海外競馬ニュース 2020年04月16日 - No.15 - 1
英国競馬界、隔離状態の競馬場でのレース再開を検討(イギリス)[開催・運営]

 英国競馬界は、政府が現行の外出禁止措置を解除してゴーサインを出せば、限られた数の競馬場で厳格な隔離状態の下、競馬を再開することを検討している。

 業界団体と連携して競馬再開に取り組む"競馬再開ワークストリームグループ"は、無観客競馬を実施するための候補競馬場を念入りに調べている。レース運営に関わる人々を隔離できるように敷地内にホテルのある競馬場でなければならない。

 その有力候補としてニューキャッスル競馬場とリングフィールド競馬場の名が挙がっており、後者は芝とオールウェザーの両方でレースを施行できる。

 ハミルトンパーク競馬場も候補となりうるが、芝コースしかないこの競馬場では悪天候の時期に問題が生じる可能性がある。

 本紙(レーシングポスト紙)がこれまで報じたように、ニューマーケット競馬場も候補として提案されているが、敷地内にホテルがないことから、他のいくつかの競馬場と同じように厳格な隔離状態を関係者に対して提供できないだろう。

 同じようなプランが、中断されたサッカーのプレミアリーグのシーズンを最後まで行う方法として協議されている。そのプランは、夏場に各チームがW杯開催中のようにキャンプ地(ロンドンと英国中部のミッドランズが候補地となっている)に隔離されて無観客試合を行い、それがテレビ放映されるというものだ。

 英国競馬界は、あらゆる対策がしっかり実施されていることを政府に示す必要がある。それには、参加者の移動の制限や、国民保健サービス(NHS)の医療資源を圧迫しないための徹底した怪我のリスク評価などが含まれる。

 ある競馬産業関係者は、「これらの計画を実行する前に、外出禁止令が解除される必要があります。外出禁止令が出ている最中に始めるつもりはありません。政治的・医療的環境が競馬を再開するのにふさわしいと確信したいと思っています」と語った。

 競馬開催には約100名の人員が必要とされる。出走頭数は縮小され、1つの競馬場で数日にわたって競馬は実施される。

 競馬開催では事故のリスクを減らすために、熟練した騎手、厩舎スタッフ、発馬係、発走委員・審判・検量委員などの職員などが必要となる。裁決は遠隔でも実行できる。

 すべての関係者は事前に医療検査を受け、開催中は競馬場のホテルに滞在する。

 場外と唯一往来するのは馬運車であり、馬運車が到着した際は離れた隔離エリアで受け入れられる。

 また政府が馬を長距離輸送させたくないと言わない限り、出走馬の厩舎の所在地が制限されることはないと考えられている。

 BHA(英国競馬統括機構)は声明でこう述べている。「幅広い競馬再開計画の一翼を担う"競馬再開ワークストリームグループ"は、できるだけ早い競馬の再開を支援するために、様々なオプションを検討してきました。彼らは、医療サービスへの潜在的な影響とソーシャルディスタンシングに関する政府の助言を考慮しつつ、どのように競馬を安全に施行できるかについて考えなければなりません。競馬界の各分野からは、積極的かつ創造的な協力が得られました」。


By Bill Barber


[Racing Post 2020年4月9日

「British racing exploring possibility of return to action at quarantined tracks」]