海外競馬ニュース 2020年09月03日 - No.34 - 1
ドンカスター競馬場、9月9日から有観客開催を試験的に実施(イギリス)[開催・運営]

 英国競馬界は8月26日、9月9日から有観客開催を実施することを発表し、競馬が完全復活を遂げるための最初の暫定措置を取った。新型コロナウイルス感染拡大による危機に対応する競馬産業にとって、観客を迎えての開催は最重要課題である。

 3月以降、競馬場はファン不在である。レース再開となった6月1日から、無観客開催が続いている。最初は競馬運営に不可欠な従事者だけしか入場できなかったが、現在は馬主にかぎり入場が許されるようになった。

 しかし政府の承認を受けて、ドンカスター競馬場のセントレジャーフェスティバル(9月9日~12日)でその状況は変わろうとしている。

 9月9日午後に上限を3,640人としてファンが入場できるようになる。その後の3日間には、入場者の上限が6,202人に引き上げられる。一方、ウォリック競馬場とニューマーケット競馬場もその2週間後に有観客開催を試験的に実施する予定。

 ドンカスター競馬場を所有するアリーナレーシング社(Arena Racing Company)の競馬部門のマーク・スピンサー(Mark Spincer)社長はこう語った。「ドンカスター競馬場の有観客開催の試験的な実施を政府と地方自治体が承認したことを光栄に思っています。観客を迎えることは競馬ビジネスにとってまさしく根源的なことであり、大規模イベントの神髄です。ドンカスター競馬場のチームは限定数の観客を安全かつ効率的に迎えるために、あらゆる措置を確実に取るべく、一生懸命に働いてきました」。

 「9月9日からの有観客開催は試験的なものなので、ファンがこれまで馴染んできた経験とは異なるかもしれません。しかし、ファンが楽しい午後の競馬を満喫し、スポーツイベントに観客を再び迎えるプロセスに貴重な意見を提供するために、私たちは全力を尽くしています」。

 グッドウッド競馬場のグロリアスグッドウッド開催(7月28日~8月1日)の最終日に観客5,000人を迎える有観客開催の試験的実施が行われる予定だったが、英国中で感染者数が急増したためにその計画は直前に白紙化された。競馬界は有観客開催に関する展開を、固唾をのんで見守ってきた。

 スピンサー氏はこう続けた。「移動制限措置は、すべてのスポーツとライブイベントと同様に、競馬産業に計り知れない影響を及ぼしました。無観客でもレースを再開できたことに満足していましたが、競馬界をはじめ他の多くの産業は観客に大きく頼っています。それゆえ、有観客競馬を実施できることは正しい方向に向けての大きな一歩です」

 「依然として制御できない予測不可能な状況の変化に左右される可能性があることは分かっています。しかし万全を期して、ファンが競馬をふたたび楽しめるようにしたいと思っています」。

 ウォリック競馬場の障害競走開催日(9月21日)が、競馬ファンが入場できる次のチャンスとなる。入場者数を1,250人に限定し、その内訳は馬主・調教師が200名、年間会員が186名、一般入場客・来賓室予約者が864人。一方、ニューマーケット競馬場のケンブリッジシャー開催(9月24日~26日)への入場者数はまもなく最終決定される。

 ウォリック競馬場とニューマーケット競馬場を運営するジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses)のスポークスマンは、「9月に2場で、有観客開催を試験的に実施できることにとても満足しています。適切な時期となればすぐに観客を迎えられるようにするために、また競馬の完全復活に向けて我々が辿ってきた長い道のりにおいて、重要な一歩となります」と語った。

 政府は10月にスポーツの完全な有観客開催を実施することを目指している。8月26日にさまざまなスポーツの有観客開催の試験的実施が発表されたが、競馬もその1つに入っていた。

 デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣であるオリバー・ドウデン氏はこう語った。「英国中で、ファンが競技場でチームと再会するのを待ちきれないでいることを承知しています。しかしファンに競技場に安全に戻ってきてもらうために、慎重で段階的な方法を取ることは必須です。試験的なプログラムを再開できるほど感染率が安定していることに満足しています。できるだけ早くファンを競技場に迎えるために、スポーツ、医療・健康、安全の専門家とともに集中的に取り組み続けます」。

By James Burn

[Racing Post 2020年8月26日「'Heart and soul of racing' - Doncaster delight as racegoers return in September」]