海外競馬ニュース 2021年12月16日 - No.47 - 4
英国競馬界の問題行動に対処するワーキンググループが発足(イギリス)[開催・運営]

 英国競馬界は12月14日、ロビー・ダン騎手がいじめ行為を行っていた件をうけ、競馬界における問題行動に対処する計画に乗り出した。

 その計画の中心となるのが業界横断的なワーキンググループで、"競馬産業が関係者の行動の観点からみても進歩的かつ近代的な産業として存続できるようにすること"をその目的にする。

 BHA(英国競馬統括機構)、全国調教師連合会(NTF)、騎手協会(PJA)、英国厩務員協会(NARS)、馬主協会(ROA)、サラブレッド生産者協会(TBA)、競馬場協会(RCA)は共同声明を発表し、競馬参加者の行動に関するサポートや教育を行ううえで幅広い行動を取るというコミットメントを詳しく説明した。

 ダン騎手がブライオニー・フロスト騎手へのいじめ行為やハラスメントで18ヵ月間の騎乗禁止処分を受けた数日後に、この提案は出された。そこには"きちんと伝達され説明され理解され、行動水準を高めるという目的を達成する新たな行動規範"と、"ほかの業界で見られた前向きな変化についての調査結果に裏付けられた行動計画"が含まれている。

 共同声明にはこう記されている。「英国競馬界は、さまざまなアイデンティティと幅広い経歴を持つ人々が一緒に働き競い合う多様性のある産業です。競走馬とともにエリートスポーツで働くことにより生まれる連帯感と良心という共通の価値観によって特徴づけられているスポーツなのです」。

 「競馬産業は関係者の行動の観点でも進歩的かつ近代的な産業であり続けなければいけません。働く人々の幸福と発展を優先させ、英国競馬界におけるいかなる差別にも反対し、競馬界を安全で充実した職場にするために投資しなければなりません」。

 また要求水準に満たない行動の明確化も推進され、関係団体の代表者がこの新たなグループを構成することになる。

 もう1つの目標は、春までに新たな行動規範を完成させ導入することである。

 声明はこう続いている。「訓練・教育・雇用慣行・福祉・安全措置・キャリア開発に関する基準の改善という点で、競馬産業はすでに大きな進歩を遂げています。業界全体が、競馬界を働きやすい職場にすることに関わっています」。

 「しかし常に、できること、やらなければならないことはもっとあるのです。オープンな文化を奨励し、問題に直面している人や困難な状況に陥っている人をサポートするように努めなければなりません」。

 「また競馬に関わる人々がたがいに尊重し合う文化を促進し、業界のあらゆるレベルにおいていっそうの多様性と包容を推進しなければなりません」。

 「それゆえこの声明の署名者たちは本日、業界横断的な専門のワーキンググループの設立を通じて業界内の行動に関する基準・教育・訓練をさらに改善することを公的に約束します」。

By James Burn

[Racing Post 2021年12月14日「British racing launches industry-wide group to tackle behavioural issues」]