海外競馬ニュース 2021年09月09日 - No.33 - 4
2021年凱旋門賞に行く前に知っておきたいこと(フランス)[開催・運営]

 今年第100回目を迎える歴史ある凱旋門賞(G1)では、出走馬確定前オッズによると英国かアイルランドの勝利が事実上保証されているように見える。

 世界がまだコロナ危機から抜け出そうと取り組む中、フランスギャロ(France Galop)は昨年の観客なしの凱旋門賞から1年を経て、今年の凱旋門賞(10月3日)で海外の競馬ファンがパリロンシャン競馬への新たな秋の恋を実らせるのを運に任せてしまおうとは考えていない。

 フランスギャロのオリヴィエ・ドロワ事務総長は、凱旋門賞を"パリで楽しめる英国とアイルランドの競馬開催日"と表現し、まだ予約していないかもしれない多くの旅行者に広く歓迎する意を伝え、安全な環境と競馬場への入場のしやすさを約束した。

 「フランスでは12歳以上の人口の80%がワクチンを接種しており、第4波による感染者は激減しています。フランス、特にパリ地区に来たいと考えている人々は、ワクチン接種していればこの状況を恐れる必要はありません」。

 「今年の凱旋門賞には入場制限はありません。来場する人々に必要なのは、衛生パスと呼ばれるものを提示することだけです。それにワクチンを2回接種している英国の競馬ファンは、今では帰国時の検疫がないことが明らかになっているので、ずっと来場しやすくなっています」。

 7月からフランスのバー・レストラン・文化施設・スポーツ施設などで採用されている衛生パスは、デジタルあるいは紙の証明書で提示できる。また入場時に衛生パスのQRコードをスキャンすることで、2回のワクチン接種が完了していること、72時間以内の検査でコロナ陰性であったこと、あるいは検査でコロナの陽性反応があった日から15日以上経っていること(6ヵ月以上は無効)が証明できる。

 英国民保健サービス(NHS)のコロナ接触確認アプリあるいはアイルランドのデジタルCOVID-19証明書がある人は、手続きが数秒で完了する。またワクチン接種を受けていない人は正門脇の特設ステーションで迅速な抗原検査が受けられる。

 ドロワ事務総長はフランス国内外の顧客に向けたチケット販売が2019年に比べて遅れていることを認めた。しかし同時に、国内外の政府が移動制限を変更した場合には予約者全員に返金が可能であると述べ、大きな安心感を与えた。

 主催者は凱旋門賞100周年を記念してこのレースの歴史を祝うために、総力をあげて取り組む。すべての優勝馬の勝負服が華やかに展示され、レスター・ピゴットやイヴ・サン-マルタンなど多くの優勝ジョッキーが出席する予定である。

 フランスギャロの販売・マーケティング担当理事であるデルフィーヌ・ヴィオレット氏は、一般チケット販売サービスの概要を説明した。① グランドスタンド1階とパドックを見下ろす階段からなるゾーンと、② キッチンカー・巨大ギネスバーの復活・レース終了後のDJによるパフォーマンスが楽しめるガーデンエリア、に分かれている。グランドスタンドのチケットは土曜日が30ユーロ(約3,900円)、日曜日が65ユーロ(約8,450円)で、ガーデンエリアの凱旋門賞開催日(日曜日)の入場料はわずか20ユーロ(約2,600円)に価格設定されている。

 ヴィオレット氏はこう語った。「ラグビーの"フランスvs.イングランド戦"あるいは"フランスvs.アイルランド戦"をスタッド・ド・フランスで観戦するには155ユーロ(約2万150円)、テニスの全仏オープンを2つのメインコートで観戦するには最低でも80ユーロ(約1万400円)はかかり、決勝戦はおそらく200ユーロ(約2万6,000円)くらいでしょうか。なにしろ凱旋門賞ですよ!これは適正な価格だと思います」。

By Scott Burton

(1ユーロ=約130円)

[Racing Post 2021年9月6日「2021 Prix de l'Arc de Triomphe: what you need to know about going to Longchamp」]