海外競馬ニュース 2021年07月29日 - No.28 - 3
アーリントン競馬場、従業員に雇用関係の終了を通知(アメリカ)[開催・運営]

 イリノイ州にあるアーリントンパーク競馬場のトニー・ペトリロ理事長は週末(7月24日・25日)、従業員に対して、現行の競馬開催が9月25日に閉幕した直後にスタッフとの雇用関係を終了する予定であると通知した。

 イリノイ州の法律では、従業員に対して少なくとも60日前に通知することが義務付けられている。ただし、同競馬場が計画を変更する可能性はまだある。

 同競馬場のオーナーであるチャーチルダウンズ社(CDI)は、この歴史ある競馬場を開発のために売却したいという意向を表明していた。そして、今年すでに多数の団体から購入の入札があった。これらの団体には、現在のスタジアムに不満を持っているNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のシカゴ・ベアーズや、同競馬場の元理事長ロイ・アーノルド氏が率いるグループなどが含まれる。CDIは、仮に受け入れるとしたらどの入札なのか、いまだ発表をしていない。

 ペトリロ理事長から週末にスタッフに送られた社内連絡メモについて、最初に報道したのはデイリーヘラルド紙である。CDIの通知に詳しい人物が本誌(ブラッドホース誌)にコピーを転送してきた。それにはこう記されている。

 「今年すでに発表しましたとおり、アーリントンパーク競馬場は売却のために市場に出されており、その結果、同競馬場は閉鎖されることになります。これらの計画に基づき、現在のところ、雇用関係の終了は2021年9月25日前後に開始される予定です。競馬場の施設全体は売却の見込みに伴い、永久的に閉鎖されます」。

 アーリントン競馬場は、今シーズンを 「ファイナルターン(The Final Turn)」と銘打ってマーケティングを行ってきた。

 一方でデイリーヘラルド紙は今月これまでに、CDIがアーリントン競馬場の2022年競馬開催日の申請を要請したと報じていた。来年の開催日申請は、イリノイ州競馬委員会(IRB)に7月30日に提出される予定であるが、これはCDIの理事たちが第2四半期の電話会議の一環として投資家やメディアの前で話す翌日となる。

 昨年の夏に行われた第2四半期の電話会議では、CDIのCEOビル・カースタンジェン氏が競馬場売却についてこう話していた。

 「長期的な解決策はアーリントンパーク競馬場ではありません。あの土地は、ある時期がくれば、ほかのもっと素晴らしい目的のために役立つでしょう」。

 アーリントン競馬場の土地を売却する動きは、競馬場に新たに承認されていたカジノ運営の免許を2019年にCDIが申請しないと決定したことから始まった。CDIは、同競馬場の近くにあるリバーズカジノ(Rivers Casino イリノイ州デスプレーンズ)を共同所有しており、同じ市場で2つのゲーム施設が競合することを望まなかったのかもしれない。

 CDIが入札に応じる準備を進めているとき、アーリントンハイツは、CDIが売買契約にゲーム禁止条項を盛り込むことを禁止する条例を可決した。これは、競馬開催を継続させるためにはめにはゲームからの収入源が必要になるかもしれないと判断したものである。

 シカゴ地域に残るもう1つの競馬場は、現在カジノを併設するために改修工事中のホーソン競馬場である。同競馬場はサラブレッドとスタンダードブレッドの両方のレースを施行しており、この地域で唯一の競馬場となれば、両競走種類のあいだで開催日の奪い合いが起きる可能性がある。

 本誌は7月27日、ペトリロ理事長とCDIの広報担当副理事長のトーニャ・アベルン氏にメッセージを送信したが、すぐに返信はなかった。

By Byron King

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[bloodhorse.com 2021年7月27日「Arlington Informs Employees of Layoffs After Its Meet」]