海外競馬ニュース 2021年08月26日 - No.31 - 2
スノーフォール、ヨークシャーオークスを制して凱旋門賞に向け躍進(イギリス)[その他]

 スノーフォールは凱旋門賞(G1)に向けて容赦ない躍進を続けた。溢れんばかりの実力を秘めていそうなスタイルで、3つ目のオークス、ヨークシャーオークス(G1)を制したのだ。

 エイダン・オブライエン調教師とライアン・ムーア騎手は、スノーフォールがこのG1競走で早々と勝利を確実にして自らのペースでゴールした後、秋に何が起こるのかを想像して興奮を隠せなかった。

 英オークス(G1 エプソム)を16馬身差、愛オークス(G1 カラ)を8½馬身差で制したスノーフォールは、今回の着差は"わずか"4馬身だったが、またもやびっくりするほどの卓越性を見せつけた。

 彼女は残り3ハロン(約600m)で促されるとスッと加速し、淡々とたやすく大きなストライドで走り、ムーア騎手に決勝線の手前でスピードを落とす余裕すら与えた。

 稍重(Good)の馬場状態でコースレコードにプラス1秒強のタイムでゴールしたことは、スノーフォールの優秀さを証明するものだった。最大のライバル、ワンダフルトゥナイトは精彩を欠いて4着に終わった。

 パディーパワー社はレース直後に凱旋門賞でのスノーフォールのオッズを4.5倍から4倍に下げたが、他社の多くが3.25倍としていることもあり、ふたたび下げて最低オッズの3.5倍にせざるをえなかった。 

 オブライエン調教師にとって凱旋門賞(10月3日 ロンシャン)はすぐには訪れてはくれないだろう。セントマークスバシリカがエクリプスS(G1)を制して以来、英国で出走した管理馬22頭が敗戦を続けていたが、今回その流れは望み得る最高の形で断ち切られた。

 同調教師は、「スノーフォールはとてもリラックスしていて元気いっぱいで、秋に向けて態勢が整いそうです。すごくワクワクさせてくれる牝馬で、前走から馬体が力強くなっており、とても落ち着いて歩いていました」と語った。

 スノーフォールが凱旋門賞に直行するかどうかを尋ねられ、オブライエン調教師は、「そうなると思いますが、チームと話し合わなければなりません。それまでにもう1回走らせたいのであれば、凱旋門賞トライアルに参戦させることも可能です。彼女の調教の様子から判断すれば、とても順調にこなしていくでしょうから、馬体重は計測するにつれて増えていくでしょうね」と述べた。

 オブライエン調教師はヨークシャーオークスを6勝したことになる。1年前に3歳だったラブもまさに同じように、目がくらむようなパフォーマンスを見せた。

 ラブは昨年、不良馬場のために最終出走取消締切の段階で凱旋門賞を回避した。しかしオブライエン調教師は、スノーフォールに関していかなる問題も想定していない。

 「スノーフォールは馬場状態と距離に関して融通のきくタイプです。どのような馬場状態でも同じように走れるようです」。

 「普段はリラックスしているものの、すぐに加速できます。私たちは彼女が2歳だったときでさえも、いつも非常にいい馬だと思っていました」。

 しかしスノーフォールのパフォーマンスは、2歳時と3歳時でこれ以上ないほど対照的である。2歳時の7戦1勝という成績は彼女を将来のスーパースターとして浮上させなかったが、今季初戦のミュージドラS(G3 ヨーク)において単勝15倍で驚きの勝利を収めて以来、おとろえる気配を見せていない。

 ヨーク競馬場の常連客が英インターナショナルS(G1)でミシュリフが見せた壮観なショーに酔いしれた。その翌日も、観客は特別なものを見たとばかりにふたたび温かい拍手を送った。

 スノーフォールはヨークシャーオークスで初めて古馬に挑んだ。そして今後は、ミシュリフのような牡馬のライバルがロンシャンで待ち構えている。

 しかし、スノーフォールが今シーズン成し遂げてきたことは彼女を偉大な存在へと導くものであり、ムーア騎手はこのディープインパクト牝駒を褒めたたえてこう語った。

 「彼女は格別な感触をもたらしてくれて、レースはあっという間に終わってしまいました。とてもたやすく私を導いてくれて、勝負はゴールの2½ハロン(約500m)手前で決まっていました」。

 「馬場については心配していませんでした。彼女が英オークスを制したときは良馬場でしたし、昨年は重馬場で走ることが多かったですから。ほぼすべてのコンディションに対応できるので、馬場状態は問題にはならないと思います」。

 「今日のパフォーマンスは、これまでに感じたことがないほど素晴らしいものでした。愛オークスでのレースぶりよりも確実に良い感触で、これが秋に向けて彼女が戦い続けていくうえでの良い兆候となることを期待しています」。

By Andrew Dietz

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