海外競馬ニュース 2022年04月07日 - No.13 - 1
英国の競馬場がドバイで活躍した日本馬を勧誘(イギリス)[開催・運営]

 人馬にとって大陸間移動が不可能に近かった2年間を経て、英国の主要競馬場の幹部たちはドバイで実りある1週間を過ごして戻ってきた。彼らはこの夏の競馬祭典に国際舞台で主役を演じたスター馬を引き付けることに大きな期待を抱いている。

 メイダン競馬場では日本調教馬が話題をさらった。アスコット・グッドウッド・ヨークの3競馬場はかつてより、海外から出走馬を勧誘するために連携している。それらの競馬場では、日本のホースマンの興味を引くプロフィールをもつG1競走が開催されている。

 アスコット競馬場の競走・広報担当理事のニック・スミス氏はこう語った。「ドバイワールドカップデーは世界中の馬主・調教師・騎手と話すには最も重要な競馬開催であり続けています。ロイヤルアスコット開催の出走登録締切日のちょうど前の月に施行されるのです」。

 「日本の関係者からの関心はかつてないほど高く、計画次第では1~2頭、もしくは3頭の出走が期待できます。日本が今やこれほどまでに遠征に意欲的になったことは素晴らしいことです」。

 矢作芳人調教師はドバイワールドカップ(G1)が近づいてくるまでのあいだ、欧州に挑戦することの熱意について率直に語っていた。その夜に3勝を挙げたあとには、ドバイターフ(G1)で同着優勝したパンサラッサとドバイゴールドカップ(G2)優勝馬のステイフーリッシュを欧州に連れて行こうと思い描いているようだ。ただし、後者については宝塚記念(G1 6月26日)で距離を2200mに戻すことも考えている。

 グロリアスグッドウッド開催は、ディアドラ(橋田満厩舎)が2019年ナッソーS(G1)を制したことで日本からの注目が集まったことにあやかって望みをかけているようだ。

 グッドウッド競馬場の馬場取締委員であるエド・アーケル氏はこう語った。「良い点は、すでに馬を遠征させる態勢にある人々と話せることです。私たちはディアドラのおかげで、今や日本と特別なつながりを持てています。これは競争力のある馬を生産するために日本の競馬界とホースマンたちが20年以上にわたって積み重ねてきた努力の結晶であり、実際にそのような馬が作り上げられています。彼らが海外遠征して勝利を収めているのを目にするのは素晴らしいことです」。

 「これは、英国競馬界の最高級の馬を応援してサポートし続けることがなぜ大変重要なのかを示しているのです。人々が意欲的に遠征させようとする馬がいる以上、取り残されないようにするために、国際舞台で競争力を持たなければならないのです」。

 ヨーク競馬場の英インターナショナルS(G1)には、2005年にゼンノロブロイが参戦してエレクトロキューショニスト(ドバイワールドカップ優勝馬)に短頭差で敗れ、2018年にはシュヴァルグラン(ジャパンカップ優勝馬)が出走して8着となっている。

 ヨークのウィリアム・ダービー場長はこう語った。「ドバイは多くの日本人調教師や馬主と話すことができる素晴らしい機会でしたね。彼らが興味を示すかもしれない総賞金100万ポンド(約1億6,000万円)の英インターナショナルSについて話すことができました」。

 「ヨークのコースは左回りで平坦なので、レイアウトとしては東京競馬場と似ていなくもありません。それに、秋に施行される欧州の目標レースに向けての重要な中継地点としてヨークは機能すると思いますよ」。

 「多くの馬が英インターナショナルSで走ってから、同じ年の凱旋門賞(G1)、英チャンピオンズデー、ブリーダーズカップ開催などで活躍してきました。ドバイシーマクラシック(G1)優勝馬シャフリヤールもそのような進路を考える1頭だと思いたいです。それにロードノースとの同着優勝を果たしたパンサラッサをぜひヨークに迎えたいですね」。

 豪州では、クリス・ウォラー調教師とクールモアがホームアフェアーズをロイヤルアスコット開催のスプリント戦のひとつに出走させることを約束している。また、同調教師はネイチャーストリップも4月2日(土)のTJスミスS(G1 ランドウィック)を制して欧州遠征の切符を手にすることを望んでいる(訳注:ネイチャーストリップはTSスミスSで3¼馬身差の圧勝を決めた)。

 スミス氏は4月初旬にケンタッキーに行き、クールモアのもう1頭のスター馬であり、ウェスリー・ウォード調教師が管理するゴールデンパルがロイヤルアスコット開催のプレップレースとしてシェイカータウンS(G2 キーンランド)で走るのを見る。また、有名シェフで馬主のボビー・フレイ氏にも会う予定だ。同氏が所有するBCジュベナイルフィリーズターフ(G1)優勝馬ピッツァビアンカもロイヤルアスコットに遠征することになればとても魅力的な1頭となるだろう。

By Scott Burton

(1ポンド=約160円)

[Racing Post 2022年3月31日「Japan's Dubai heroes high on the wish list for Royal Ascot, Goodwood and York」]