海外競馬ニュース 2020年08月06日 - No.30 - 2
インベステック、英ダービーのスポンサー契約を早期終了(イギリス)[開催・運営]

 エプソム競馬場は、英ダービー(G1)のスポンサーを10年以上務めたインベステック(Investec 国際的な投資銀行および資産管理会社)が予定よりも早く契約を終了させたため、新たなスポンサーを探している。

 ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses:JCR)とインベステックの間で2009年から交わされてきた長期にわたる契約は、突如として終焉を迎えた。この動きは、新型コロナウイルス感染拡大のために打撃を受け賞金減少の不安におののく競馬界を震撼させるに違いない。

 インベステックのシマウマのロゴは、ダービーの宣伝活動でお馴染みのものとなっていた。同社はこれまでスポンサー契約を3回更新し、現行の10年契約は2026年まで続くはずだった。

 インベステックは、ダービーのスポンサー契約は最も効果を上げたものの1つであると述べてきた。しかしマーケティング方針の全面的見直しを図ったため、英国クリケット協会や英国ホッケーチームとのスポンサー契約も終わらせていた。

 ダービーとの契約はあと6年残っていたが、インベステックはプロモーション活動などにそのスポンサー契約を活用せず、当面はそのような状況が続くようだった。

 JCRはそうした点を考慮し、契約を早期終了させ、2021年の英ダービー・英オークス(G1)・コロネーションカップ(G1)の新スポンサーを探すことに同意した。これら3レースは来年、再び6月の英ダービー開催(2日間 エプソム競馬場)で施行されるはずである。

 JCRもインベステックも、「契約終了の決定は、新型コロナウイルス感染拡大や今年のダービーが通常よりも1ヵ月遅い7月に無観客で施行されたこととは関係がありません」と述べた。

 インベステックの最高マーケティング責任者のマルコム・フリード(Malcolm Fried)氏はこう語った。「英ダービー開催のスポンサー契約は弊社にとって素晴らしいものでした。10年以上スポンサーを務めてきましたが、私たちは昨年末にマーケティング目標を見直し始め、現在では新たな優先目標やマーケティング経路を定めるために取り組んでいます。その結果として、弊社とJCRは予定よりも早く契約を終了させることに合意しました」。

 「インベステックを代表して、これまで素晴らしい協力関係を続けてくださったJCRに感謝したいと思います。また、競馬界と競馬メディアにも感謝します。今後どの企業がスポンサーを務めるにしてもうまく行くことを望んでおり、英ダービーというイベントが今後ますます繁栄することを願っています。私たちはダービーの歴史において一定の役割を担えたことを誇りに思います」。

 総賞金150万ポンド(約2億250万円)の英ダービーは、英国の最高賞金レースである。また、英オークス[総賞金50万ポンド(約6,750万円)]とコロネーションカップ[総賞金42万ポンド(約5,670万円)]も、今後のスポンサーに多額の支出を求めることになるだろう。

 JCRのロンドン地域担当者としてエプソムダウンズ競馬場の運営を監督するフィル・ホワイト(Phil White)氏はこう語った。「素晴らしい協力関係を続けてくださったインベステックに感謝したいと思います。私たちはこのクラシック競走が毎年、最高賞金レースとして施行されることを享受してきました。また、エリザベス女王が90歳の誕生日の祝典の一環として、ダービーの優勝トロフィーを授与するという夢のような瞬間にも立ち会うことができました」。

 「英国の最も象徴的なレースが歴史において新たな区切りを迎えるにあたり、新たなパートナーを迎えることを楽しみにしています」。

 エプソム競馬場からもたらされたこれらのニュースは、英国のクラシック5競走のうち3競走のスポンサーが不在となることを意味している。ドンカスター競馬場とアリーナレーシング社(Arena Racing Company)は英セントレジャー(G1)のスポンサーをまだ最終決定していない。

By David Carr

(1ポンド=約135円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2012年No.23「英国ダービー、インベステック社との長期契約で最高額レースに返り咲く(イギリス)

[Racing Post 2020年7月24日「Shock for Epsom: Investec exits as Derby sponsor and hunt starts for new backer」]