海外競馬ニュース 2020年07月09日 - No.27 - 4
ヴィクトリア州、最低負担重量をコロナ以前のレベルに戻す(オーストラリア)[開催・運営]

 レーシングヴィクトリア(Racing Victoria:RV)は6月25日、ヴィクトリア州の騎手の最低負担重量を8月1日に54kgに戻すと発表した。

 ヴィクトリア州騎手協会(Victorian Jockeys Association:VJA)からは最低負担重量を55kgとする働き掛けがあった。VJA のメンバーの60%が最低負担重量の1kg引上げを要求することを支持していたからだ。しかしRVは6月25日夜、この働き掛けに対して競馬産業全体から十分な支持が得られなかったと発表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大のために、騎手が通常の方法で減量できないことへの譲歩として、ヴィクトリア州の最低負担重量は56kgに引き上げられていた。RVのCEOであるジャイルズ・トンプソン(Giles Thompson)氏は、騎手に調整する時間を与えるために、現在の最低負担重量は来シーズン開幕(8月1日)まで維持されると述べた。

 「ヴィクトリア州は新型コロナウイルスの感染拡大に関連して最低負担重量を引き上げた唯一の州です。ただ、VJAおよびオーストラリア調教師協会(ATA)と協議をしたところ、競馬関係者からはこの引上げを永久に維持するための決定的な働き掛けが無かったことが明らかでした」。

 「これを受けて、全ての競馬開催において最低負担重量はコロナ以前のレベルに戻すことを決定しました。騎手が調整に十分な猶予が得られるように、来シーズンからの実施とします。ヴィクトリア州のコミュニティーにおける状況を踏まえて、これからも見直しを続けて行くでしょう」。

 ATAの調査では、ATAのメンバーの54%が最低負担重量の変更に反対していた。ATAのCEOであるアンドリュー・ニコル(Andrew Nicholl)氏はこう語った。「最低負担重量の変更に対して、調査を受けたメンバーの約54%が"反対"、46%が"態度保留"か"支持"でした。変更に対して肯定的な意見もあれば、変更に反対するのに理にかなった意見もありました」。

 ニコル氏は、騎手たちがすでに追加の馬具を含まない状態で0.5kgの重量超過が許されていることを引合いに出した。つまり、騎手はフォームガイド(出走表)に記載されている負担重量を1.4kgほども超過する重量で乗ることがすでに認められているということである。同氏はまた、調教師は小柄な馬が超過重量を背負うことに懸念を抱いているとも語った。

By Andrew Hawkins

 (関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.12「新型コロナウイルスから騎手を守るために負担重量引上げ(オーストラリア)

[Racing Post 2020年6月26日「Minimum weight to return to normal in Victoria with support for change lacking」]