海外競馬ニュース 2021年11月25日 - No.44 - 4
名種牡馬ピヴォタル、28歳で死亡(イギリス)[生産]

 チェヴァリーパークスタッドと英国生産界の輝かしい一幕が、同スタッドの名種牡馬ピヴォタルの28歳の死によって閉じられた。

 ピヴォタル(父ポーラーファルコン)はその短くも魅力的な通算成績6戦4勝の競走生活において、ナンソープS(G1)やキングズスタンドS(当時G2)などを制し、チェヴァリーパークスタッド(ニューマーケット)が生産して所有した初めてのG1馬となった。その後、種牡馬として24シーズンを通じて同スタッドで供用されることになり、現代で最も影響力のある種牡馬の1頭となった。

 1997年に種牡馬入りし、当初の種付料は6,000ポンド(約93万円)だった。彼はすぐに商業的な生産者たちのあいだで人気を博し、英国のリーディングファーストクロップサイアーとなり、カイラチーがしかるべくナンソープSを制したことで初めての英国G1馬をすぐに送り出した。種牡馬として出世し、英国において勝馬頭数で8回、産駒の獲得賞金で2回、リーディングサイアーに輝いた。

 ピヴォタルはG1馬32頭を送り出している。その中には、クラシック勝馬のサリスカ、ハーフウェイトゥヘブン、ファルコ、バズワード、シーラ(Saoire)、ドバイワールドカップ優勝馬のアフリカンストーリー、英チャンピオンSとロッキンジSの優勝馬ファー、ジャンリュックラガルデール賞優勝馬のシユーニ、トップクラスの牝馬イモータルヴァース(訳注:2011年マイルチャンピオンシップ7着)、2020年英チャンピオンズスプリントSの優勝馬グレンシール、2020年英チャンピオンS優勝馬のアデイブが含まれる。

 また自らが優れた母父であることも証明し、2017年から2019年まで欧州リーディングブルードメアサイアー(母父)に輝いている。同馬の牝馬は、2021年チェヴァリーパークS(G1)優勝馬のテネブリズムをはじめマジカル、ヴェレイシャス、クラックスマン、ラブ、アドバタイズなど、G1馬26頭を送り出している

 栗毛のピヴォタルは種牡馬の父としても影響を与えており、種牡馬となった7頭の産駒がG1馬を送り出している。とりわけ目立つのは前述のシユーニとファーである。シユーニはすでにセントマークスバシリカやソットサスを、ファーはクイーンエリザベス2世S(G1)の優勝馬キングオブチェンジを送り出している。

 2020年の種付シーズンを最後に種牡馬生活から引退し、チェヴァリーパークスタッドで余生を過ごしていた。

 同スタッドの場長であるクリス・リチャードソン氏は11月19日にこう語った。「彼の父ポーラーファルコンが1年目に送り出した産駒であることを考えると、偉大なピヴォタルにまつわる物語は本当に驚くべきものです。幸いにも、1歳のときにその同世代のポーラーファルコン産駒と一緒にセリに上場せず、手元に置いてレースに出走させることになったのです」。

 「サー・マーク・プレスコット調教師に管理されていたころ、ピヴォタルはまさにチェヴァリーパークスタッドを世間に知らしめました。有名な赤・白の勝負服を背に、牧場主のデヴィッド&パトリシア・トンプソン夫妻にとって最初のG1優勝馬となりました」。

 「初年度の相手は比較的少なかったのですが、その結果生まれた産駒はあらゆるレベルで優れた能力を発揮して刺激を与えました。そのような産駒の活躍はピヴォタルの種牡馬生活をつうじてずっと、国内外問わず続いています」。

 「ピヴォタルは世界の舞台で、種牡馬・種牡馬の父・母父として、最高レベルの能力を発揮してきました。私たちチェヴァリーパークスタッドのスタッフは皆、彼の28年間の生涯に関わることができてとても幸せでした」。

By Kitty Trice

(1ポンド=約155円)

[Racing Post 2021年11月19日「'We've been so blessed to have been part of his life' - Pivotal dies aged 28」]