海外競馬ニュース 2020年08月06日 - No.30 - 3
ヴィクトリア州、ロックダウン強化でも競馬を続行(オーストラリア)[開催・運営]

 ヴィクトリア州のダニエル・アンドリュース州首相は、新型コロナウイルスの感染第2波に伴うロックダウン(都市封鎖)強化の期間中も、競馬を続行することを認めた。

 ヴィクトリア州は8月2日、感染者急増を受けて非常事態宣言を発令した。アンドリュース州首相はその翌日、第4段階のロックダウンに移行するにあたり、多くの業種の営業・業務を制限すると発表し、競馬について言及した。

 州首相は、州政府が競馬続行を決定するにあたり動物福祉が大きな鍵となったとし、こう語った。

 「感染リスクがかなり低い活動であることは明白ですので、競馬を続行します。ただし様々な変更を伴います。馬主やメディア関係者の入場が禁じられ、競馬運営に直接関わる人々と放送局だけが入場できます」。

 「競馬産業の活動を制限すれば、競走馬は現役を続けられず、深刻な動物福祉の問題が生じます」。

 「これは妥協策です。競馬産業内にも満足しない人がいることは承知しています。競馬の活動規模は縮小されますが、私たちは適切なバランスをとったと考えます」。

 いくつかの競馬場でさらなる感染防止策が採用されるかもしれない。

 競馬産業は、以下のような厳格な感染防止策をとることによって、感染拡大中でも競馬開催を続行してきた。(1)騎手の分離、(2)競馬場入場者へのマスク着用の義務化、(3)馬主や競馬続行に不可欠と見なされない関係者の競馬・調教施設への立入禁止。

 レーシングヴィクトリア(RV)のジャイルズ・トンプソン(Giles Thompson)氏は8月3日夜の声明で、競馬産業はこのような前例のない状況において安易に競馬続行を要求しなかったと述べた。

 「私たちは感染拡大中に行ってきたように、ヴィクトリア州の競馬関係者および広範囲にわたるコミュニティーにできるかぎり安全な環境を提供するために、断固たる行動を取り続けます」。

 「これは直ちに実施され、どの馬主もヴィクトリア州の競馬開催への立入りを禁じられます。新たな勧告がなされるまで、不可欠な関係者しか入場できません」。

 「私たちは感染がこれまで拡大してきた中でもその防止策を絶えず見直してきました。これから数日の間に、ヴィクトリア州の現状を考慮して、どのように防止策をさらに強化すべきかを決定するにあたり、これまでの取組みが重要な焦点となるでしょう」。

 ヴィクトリア州政府は8月2日、感染者増加の抑制を目標に、厳格な夜間外出禁止令や移動制限など強硬な措置を発表した。

 州政府による競馬続行の決定は、スプリングカーニバルを数週間後に控えるレーシングヴィクトリア(RV)やレーシングクラブに大きな安堵をもたらした。

 豪州調教師協会(Australian Trainers' Association)のCEOアンドリュー・ニコル(Andrew Nicholl)氏は、競馬関係者が感染拡大の第1段階において尽力したおかげで、競馬を続行する資格を得られたと述べた。

 「競馬産業は感染が拡大する中で信頼を高めてきました。すべての競馬関係者が他業界にとって模範となるような努力を行ってきました。この5ヵ月間、調教施設・競馬場の業務エリアなどで感染者は出ませんでした。それゆえ、競馬を続行する資格を得られました」。

 「現役の競走馬は4,500頭もいるので、競馬産業全体に安堵感がもたらされています。また調教師は850人、騎手は180人、厩務員は2,000人います。大変多くの人々が競馬産業で働いています」。

By Paul Tatnell / Racing.com

[Racing Post 2020年8月3日「Government allows racing in Victoria to continue as state of disaster declared」]