海外競馬ニュース 2021年12月16日 - No.47 - 2
ゴールデンシックスティが香港マイルを制して16連勝達成(香港)[その他]

 ゴールデンシックスティは12月12日の香港国際競走(HKIR シャティン)の主役になると予想されていたが、期待を裏切るどころか期待以上の活躍を見せた。

 スタンリー・チャン氏が所有するゴールデンシックスティ(せん6歳 父メダグリアドロ)は香港マイル(G1)を2年連続で制して香港で記録的な19勝を挙げ、連勝を16に伸ばし、競走相手がいないものか探し回っているほどだ。

 ゴールデンシックスティが挑戦者を探そうとすれば、フランシス・ルイ調教師がこの馬を海外遠征させなければならないということになるのだろうが、彼はHKIRの前にこれについて話そうとしなかった。

 ゴールデンシックスティとヴィンセント・ホー騎手は、いつも敗北を喫している香港の馬だけでなく、日本とアイルランドからやってきた才能あるライバルたちも打ち負かした。

 ホー騎手は中団でレースを進め、馬を奮い立たせるために直線の入口でライバルのあいだにわずかな隙間を見つけようとしていた。すると大本命のゴールデンシックスティは直線を突き抜けるように駆け抜け1¾馬身もの差をつけて勝利を決め、問題をあっというまに解消した。芝の良馬場で行われたこのレースの走破タイムは1分33秒86だった。

 もう1頭の地元馬モアザンディスは人気薄だったが2着となり、日本馬サリオスが3着となり、アイルランドから来たクールモアのマザーアースが終盤で追い込んできて4着に入った。ダノンキングリーは8着に終わり、現在躍進中の川田将雅騎手にとっては残念な結果となった。ただ同騎手はその次のレース、香港カップ(G1)をラヴズオンリーユーで制覇することになる。

 2020年に香港ダービーを頂点とする4歳クラシックシリーズ(全3戦)の三冠を達成しているゴールデンシックスティにとって、この勝利はG1・5勝目となった。

 ホー騎手はゴールデンシックスティについてこう語った。「彼が最高の状態にあることは分かっていました。ただ2番ゲートは少しやりにくかったです。内側に閉じ込められたくありませんでしたが、レースは最終的にうまくいき、流れるようなペースになりました」。

 「今日はペースがあがったのでずっと良いレースができました。実際、彼はとてもリラックスしていましたし、6歳になってより成熟しているので、さらに進化しています。驚異的な馬です。騎乗させてもらってとても感謝しています。言葉もありません」。

 ルイ調教師はこの勝利の後もゴールデンシックスティの今後のプランについて語らず、ただこの瞬間を味わうことを望んだ。

 「とても幸せな気分です。彼は私のチャンピオンであり、チーム、ヴィンセント、そして馬主に感謝しなければなりません。彼らがサポートしてくれました」。

 ゴールデンシックスティは豪州のアスコ・インターナショナル社により生産された。母はアイルランドでG2を制したガウデアムス(Gaudeamus 父ディストーテッドヒューマー)である。ルイ調教師はゴールデンシックスティが2017年NZブラッドストック"レディ・トゥ・ラン"セールに上場されたとき、リバーズリーパークから20万4,840ドル(約2,356万円)で購買した。

 香港スプリント(G1)を制したのも香港馬だった。単勝23倍のスカイフィールドが日本のレシステンシアよりも¾馬身先着して勝利を決めたのだ。ただ、直線に入ったときにおぞましい落馬事故が起こり、出走馬12頭のうち4頭が巻き込まれていた。

 アメージングスターが躓いて転倒したことで玉突き事故が始まった。その後ろにいたピクシーナイトとナブーアタックが転倒し、ラッキーパッチはザック・パートン騎手を振り落とした。香港ジョッキークラブ(HKJC)によると、パートン騎手、福永祐一騎手(ピクシーナイト)、ライル・ヒューイットソン騎手(アメージングスター)はプリンスオブウェールズ病院に搬送されたが状態は安定していて治療中とのことであり、4人目のカリス・ティータン騎手(ナブーアタック)は怪我をしていないということだった。

 アメージングスターとナブーアタックには人道的な安楽死措置が取られ、ほかの2頭には大きな怪我はなかったと、サウスチャイナモーニングポスト紙は報じている。

 スカイフィールド(せん5歳 父ディープフィールド)は最後方に近い位置でレースを進めており、落馬事故を避け、終盤に追い込んで勝利を決めた。走破タイムは1分8秒66。

 スカイフィールド(キャスパー・ファウンズ厩舎)に騎乗していたブレイク・シン騎手はこう語った。「今日はこのレースで勝ったことに複雑な感情を抱いています。言うまでもなく、最初の感情は、私の心が事故に巻き込まれた騎手のもとにあるということです」。

 「どのような騎手も馬が転倒するのを見るとぞっとさせられます。今日起こったことは、本当にほろ苦い勝利であり、この状況では素直には受け入れにくい勝利です」。

 HKJCのCEOであるウィンフリート・エンゲルブレヒト⁼ブレスゲス氏は、新型コロナ対策のための厳格なプロトコルがある中でHKIRを開催できたことを「非常に誇りに思います」と述べながらも、香港スプリントでの不幸な出来事をうけて「すべてを圧倒する絶対的な悲しみがあります」と付言した。

By Bob Kieckhefer

(1ドル=約115円)

[bloodhorse.com 2021年12月12日「Golden Sixty Wins 16th Straight Race in Hong Kong Mile」]