海外競馬ニュース 2020年09月17日 - No.36 - 3
タルナワ、後方からの強襲でヴェルメイユ賞を制覇(フランス)[その他]

 タルナワ(Tarnawa)は過去10年間ほどのヴェルメイユ賞(G1 2400m)の中でとりわけ傑出したパフォーマンスを達成した。2008年に名牝ザルカヴァ(Zarkava)がヴェルメイユ賞を制した後に凱旋門賞(G1 2400m)で優勝したことで、ヴェルメイユ賞は凱旋門賞の鍵となるトライアル競走になっている。

 ザルカヴァと同じアガ・カーン殿下のエメラルドグリーンの勝負服を背負ったタルナワ(牝4歳 父シャマルダル)は、クリストフ・スミヨン騎手に抑えられ後方に控えていた。そして最後の直線で外側から疾走し、後続馬を3馬身も引き離して格調高い輝きを放った。ラービハー(Raabihah)も後方から突っ込んできて、道中ずっと先頭を走っていたデイムマイヨ(Dame Maillot)から2着の座を奪った。

 タルナワは3週間後に同じくロンシャン競馬場で施行されるオペラ賞(G1)に登録しているが、凱旋門賞に出走するとすれば追加登録しなければならない。同馬は凱旋門賞で単勝17倍前後のオッズをつけられている

 父のダーモット・ウェルド調教師の代わりに立ち会ったマーク・ウェルド氏は、オペラ賞と英チャンピオンズフィリーズ&メアズ(G1)を出走する可能性のあるレースとしているが、凱旋門賞へ追加登録する可能性を否定しなかった。

 「父と話したところであり、アガ・カーン殿下のチームにも相談しなければなりません。今日は現時点での実力を示したのでしょうが、それにしても驚異的なパフォーマンスでした。もう一度スミヨン騎手とも話すでしょう。3週間後にロンシャンに戻って来る可能性はあります」。

 「アガ・カーン殿下とそのご家族、そしてそのチームにとても感謝しています。とても権威あるレースを勝てました」。

 「私たちは希望に満ちています。タルナワはとても安定していて、偉大なアガ・カーン殿下のファミリー(牝系)に属しています。そのファミリーの馬はどんどん能力を高めます。彼女を調教するのはとても楽しいです」。

 タルナワがどの距離で最高のパフォーマンスをすると感じるかと聞かれ、ウェルド氏は「もしかすると10ハロン(約2000m)かもしれません。しかし様子を見ていきたいと思っています。タルナワはスピードがあり、優秀な牝馬です。優秀な牝馬は距離を伸ばしても走る傾向にあります。試す価値はあります」。

 ダーモット・ウェルド調教師は数々のビッグレースが施行されたこの日を大いに楽しんだ。タルナワの勝利の直後に、もう1頭の4歳牝馬サーチフォーアソング(Search For A Song)が愛セントレジャー(G1 カラ競馬場)で優勝したのだ。

 同調教師は自身にとってヴェルメイユ賞初勝利となったタルナワの快挙についてこう語った。「タルナワはつねに秋に照準を合わせてきました。彼女はギルタウンスタッド(Gilltown Stud)から私の厩舎に戻ってきて、とても状態が良さそうに見えました。コーク競馬場のG3競走に出走してカイエンペッパー(Cayenne Pepper)を下して優勝しましたが、それは見事なパフォーマンスでした。今日も素晴らしいパフォーマンスをしました。タルナワとサーチフォーアソングにとって記念すべき日になりました。アガ・カーン殿下と生産マネージャーのパット・ダウンズ(Pat Downes)氏に相談しに行き、プランを決定させるでしょう」。

 タルナワの後方からの強襲は、レースの走破タイムがモーグル(Mogul)が優勝したパリ大賞とわずか1秒半しか変わらなかったことで、さらに称賛に値する。

 ラービハーもかなりの末脚を見せ健闘した。ジャン-クロード・ルジェ調教師はこう述べた。「ラービハーはよく走りましたが、相手が以前よりも強くなっていました。それでも自らフランス最強の3歳牝馬であることを証明しました。2週間後に彼女の様子を見て、調子が良ければ凱旋門賞に出走させるでしょう」。

 デイムマイヨは追い込み馬を寄せ付けない粘り強さを見せて3着を確保した。

 デットーリ騎手は、「彼女は素晴らしいパフォーマンスをして3着に健闘しました。2頭の優秀な牝馬に抜かされただけです」と語った。

By Scott Burton

[Racing Post 2020年9月14日「Tarnawa produces scintillating display to earn Weld first Vermeille success」]