を達成してくれるのかを見るのを楽しみにしています」。

 ボールディング調教師と馬主のアフマド・アル・シャイフ氏の下でフーヤマルは6戦1勝の成績を挙げた。ダービーで自己最高の快挙を果たす前に、クレイヴンS(G3)で3着、ニューマーケットS(L)で2着に入っている。今回はセリへの2回目の上場であり、2020年にフェデリコ・バルベリーニ氏によりわずか4万ギニー(約693万円)で落札された1回目の上場よりも、はるかに多くの利益をもたらした。

 フーヤマルはメオンバレースタッドにより生産され、母はセンセーショナリー(父モンジュー)であり、兄弟にはサマープレートHチェイス(G3)優勝馬リアリースーパーを含む勝馬5頭がいる。また、2代母はメオンバレーの英インターナショナルS(G1)優勝牝馬ワンソーワンダフルである。

 ボット調教師はこう続けた。「セリ名簿を見たとき、フーヤマルは関心の的となりました。彼がダービーに出走する前に少し調査しました。つまりダービー以前より彼に注目していたのです。もちろんあのダービーでの走りっぷりで私たちが考えていたことが裏付けられましたし、それこそ見たいと思っていたタイプの馬でした。すなわち成長し続けるタイプの馬です。レースに出走するたびに進化しているのです」。

 「ダービーはおそらく英国で最も権威のあるレースです。あれほど優秀な馬が豪州に来ることはほとんどありませんが、最近はそのようなことが少しずつ増えてきています」。

 「アンドリューと話し合って、ダービーでのあの健闘を経てどのような状態であるかを見てみようと思います。馬ファーストで考え正しい選択をしたいと思います。ただ、新しい馬主はロイヤルアスコット開催に出走させることに強い興味を示しています。フーヤマルはサー・オーエン・グレンが率いるシンジケート、ゴー・ブラッドストックにより所有されることになります」。

 「最終的には豪州で出走させることを主な目標としますが、ロイヤルアスコット開催に出走させることはかなり魅力的です。もちろん年間をつうじて、そしてプライベートな機会があればいつでも現役馬セール市場に積極的に参加しています。今回はすべてがうまくいきました」。

 ボット調教師とウォーターハウス調教師は、これまでロンドンセールで購買した馬で達成した成功を繰り返すことを望んでいる。特に2014年の第1回ロンドンセールにおいて42万5,000ポンド(約7,013万円)で購買したポルニシェは翌年のドゥームベンカップ(G1)を制している。

 フーヤマルはロンドンセールにおいて2番目に高い価格で購買された馬となった。最高価格で購買されたのは、2016年と2014年に上場されたジェットセッティング(Jet Setting)とカペラサンセヴェロ(Cappella Sansevero)でありそれぞれ130万ポンド(約2億1,450万円)で落札された。

 日差しの強い中で行われた短くて活発なセッションにおいて12頭が購買され、売却率は50%だった。総売上額は447万5,000ポンド(約7億3,838万円)に達し、コロナ前の2019年に開催されたロンドンセールと比較して42%の増加となった。平均価格は18%増の37万2,917ポンド(約6,153万円)、中間価格は9%減の30万ポンド(約4,950万円)だった。

By James Thomas

(1ポンド=約165円)

[Racing Post 2022年6月13日「Derby runner-up Hoo Ya Mal heading down under after stunning £1.2 million sale」]