海外競馬ニュース 2021年01月21日 - No.2 - 1
2021年ロイヤルアスコット開催、各日7競走施行で規模拡大(イギリス)[開催・運営]

 リチャード・ハノン調教師とロジャー・ヴェリアン調教師は「ロイヤルアスコット開催は今後、各日7競走を施行して規模を拡大する」というアスコット競馬場の発表に対して、一流の調教師・馬主・騎手たちが一致して賛同するよう議論を先導した。

 ロイヤルアスコット開催(5日間)は昨シーズン、その規模を拡大していた。それは、新型コロナウイルス感染拡大による競馬中止(3月18日~5月31日)のために出走計画がかなり狂ってしまった馬を出走させやすくするためだった。

 しかし2020年の6競走が追加された修正スケジュールがブックメーカーや出走馬関係者のあいだで人気を博したことで、アスコット競馬場は昨年そのうち4競走(カッパーホースS・パレスオブホリールードハウスS・ゴールデンゲーツS・バッキンガムパレスS)を維持すると決定した。バッキンガムパレスSは2015年のコモンウェルスカップの新設に伴い廃止されていたが、復活することになった。

 ロイヤルハントカップとウォーキンガムSに登録できなかった馬の受け皿として昨年施行されたシルバーロイヤルハントカップとシルバーウォーキンガムSは維持されなかった。一方、2021年の唯一の新設競走であるケンジントンパレスSは4歳以上の牝馬のハンデ戦であり、マイルの周回コースで競われる。

 ロイヤルアスコット開催での優勝馬を多く送り出しているハノン調教師はこう語った。「ロイヤルアスコット開催で勝ちたいという意欲は無限に近いです。競馬産業全体にとって最高のイベントです。レースが多く施行されるほど、ロイヤルアスコット開催で多くの物語が作られ、いっそう素晴らしいものになるでしょう。また、私たちはより多くの馬主を優勝オーナーにすることができ、それもまた素晴らしいことです」。

 「英国の競馬産業全体にとって最も豪華な開催です。今年の開催が誰からも高く評価される以外には考えられません」。

 ヴェリアン調教師は2020年ロイヤルアスコット開催において、新設のハンデ戦カッパーホースSをフジャイラプリンス(Fujaira Prince)で制するなど4勝を挙げ、大活躍を果たした。フジャイラプリンスはその後イボアHで勝利を収め、愛セントレジャー(G1)で2着となった。

 「私の考えでは朗報です。マイナス要素が見つかりません。私たちは昨年、新設競走の1つであるハンデ戦(約2800m)で優勝しました。それらの新設競走には存在意義があり、とても評判が良かったです。ただ、昨年受け皿となった2つのレースを残さないのはおそらく正しい判断だったと思います」。

 シルバーロイヤルハントカップが無くなったことを嘆いているようなのは、昨年このレースをサーバスカー(Sir Busker)で制したウィリアム・ナイト調教師である。同調教師はこう語った。「昨年の追加された競走は成功を収め、競馬番組を充実させたと思います。開催日を追加するのではなく各日1競走ずつ増やすのは望ましいことでしかありません」。

 「賭事収入が増加すれば、ロイヤルアスコット開催が希薄化することはありません。それに出走馬も多くなっていくと思います。マイナス要素が見つかりません。昨年の開催は良い試みになり、売上げに効果をもたらしました。とても納得がいきます」。

 ウィリアム・ハガス調教師も昨年受け皿となった競走が再び施行されることを望んでいるが、今年新設されるケンジントンパレスSをとても歓迎している。「ロイヤルアスコットは私たち全員にとってとても権威ある開催なので、魅力が褪せることはないと思います。それに、追加されるレースはとても素晴らしいです。新設の牝馬戦はとても楽しみです。ロイヤルアスコット開催ではほとんど使われてこなかったマイルの周回コースで施行されます」。

 「昨年のロイヤルアスコット開催は驚くほど素晴らしいものだったと考えますが、シルバーウォーキンガムSとシルバーロイヤルハントカップも将来復活させるのに一考の価値があると思います。それでもあらゆる点で朗報です」。

 アスコット競馬場の競走・広報担当理事のニック・スミス氏はこう語った。「ブックメーカーや放送局から好意的な反応を得ており、競馬賭事賦課金公社(Levy Board)もこの競馬番組を続行することを熱望しています。また昨年追加レースに馬を出走させた関係者からも大反響がありました。ロイヤルアスコット開催の優勝馬になることはとても大事であり、より多くの人々に馬を出走させるチャンスをもたらすことには意味があります」。

 「もちろん、開催日が長くなりすぎると感じる人々もいますが、1日7競走がそれほど長いとは思えません。反応は圧倒的に良好です」。

 「ロイヤルアスコット開催の規模の拡大は常に検討されていました。昨年はそうせざるを得ない状況で、誰からも歓迎される環境で新たなスケジュールを試行できました。それはうまくいき、今年も続行することに反対する意見は強くありませんでした」。

 賞金額は4月の早い段階に登録が締め切られるレースに先立って確定される。2020年の水準をベースとした賞金額を維持するリストはすでに作成されている。

 スミス氏はこう続けた。「あらゆることが不確定です。1ヵ月ほど前は、クリスマスに観客がふたたび迎えることを計画し始めていましたが、突如としてウイルスの変異株が見つかりロックダウンとなりました」。

 「いつになったら観客をふたたび迎えることができるのか実際のところ分かりません。また賦課金に関して妙案がないため、提供できる賞金のレベルが把握できません。それでも私たちはできるかぎり最善を尽くすでしょうし、あらゆる不測の事態に備えています」。

 スミス氏は1月18日の声明でこう述べている。「現段階ではこれまで以上に、賞金を獲得する機会、そして賦課金収入と国内外での賭事収入を生み出す機会を高めることが重要です」。

 「BHAとの協議の結果、2つの条件戦を廃止して質の高いハンデ戦を新設することにしました。実際には開催全体で施行する競走数は昨年より1つ減ります」。

 「昨年の拡大されたロイヤルアスコット開催は、出走頭数をわずかに減らすことで実現できました。なぜなら新型コロナウイルス感染防止策の下、競馬場への前日輸送ができなくなったからです。ふたたび出走可能頭数を満たすほどの馬を集めるためには、前日輸送が行われることはとても重要です。そのために私たちは一時的な入厩を可能にする追加の厩舎の建設を発注しています」。

 新たなレースは土曜日以外の各開催日の最終レースとして施行されるだろう。最終日である土曜日はこれまでどおり、クイーンアレクサンドラSを最終レースとして締め括られる。各日の第1レースは2時30分に発走予定であり、王室のパレードは従来どおり午後2時の時間帯に行われる予定。
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By Jonathan Harding and Stuart Riley

[Racing Post 2021年1月18日「Top trainers praise move to expand Royal Ascot to seven races a day」]