海外競馬ニュース 2021年06月24日 - No.23 - 1
ジョーンオブアークが仏オークス優勝(フランス)[その他]

 ジョーンオブアークは、エイダン・オブライエン調教師のシーズン後半に活躍が期待される優良牝馬のリストに自らの名を連ねた。勇気と気品を示してシビラスペイン(Sibila Spain)を追い詰め、バリードイル(クールモアの調教拠点)の名伯楽に仏オークス(G1 ディアヌ賞)初制覇をもたらしたのだ。

 オブライエン調教師は、イオリッツ・メンディザバル騎手とのコンビで今季仏G1・3勝目を達成したことで、英国・フランス・アイルランドのすべてのクラシック競走を制したことになる。

 プリンスオブウェールズS(G1)優勝馬のラブと英オークス(G1)優勝馬スノーフォールがすでに凱旋門賞ディスタンスの1½マイル(約2400m)でトップクラスだと確認されているので、オブライエン調教師は10月のロンシャンに向けて万全の態勢を整えることができそうだ。さらに、パディパワー社は凱旋門賞(G1)でのジョーンオブアークのオッズを21倍としている。

 ジョーンオブアークは愛1000ギニー(G1)で同厩舎のエンプレスジョゼフィーヌに決勝線でとらえられた後、初めてマイルよりも長い距離のレースに挑戦したが、オブライエン調教師は今回の2100mが彼女のスタミナの限界だとは考えていない。

 同調教師はこう語った。「イオリッツは彼女に感激していて、1½マイル(約2400m)でも問題はないだろうと考えていました。それに残り1½ハロン(約300m)でやっと彼女が動き出したと言っていました。さらに彼によれば、彼女は距離を延ばしていくことを好んでいるようなので、大きな可能性を秘めていると思います」。

 オブライエン調教師は水曜日にレースを終えたラブは日曜日にはとても良好な状態であり、攻馬手が「レースをしたようには見えない」と言っているほどだと報告した。

 同調教師は手掛ける優秀な3歳馬について「スノーフォールが1½マイル(約2400m)をとてもうまく走ったことは周知のとおりですし、この牝馬もレースごとに進化してきました。2頭ともとても楽しみな牝馬です」と付け足した。

 ジョーンオブアークはパドックで最も立派な馬体をしているようには見えなかったが、レースでは常に4番手までに付けていて終盤でその素質を示した。

 オブライエン調教師はこう語った。「彼女は走るたびに進化しています。優しい心の持ち主で、とてもバランスが良く、大きくて長いストライド(完歩)で走ります。今日の彼女のレースぶりでとてもエキサイティングだったのは、うまくゴールを走り抜けたことだったと思います。距離が延びるにつれて、速度を増していました」。

 今シーズンを迎えるまでオブライエン調教師はシャンティイのいずれのクラシック競走でも運に見放されていた。しかし、メンディザバル騎手とセントマークスバシリカが仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞)を制して悪霊を鎮めたわずか2週間後、47歳の同騎手が自らにとっても初めてとなる仏オークス制覇を達成したのだ。

 仏2000ギニー(G1 5月16日 ロンシャン)もセントマークスバシリカで制していたメンディザバル騎手は、「私にとっては想像を絶するもので、まったく魔法のようなものです」と述べ、こう語った。

 「抜け出すには完璧な位置につけていたのですが、彼女に合図を送ったときには前を走る馬はぐんぐんと進んだままで、ゴールまでにとらえきれるか自信がありませんでした。でも彼女は素晴らしい牝馬で、その馬を追い詰めました」。

 「エイダンは私のサンタクロースです。優良馬2頭に騎乗するチャンス、それも牡馬と牝馬を1頭ずつもたらしてくれました。彼は"ああしろ、こうしろ"とは決して言わず、"感じるままに乗ってください"とだけ言ってくれます。こんなふうに乗るのは大好きです。この牝馬を見てください。彼女はレースを走りきったのに、まるで調教を1本走っただけかのようにとてもリラックスしています。まったく称賛に値します」。

健闘したほかの牝馬

 ミカエル・バルザローナ騎手は1番人気のフィロメーヌ(Philomene)に乗っていて、前が開いて進出するまで待たなければならなかったが、直線の終盤で疾走して2着を確保した。一方、同厩舎馬ブルガリタ(Burgarita)は粘って3着に入った。

 アンドレ・ファーブル調教師はこの2頭についてこう語った。「フィロメーヌはうまくゴールしました。美しい動きと素晴らしい末脚を見せてくれました。満足しています。彼女はもっと上を目指せるでしょう」。

 「ブルガリタは3戦目にしては上出来でした。少し外側を回され、コーナーで少し遠回りしましたが、重賞勝馬と初めて対戦するにしては、見事な戦いぶりでした」。

 クリストファー・ヘッド調教師は最後の1ハロン(約200m)まで勝利を信じ込んでいたに違いない。見事な先行逃げ切りの騎乗をするオレリアン・ルメートル騎手のもとシビラスペインは勇敢に力を出し切って4着に入った。

 父フレディ、叔母クリケットのもとで修行を積んだヘッド調教師は、「レースは彼女にとって完璧な展開で、とてもハイレベルなパフォーマンスでした。彼女はまだ経験が浅く、2歳時には未出走でしたので、まだまだこれからだと思います。今後進化していくことを望んでいます」と語った。

By Scott Burton

   

[Racing Post 2021年6月20日「'Aidan is my Father Christmas' - Mendizabal lands Prix de Diane on Joan Of Arc」]