海外競馬ニュース 2020年04月23日 - No.16 - 2
卓越した種牡馬シャマルダル、18歳で死亡(アイルランド)[生産]

 現役時代に芝レースで6戦6勝(うちG1・4勝)を果たし、種牡馬としてのキャリアを大成功させたシャマルダル(18歳)が死んだ。

 シャマルダル(父ジャイアンツコーズウェイ)は種牡馬として10年以上供用されていたキルダンガンスタッド(アイルランド)で、健康状態が悪化したため安楽死措置が取られた。

 マーク・ジョンストン厩舎で競走生活をスタートさせたシャマルダルは、2004年に2歳シーズンをデューハーストS(G1)優勝で華々しく締めくくり、3戦3勝を果たした。

 サイード・ビン・スルール厩舎に転厩して迎えた3歳シーズンの1戦目として、ナドアルシバ競馬場で初めてダート競走に挑んだが、馬場に適応できずにキャリア唯一の敗北を喫した。

 しかし、シャマルダルは残り短い競走生活で輝かしいレベルに返り咲くことになる。その後1ヵ月の間に、仏2000ギニー(G1)、仏ダービー(G1)、セントジェームズパレスS(G1)を制したのだ。

 ところが、その年の英ダービー馬モティヴェーターと激戦を交わす予定だったエクリプスS(G1)の前日に故障を発症し、競走生活を終わらせることを余儀なくされた。

 ビン・スルール調教師はシャマルダルに敬意を表してこう語った。「シャマルダルの訃報を聞いて、とても悲しく思っています。彼は欧州最優秀2歳牡馬に選ばれ、フランスのクラシック二冠を達成し、セントジェームズパレスSを制してゴドルフィンの最強馬の1頭になりました」。

 「また名種牡馬としての地位を自ら確立し、世界中に傑出した産駒を送り出しました。誰もが彼がいなくなって寂しく思うでしょう。今日は悲しい日となりましたが、シャマルダルの産駒が競走馬としても種牡馬としても、父のレガシー(遺産)を受け継いでいくことを信じています」

 シャマルダルがフランスのクラシック二冠を達成した際に鞍上を務めたフランキー・デットーリ騎手は、こう語った。「彼は大きすぎることなく、均整の取れた馬体をした俊敏な馬でした。全ての偉大な馬がもつ特質、つまり勝つ意欲に溢れていました。まるでジャックラッセルテリアのようでした。彼は頭を真っ直ぐに突き出し、110%の力を発揮しました」。

 「シャマルダルは競走馬としても種牡馬としても偉大であり、その死は競馬界に大きな喪失感をもたらします。それでも、彼は競馬界に大きな足跡を残しました」。

 2歳時のシャマルダルを管理したマーク・ジョンストン調教師は「1歳から2歳シーズン末までの短い間しかシャマルダルを管理していませんが、それでも彼は我々の厩舎に大きな影響を残しました。後に種牡馬として絶大な影響をもたらしたのと同じです」と語った。

 「彼は2歳シーズンに信じがたいほど見事な活躍をしました。彼をここで預かるようになった頃、当時3歳のアトラクション(Attraction 英&愛1000ギニー優勝馬)も大活躍しており、すでに私にとって最高の管理馬となっていました。この2頭を同じ時期に手掛けられたのはとても素晴らしいことでした」。

 「私たちはシャマルダルを3回出走させただけですが、どのようなレースの展開になるかについては全く心配していませんでした。彼は驚異的な競走馬で、間違いなくその世代で最強馬だったでしょう」。

 競走引退後、シャマルダルはゴドルフィンの生産部門ダーレーにおいて数々のG1馬を送り出す種牡馬であることを自ら証明することになる。

 同馬はキルダンガンスタッドで供用され、ピナトゥボ(Pinatubo)、ブルーポイント(Blue Point)、エイブルフレンド(Able Friend)、ムカドラム(Mukhadram)などのG1馬を25頭送り出した。

 ダーレーの種牡馬担当主任であるサム・ブラード(Sam Bullard)氏はこう語った。「シャマルダルは私たちがアイルランドで供用する種牡馬群の中でも、長きにわたり大黒柱のような存在でした。キルダンガンスタッドのチームは皆、ひどく寂しい思いをするでしょう」。

 「彼の種牡馬成績が示しているように、彼の産駒の活躍のおかげで、私たちは競馬場で素晴らしい日々を過ごしました。圧倒的に強いピナトゥボをはじめ、昨年2歳シーズンを送ったシャマルダル産駒は本当に傑出していました。2歳の無敗G1馬を3頭(ピナトゥボ・アースライト・ヴィクタールドラム)も送り出したことは、パターン競走が始まって以来の偉業です」。

By David Baxte

[Racing Post 2020年4月16日「Multiple Group 1 winner and top-class stallion Shamardal dies aged 18」]